夫婦の老後に必要なお金はいくら?見落としがちな出費や年金シミュレーションを徹底解説

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夫婦の老後に必要なお金はいくら?見落としがちな出費や年金シミュレーションを徹底解説
2026.04.07

夫婦の老後に必要なお金はいくら?見落としがちな出費や年金シミュレーションを徹底解説

「老後のお金、夫婦でいくら必要になるのか分からない」こんな不安を感じている方は少なくないはずです。

この記事では、公的データをもとに夫婦の老後に必要な生活費から、見落としがちな出費(医療・介護・住宅修繕)、公的年金との差額シミュレーション、そして今からできる賢い老後資金の準備方法までを解説します。

「いくら必要で、いくら足りなくて、何をすればいいのか」——この記事を読めば、お金の不安が軽減され、具体的な行動に移せるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

  • 生活水準別の老後の夫婦に必要なお金
  • 毎月の生活費以外にかかる費用
  • 世帯別の公的年金との差額シミュレーション
  • 40代・50代から始める老後資金の準備方法

この記事を書いたFP
夫婦の老後に必要なお金はいくら?見落としがちな出費や年金シミュレーションを徹底解説
古賀 孝夫
古賀 孝夫
【保有資格】
AFP・2級FP技能士/一種証券外務員資格/DCマイスター/相続知財鑑定士

長崎出身。会計事務所を経て、現在に至る。マネープランの基礎知識、税金、生命保険、住宅ローン等、幅広くマネーセミナーの講師とコンサルティングを行なっており、東京を中心に福岡、愛媛でも活躍中。

目次

1:老後の夫婦に必要なお金はいくら?

老後の資金計画は、月々の生活費を把握することから始まります。

ここでは公的機関の調査データをもとに、老後の「最低限」の生活と「ゆとりある」生活に必要な金額をご紹介します。

1-1:「最低限」の生活に必要な金額は月額約23.9万円

夫婦2人で最低限の生活を送るために必要な生活費は、月額平均約23.9万円です。

2022年と2025年の老後の最低限の生活に必要な金額調査比較グラフ。平均額は23.2万円から23.9万円へ上昇傾向にある。
出典:生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査 P.53 <図表 III-4> 老後の最低日常生活費」

ただし、この約23.9万円はあくまで「最低限」の生活を想定した金額です。

車の買い替え、家電の故障、住宅の修繕、子どもへの資金援助、介護費用といった突発的な支出は含まれていない可能性が高いです。

実際の高齢夫婦の消費支出の内訳は?

「23.9万円の内訳が具体的にイメージできない」という方のために、実際のシニア世帯の支出データを見てみましょう。

総務省の最新の「家計調査(2025年)」によると、夫婦高齢者世帯のうち無職世帯の1ヶ月の消費支出は約26.4万円でした。

その内訳は、以下の通りです。

夫婦高齢者の無職世帯の消費支出内訳

夫婦高齢者の無職世帯の消費支出内訳。合計約26.4万円に対し、食費7.9万円、住居・光熱費4.1万円などの詳細を紹介。
参考:総務省「家計調査 家計収支編 2025年 第9表 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別1世帯当たり1か月間の収入と支出」

このデータからも、夫婦2人で生活するには「月24万〜27万円」が現実的な最低ラインであることが分かります。

1-2:「ゆとりある」老後生活に必要な金額は月額約39.1万円

旅行や趣味を楽しむ「ゆとりある」老後生活を望む場合は、月額平均約39.1万円が必要です。

「最低限」の生活に必要な金額との差は約15.2万円になります。

この上乗せ分の使途は、以下の通りです。

2022年と2025年の老後の生活で資金をかけたい項目のアンケート結果比較。2022年と2025年どちらも、旅行やレジャー、日常生活の充実が上位を占める。
出典:生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査 P.55<図表 III-6> 老後のゆとりのための上乗せ額の使途」

この「ゆとり」の上乗せ額は、贅沢費ではなく高齢期の生活の質を維持するための「投資」です。

公的年金だけでこの水準を賄える世帯は稀であるため、現役時代からの自助努力(iDeCo、NISA、預貯金など)で準備すべき金額と言えるでしょう。

2:毎月の生活費以外にかかる3つの費用

毎月の生活費とは別に、数百万円単位の「まとまった一時金」が必要になる場面があります。

見落としがちなこれらの費用は主に3つあります。

  • 医療費・介護費用
  • 住宅のリフォーム費用
  • 子どもや孫への資金援助

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1:医療費・介護費用

夫婦2人分の将来の介護リスクを考慮すると、500万〜800万円程度の予備資金(流動資産)を確保しておくことをおすすめします。

介護費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

介護費用の貯蓄はいくら必要?公的データから見る「備えるべき本当の貯蓄額」を解説

また、介護だけでなく病気やケガによる入院リスクにも備えが必要です。手術費用を含めた入院時の自己負担額の平均は20万円程度と言われています。

入院費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

入院が初めてです。入院費用や手術費用はいつ払うものですか?

