給料をもらっているサラリーマンにも投資は必要?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
経済状況や老後のことを考えると、”サラリーマンにも投資が必要”と言えるかもしれません。
ただし、投資であればなんでも良いわけではありません。
”サラリーマンにこそおすすめの投資”というものがあります。
この記事では、
- サラリーマンにも投資が必要な理由
- サラリーマンにおすすめの投資
- サラリーマンが投資を成功させるポイント
をお伝えしていきます。
サラリーマンにも投資が必要な2つの理由
サラリーマンも投資を行ってお金を増やしていくことはとても重要です。
理由は大きく2つあります。
- 低金利で預けていてもお金が増えない
- 老後の生活費は年金だけではまかないきれない
理由を一つずつみていきましょう。
低金利で銀行に預けていてもお金が増えない
銀行などにお金を預けていても、昨今の低金利ではお金は増えません。
例えば、銀行の金利が0.1%だった場合、100万円を10年預けて増えるのは約1万円、20年預けても約2万円円しか増えません。
(参考:三井住友銀行|円預金金利)
しかし、投資を行い年利5%だった場合、100万円を10年預けたら約63万円、20年預けたら165万円増えます。(年利5%の数字の根拠については後述)
▼金利0.1%と金利5%を比較したシミュレーション
補足:銀行の金利ではインフレに負けてしまう
昨今の物価上昇を肌身に感じている方は多いと思いますが、実際にインフレ率が2%以上になっているという統計もあります。
参照:日本銀行|消費者物価の基調的な変動
インフレになると、同じお金で買えるモノやサービスの量が減ります。
これは、実質的にお金の価値が下がるということです。
インフレ率以上にお金を増やしていかないとインフレに負けてしまうため、投資でお金を増やしていくことはとても重要なのです。
老後資金を貯める必要がある
老後資金を貯める必要があることも、サラリーマンに投資をおすすめする理由の一つです。
なぜなら、老後資金は夫婦で1500〜2000万円以上必要ともされており、老後までにこの金額を貯めておく必要があるからです。
例えば、2000万円を30年間で貯めるとした場合、必要な毎月の積立額は、
預貯金(年利0.1%)…… 5.5万円
投資(年利5%)…… 2.5万円
積立額に毎月3万円の差が出るシミュレーション結果となりました。
老後資金のような、長期で大きい金額を貯めるのに、投資はとても有効な手段となります。
サラリーマンにおすすめの投資2選
サラリーマンにおすすめの投資商品を2つ紹介します。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 外貨建個人年金保険
それぞれ詳しくみていきましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金(iDeCo)
iDeCoとは、定期預金や投資信託で積立をし、60歳以降に積み立てたお金を受け取ることができる制度です。
iDeCoで積み立てたお金は全額が所得控除の対象となります。
補足情報:iDeCoの税制優遇と仕組み
iDeCoには大きく3つの税制優遇があります。
以下はiDeCoのイメージ図です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)を使って投資を始めた場合の節税と運用額シミュレーションも見てみましょう。
【例:30歳、扶養親族無し、会社員、掛金1万円/月】
年収500万円のサラリーマンであれば、iDeCoで毎月1万円の積立をするだけで年間24,200円の節税となります。
つまり、投資の結果に関係なく2.4万円手元に残るお金が増えることになります。
注意点として、iDeCoには60歳まで積み立てた資産が引き出せないなどの制限もあります。
その制限が自分にとってデメリットになるかどうか確認してから始めましょう。
外貨建個人年金保険
個人年金保険は、毎月保険料を積み立てていき、将来年金形式または一時金で受け取ることができる保険のことです。
そのうち、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用するものを外貨建個人年金保険といいます。
個人年金保険は、払った保険料の一部が所得控除の対象となります。
下記は、個人年金保険を使って投資を始めた場合の節税額のシミュレーションです。
年収500万円のサラリーマンであれば、個人年金保険で毎月1万円の積立をするだけで、年間6,800円の節税となります。
【30歳、扶養親族無し、会社員、保険料1万円/月】
個人年金保険とiDeCoは併用ができます。
両方行えば節税額も増えることになるので、併用はおすすめです。
サラリーマンが投資を成功させるための4つのポイント
サラリーマンが投資を成功させるためには4つのポイントがあります。
