毎月分配型投資信託を購入、あるいは検討をしている方で、
「毎月分配型投資信託は長期保有に向いているのか?」
という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?
事実、毎月分配型投資信託は長期保有に向いていません。
この記事では、毎月分配型投資信託はなぜ長期保有に向いていないのか?
毎月分配型投資信託のデメリットや注意点について詳しく解説します。
※2024年から始まった新NISA口座においては毎月分配型の投資信託は購入できなくなりました。
この記事でわかること!
- 毎月分配型投資信託は長期保有には向かない
- 毎月分配型投資信託が向くケース、向かないケース
- 毎月分配型投資信託で運用をする場合の注意点
毎月分配型投資信託は長期保有に向かない
毎月分配型投資信託は、長期保有でお金を増やしていきたい場合には向きません。
なぜなら、分配金を受け取ってしまうと複利運用ではなく単利運用になってしまうからです。
下記のグラフは100万円を年利7%で30年間、複利運用と単離運用した場合の比較です。
複利運用をしたものは30年目で761万円に増えましたが、単離運用では310万円にしかならないシミュレーション結果となりました。(その差なんと451万円!)
このように、同じ利回りでも複利運用と単利運用では結果に大きな差が出てしまいます。
※グラフからも分かる通り、長期になればなるほど差が大きくなっていきます。
毎月分配金型投資信託は、長期保有でお金を増やしていきたい場合には向きません。
用語解説:単利と複利
【単利】
単利とは「投資元本」に対して利子がつくこと。
【複利】
複利とは「投資元本と受け取った利子」に対して利子がつくこと。
元本に利子が組み込まれ、利子に対しても利子が発生するため、毎回受け取る利子の金額は年々増えていくことになります。
毎月分配型投資信託が向く人の条件
毎月分配型投資信託が向く人の条件は以下の2つです。
- 長期保有で資産を増やす目的ではない
- 分配金を生活費の一部やおこづかいにしたい
なぜなら、分配金は毎月現金を受け取れる為、支出に充てるなど、自由に使うことができるからです。
つまり、長期でお金を増やす目的ではなく、毎月受け取る分配金を使いながら生活の一部として使いたい人は毎月分配金型投資信託が向いていると言えます。
例えば、分配金の使い道には以下のようなものがあります。
- 生活費
- おこづかい
- 年金や給料の足し
など
※アンケート結果でも、分配金の使い道は「生活費」や「こづかい」が上位を占めているようです。
参照:投資信託協会|投資信託に関するアンケート調査
補足説明:毎月1万円の分配金を目指すには500万円の資金が必要
毎月1万円の分配金を目指すには、500万円程度の資金が必要となります。
あくまでもシミュレーションになりますが、平均配当利回りを参考に計算してみます。
プライム市場の有配会社(配当金を出している銘柄)における平均配当利回りは2.3%(2024年12月現在)
<計算式>
月1万円 × 12ヶ月 ÷ 2.3% = 約521万円
毎月分配型投資信託の3つの注意点
毎月分配型投資信託で資産運用を行う場合の注意点は3つあります。
- 毎月同じ分配金がもらえるわけではない
- 分配金は利益ではなく元本が払い出されることもある
- 毎月分配型の投資信託はNISA口座では購入できない

毎月同じ分配金がもらえるわけではない
1つ目の注意点は、毎月同じ分配金がもらえるわけではないことです。
運用状況によっては分配金額が変動したり、分配金が支払われない場合もあります。
分配金を生活費の一部とする目的の方は、毎月もらえるものではないということを考慮しておきましょう。
分配金は利益ではなく元本が払い出されることもある
2つ目の注意点は、分配金は利益ではなく元本が払い出されることもある、ということです。
元本からの分配金払い出しが続くと、いずれ分配金が減額されたり、株価の下落を引き起こす結果となり、損をする可能性が出てきてしまいます。
実は、分配金は必ずしも利益から払い出されるというわけではなく、”運用資産の一部を払い出す”という仕組みなのです。
投資信託の利益が出ていなくても分配金は払い出されます。
利益が出ていないのに支払われる分配金は、投資した元本を払い出されていることと同じ意味になります。(このような分配金を元本払戻金といいます)
分配金は利益ではなく元本が払い出されることもある点には注意しておきましょう。
補足解説:投資信託の分配金は2種類ある
投資信託の分配金には「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。
【普通分配金】
利益となる分配金のこと。利益のため課税される。
【元本払戻金(特別分配金)】
元本の一部払い戻しに相当する分配金のこと。利益ではないため非課税。
以下は、500円の分配金が支払われる2つの例です。
※元本払戻金のイメージを伝えることを目的としているため、実際の計算や仕組みとは異なります。
A:10,000円の投資信託が、10,500円に値上がりしている場合
→増えた分の500円が分配金として支払われているので分配金は全額利益になります。
B:10,000円の投資信託が、10,000円のまま増えていない場合
→利益がないため、元本の10,000から500円を取り崩して分配金として支払われます。つまり元本が払い出されているとみなされます。
毎月分配型の投資信託はNISA口座では購入できない
2024年から始まった新NISAでは、毎月分配型の投資信託は購入できなくなりました。
「毎月分配型の投資信託は長期の資産形成(長期保有)には向かない」と金融庁が判断したためです。
2024年の改正により、NISAは非課税で運用できる期間が無期限となり、さらに長期の資産運用をするための制度となりました。
そのため、長期の資産形成に向かない毎月分配型の投資信託は、NISAでは購入できなくなったのです。
新NISAで運用したい場合は、毎月分配型投資信託ではない別銘柄を検討しましょう。
まとめ
毎月分配型投資信託は、受け取った分配金を生活費などに充てたい方に向いている商品です。
分配金を受け取っても使い道がない方や、老後資金や教育資金などを貯めたい方にとっては向かない商品といえます。
毎月分配型投資信託が自分の運用の目的にマッチするかどうか考えてから商品選びをしましょう。
どんな商品が自分に合っているか分からない、迷っている方はFPに相談するとよいでしょう。