2-2:住宅のリフォーム費用

持ち家の場合、築年数の経過に伴う大規模な修繕とバリアフリー化で300万〜500万円規模の費用が必要です。

リフォーム費用の一例

老後の住宅リフォーム・修繕費用の目安表。バスタブ交換(14〜20万円)、リビング改修(200〜400万円)、耐震補強(20〜60万円)などの工事種別ごとの費用の目安を解説。
参考:国土交通省「リフォームの内容と価格について」

上記のように、老後の住まいの維持には相応のコストがかかることが分かります。

2-3:子どもや孫への資金援助

子どもや孫の教育・結婚・住宅取得など、ライフイベントごとの援助で数百万〜1,000万円単位の資金が動く可能性があります。


主な援助シーンと目安額

  • 住宅取得援助
  • 結婚資金援助
  • 教育資金贈与

可愛い子どもや孫のためとはいえ、老後資金を取り崩しすぎると自身の生活が破綻しかねません。

「援助は余裕資金の範囲内で」というルールを徹底しましょう。

子どもや孫への資金援助について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

住宅購入を決断できない人必見!購入を決めて良いか確かめる方法

出産費用の自己負担額は約20万円?実際にかかる費用と負担を減らす制度を紹介

子どもの教育資金おすすめの貯め方は?貯蓄・学資保険・投資信託のメリットとデメリットを解説

3:あなたの世帯はいくら足りない?公的年金との差額シミュレーション

実際にいくら足りないのかは、公的年金の受給額やライフスタイルで大きく変わります。

ここでは、3つのパターンでシミュレーションしてみましょう。

3-1:会社員+専業主婦世帯の場合

夫が平均年収500万円で40年間勤務し、妻が専業主婦である世帯の場合は、以下のようになります。


前提条件

  • 夫(会社員)

老齢厚生年金:9.1万円/月

老齢基礎年金:6.4万円/月

  • 妻(専業主婦)

老齢基礎年金:6.4万円/月


シミュレーション結果

会社員と専業主婦世帯の老後の家計収支シミュレーション。年金収入21.9万円に対し最低限の生活費が23.9万円で、毎月2.0万円の不足が発生する。

年金だけでは最低限の生活であってもわずかに赤字です。

ゆとりある生活(約39.1万円)を望む場合、毎月約17.2万円の赤字

老後30年間での不足額は、17.2万円 × 12ヶ月 × 30年 = 約6,192万円に達します。

夫婦共働き世帯の場合

夫婦ともに会社員として長年働いた「共働き世帯」もみてみましょう。

このケースの場合、妻もご自身の厚生年金を受給できます。

例えば妻が平均年収300万円で40年間勤務した場合、老齢厚生年金は約5.5万円です。

この金額が加算されて、夫婦世帯の年金月額は合計で約27.4万円となります。

このケースでシミュレーションをすると、最低限の生活(約23.9万円)であれば月額3.5万円の「黒字」です。

ゆとりある生活(約39.1万円)に必要な上乗せ金額の不足分は、毎月約11.7万円まで軽減されます。

3-2:自営業・フリーランス世帯の場合

続いて、自営業またはフリーランスの夫婦世帯をみてみましょう。


前提条件

  • 夫(自営業またはフリーランス)

老齢基礎年金:6.4万円/月

  • 妻(専業主婦)

老齢基礎年金:6.4万円/月


シミュレーション結果

自営業・フリーランス世帯の老後の家計収支シミュレーション。年金収入12.8万円に対し最低限の生活費が23.9万円で、毎月11.1万円の不足が発生する。

最低限の生活を送るためだけでも、30年間の不足額は11.1万円 × 12ヶ月 × 30年 = 約3,996万円。

ゆとりある生活を目指す場合は、不足額が約9,468万円に達します。

自営業・フリーランスの方は構造的に年金の「2階建て」部分(厚生年金)がなく、退職金もありません。

そのため、自助努力による準備額が会社員の方よりも大幅に増えます。

iDeCoや小規模企業共済をフル活用し、所得控除による節税メリットを受けながら資産形成を進めましょう。

3-3:【比較】「持ち家(ローン完済)」vs「賃貸」のコスト差

住居形態の違いも、老後資金に影響を与えます。


賃貸の場合

  • 家賃発生リスク(8万円 × 12ヶ月 × 30年 = 約2,880万円の支出)
  • インフレに伴う家賃値上げリスク
  • 高齢者の入居制限リスク

持ち家(ローン完済)の場合

  • 月々の支出は固定資産税(年10〜15万円程度)と管理費・修繕積立金(マンションの場合)のみ
  • ただし、30年間で300万〜500万円のリフォーム・修繕費が必要
  • 施設入居時に売却して資金化できる可能性がある