- 平日勤務が多いサラリーマンはプロに運用を任せる商品を選ぼう
- 税制メリットのある投資方法で始める
- 毎年の所得にならない方法を選ぶことも大切
- 長期で取り組む
それぞれ、解説していきます。
平日勤務が多いサラリーマンはプロに運用を任せる商品を選ぼう
平日勤務が多いサラリーマンは、プロに運用を任せる商品を選ぶと良いです。
なぜなら、プロが運用をしてくれるので投資に時間がかけられないサラリーマンでも比較的利益を出しやすいからです。
例えば、自分で運用する商品で利益を出すには以下のような時間が必要です。
- 勉強する時間(商品、経済、相場、チャートの読み方、購入方法など投資をする上で必要な知識を勉強する時間)
- 情報収集する時間(投資で利益を出すために必要な情報を収集する時間)
- 取引をする時間(実際に売買やトレードをする時間)
基本的に平日は仕事をしていて、このような投資の時間を取れないというサラリーマンは、プロに任せる商品で投資を始めるのが成功のポイントといえます。
※投資商品は「自分で運用する商品」と「プロに運用を任せる商品」に分けられます。
先にご紹介した2つの投資は両方とも『プロに運用を任せる商品』です。
投資信託とは
投資信託とは、以下の図のように、投資家(資産運用をしたい人)がお金を出して専門家に託します。(商品や金融機関によって違いはありますが100円~投資可能)
貯蓄型保険とは
貯蓄型保険は、貯蓄と保険を組み合わせた保険です。
保険料の一部を保険会社が運用するため、将来的に払った保険料よりも多い金額を満期金や解約返戻金といった形で受け取ることができます。
保険会社の運用は主に債券(円建ての保険は国債で、外貨建ての保険は外国債券で主に運用)で行うため、加入時に利率や最低利率が確定している商品が多いです。
税制メリットのある投資方法で始める
サラリーマンが投資を始めるなら、税制メリットのある方法を選ぶと良いです。
サラリーマンは個人事業主の方と比べると節税がほとんどできません。
しかし、投資方法によっては、所得税や住民税を下げることが可能になります。
先に紹介したiDeCoや個人年金保険などは、掛け金が所得控除となる、税制メリットのある制度や商品です。
所得税というのは給与の総額(年収)にかかるわけではなく、年収から控除を差し引いた金額(課税所得)に対してかかります。
iDeCoや個人年金保険は、掛け金の全額又は一部が所得控除の対象となります。
所得控除の対象となる制度や商品を利用することで、投資でお金を増やすだけでなく、結果的に所得税や住民税を減らすことができます。
毎年の所得にならない方法を選ぶことも大切
サラリーマンが投資を始めるなら、投資による利益が毎年の所得にならないものを選ぶこともポイントです。
理由は2つあります。
- 副業にあたってしまう可能性があるから
- 毎年の所得が増えることで税金が高くなってしまう可能性があるから
例えば、不動産投資の収入が年間500万円を超えたり10室以上の貸し出しをしたりすると副業とみなされてしまう可能性があります。
さらに、不動産投資で得られた所得は給与と合算して所得税が計算されます。
つまり家賃収入などで毎月の所得があがった結果、所得税・住民税も増えてしまう可能性があります。
サラリーマンが投資を始めるなら、毎年の所得になるかといったポイントも確認しましょう。
補足説明:不動産投資に関する注意点
※投資=節税というと、不動産投資も良く名前が挙がりますが、不動産投資で節税するには”赤字”を出さなければいけません。
節税が目的なのか、お金を増やす事が目的なのか、よく考えて手段を選びましょう。
長期で取り組む
投資を成功させるには、長期で取り組むことがとにかく大事です。
なぜなら、10年以上の運用で利益が安定する可能性が高いからです。
過去のデータ上は、10年以上の運用期間があればマイナスになる可能性が非常に低くなっていました。
以下のグラフは、最低リターン部分がマイナスになっていなければ、マイナスにはならなかったという意味となります。
※上記は1970年1月から2015年6月まで保有した場合の各資産の保有期間別の年率平均リターンの推移
つまり、10年未満の運用ではマイナスになる可能性があったものの、10年以上の運用ではマイナスにはならなかった、という結果を示しています。
補足説明:投資信託で『年利5〜7%』は現実的な数字
年利5〜%という数字は、実際にある投資信託『MSCIコクサイインデックス』の過去30年の年率平均を参考にしています。(2024年11月末時点のデータでは過去30年の年率平均は『11.3%』)
参照:my INDEX|MSCI コクサイ・インデックス (KOKUSAI)
※上記はあくまでも過去のデータです。将来のリターンを約束するものではありません。
よって、長期で運用することで利益が安定し投資を成功させるポイントになります。
4、サラリーマンが投資を始めるときによくある質問
ここでは、サラリーマンの方が投資を始めるときによくある質問や注意点をまとめました。
Q1 確定申告は必要?