トータルコストでは持ち家が有利なケースが多いです。

一方で賃貸派の方は、家賃支払い分を現役時代に確実に資産として蓄積しておく必要があります。

持ち家がある場合の老後資金について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

持ち家がある場合の老後資金はいくら?年金から見る不足額と準備方法

4:40代・50代から始める!賢い老後資金の準備方法

ここでは、40代・50代から始められる賢い老後資金の準備方法を解説します。

早い段階から計画的に行動し、老後のお金の不安を減らしておきましょう。

4-1:「繰り下げ受給」「長く働く」の選択で公的年金を増やす

資産の寿命を延ばす確実な方法は、年金の繰り下げ受給と働く期間の延長です。


繰り下げ受給の効果

  • 1ヶ月遅らせるごとに受給額が0.7%増額

70歳まで繰り下げ(5年):+ 42.0%

75歳まで繰り下げ(10年):+ 84.0%


60代前半は再雇用やパートタイムで働き、給与収入で生活費を賄いながら年金受給を70歳まで待機すると効果的です。

「資産の取り崩し開始」を遅らせつつ、「年金受給額」を恒久的に増やすことができます。

年金の繰り下げ受給について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

厚生年金70歳の繰下げ受給は損か得か?支給額シミュレーションと損益分岐点を徹底解説!

4-2:「iDeCo」「NISA」で税制優遇を活かす

税制優遇のある制度「iDeCo」や「NISA」も効果的です。

主な税制優遇制度の比較

税制優遇制度、iDeCoとNISAの比較表。iDeCoは、掛金全額所得控除と運用益非課税がメリットで、原則60歳まで引き出し不可の「強制貯蓄」による老後のベース作りに適している。対するNISAは、運用益非課税がメリットで、いつでも現金化が可能なため医療・修繕などの取り崩し用資金としての活用できる。

老後のベース資金はiDeCoで作りつつ、柔軟に使える資金はNISAで運用するなど、ご自身の働き方や目的に合わせて制度を組み合わせることが、賢い資産形成のポイントです。

4-3:「預貯金」「個人年金保険」で元本を確保する

すべての資金をリスク資産に投じるのはリスクが伴います。

生活費の3〜5年分は安全資産で確保しておきましょう。


安全資産の一例

  • 預貯金:インフレには弱い反面、流動性に極めて優れている。緊急時に即座に対応できる
  • 個人年金保険:利率は低いが、将来の受取額が確定している安心感がある

ポートフォリオの一部(2〜3割)を「安全資産」で固めることで、株式市場の暴落時にも精神的な安定を保てます。

4-4:老後の夫婦に必要な資金について不安を感じたらFPに相談

老後資金の問題は、年金制度・税制・不動産・金融商品・個人の価値観が複雑に絡み合います。

これらの不安を解消し、具体的な行動に移すためには、FPへの相談がおすすめです。

例えばFPなら、ご家庭の状況に合わせた精度の高いキャッシュフロー表を作成。インフレ率や年金受給額の推移、税金・社会保険料などを的確にシミュレーションすることで、「いつ、いくら足りなくなるか」が明確になります。

さらに、固定費の見直しや不要な保険の整理など、プロの視点から家計の無駄を発見し、支出を最適化できるのも大きなメリットです。

5:まとめ

老後の夫婦に必要なお金は、最低限の生活でも月額約23.9万円、ゆとりある暮らしなら月額約39.1万円です。これに加え、医療・介護・住宅修繕などの予備資金も必要になります。

公的年金だけでは厳しい一面もありますが、繰り下げ受給やiDeCo・NISAなど、今からできる対策はたくさんあります。

「自分たち夫婦の場合はいくら必要なの?」「何から始めればいい?」と迷ったら、一度FPに相談し、ライフプランを作成してみませんか。また、手軽にプロの知識を学べる無料のマネーセミナーへの参加もおすすめです。

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夫婦の老後に必要なお金はいくら?見落としがちな出費や年金シミュレーションを徹底解説
古賀 孝夫
古賀 孝夫
【保有資格】
AFP・2級FP技能士/一種証券外務員資格/DCマイスター/相続知財鑑定士

長崎出身。会計事務所を経て、現在に至る。マネープランの基礎知識、税金、生命保険、住宅ローン等、幅広くマネーセミナーの講師とコンサルティングを行なっており、東京を中心に福岡、愛媛でも活躍中。

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