投資の場合は確定申告が不要なケースと必要なケース、その他に確定申告をするとお得なケースがあります。
以下がその具体的な内容です。
判断が難しい場合、FPなどに相談することをおすすめします。
Q2 社会保険料は関係する?
一般的に社会保険料に直接的な影響はありません。
会社の健康保険料は、本人の月給・賞与で決定します。
給与所得者自身が株式の売却益や配当等を申告しても、本人の健康保険料には影響しません。
また、扶養家族(配偶者やお子様など)の収入基準も継続的・恒常的な収入で判断しますので影響はありません(突発的な譲渡所得などは判定の対象となりません)
Q3 副業になる?
一般的に、投資は資産運用であり、副業にはあたりません。
副業禁止の公務員※の場合も、資産運用である投資は副業にあたらないとされています。
参照:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について
※公務員は、不動産投資は副業規定にあたる可能性があるので事前に確認しましょう。
Q4 投資を始めたい場合の相談先は?
ファイナンシャルプランナー(FP)やIFAに相談するのがおすすめです。
簡単に言うと、FPは「ライフプランニングなどの資金計画の専門家」IFAは「資産運用の専門家」になります。
2つの資格を持っていれば、将来のライフプランを見据えた具体的な資産運用のアドバイスが可能です。
Q5 知識がそこまでなくても始められるか
投資信託や貯蓄型保険のように、プロに任せる商品であれば比較的知識が無くても始めやすいです。
しかし、どちらも「どの投資信託(または保険)で」は自分で選ばなければなりません。
選び方に迷う場合はFPやIFAに相談することもおすすめです。(3章Q4参照)
Q6 会社にばれない?
会社にばれない?という質問は「単に知られたくない」「知られると不都合がある」の2ケースが考えられます。
基本的に、多くの投資や資産運用は会社に知られたからといって何か不都合が起こるということはありません。
不都合はなくても会社に知られたくない
①個人型確定拠出年金(iDeCo)は避ける
→iDeCoは始める時に勤務先に提出する書類があるので必ず知られます。
②確定申告をしなくて済む口座を選ぶ(特定口座の源泉徴収有り、NISA口座を選ぶ)
→住民税額が変わる事で会社に知られる可能性があります。これは確定申告が不要な口座を選べば大丈夫です。
確定申告不要な口座は特定口座(源泉徴収あり)かNISA口座の2種類です。
会社に知られると不都合がある
就業規則で禁止されている株式取引をしている、副業規定に引っかかってしまう不動産投資をしている、インサイダー取引をしているなどが考えられます。
このようなケースを知られないようにする対策は基本的にありません。
知られてしまうと何らかの処分があり、最悪解雇されることもあります。
禁止されていないやり方で投資や資産運用することをおすすめします。
Q7 財形貯蓄にメリットはありますか?
利息が非課税という点が財形貯蓄のメリットです。
しかし、2024年12月現在の、と財形貯蓄の利率は年0.1〜0.2%(税引前)程度でした。
増やすという視点で考えると現在、財形貯蓄の魅力は薄いといえます。
Q8 海外勤務になった場合どうなる?
iDeCo
→海外居住者(国内非居住者)は、以下の場合には引き続きiDeCoに加入できます。
・国内法人に勤めながら海外赴任する(厚生年金被保険者のまま転勤する)
・国民年金に任意加入する
貯蓄型保険
→国内に契約者宛の郵便物が届く住所(ご実家、親族宅など)があれば継続可能です
証券口座(NISA口座含む)
→金融機関、保有商品、赴任年数によって対応が異なります。場合によっては全て売却してから出国しなければならないこともあります。
Q9 勤務先に関連する株式を買っても大丈夫?
子会社や関連会社など勤務先に関連する株式を買うことはインサイダー取引にあたる可能性があるので避けた方がよいです。
同居家族の勤務先に関連する株式も同様です。
Q10 不動産投資すると、住宅ローンに影響ありますか
ローンを組んで投資用の物件を購入した場合は、その後新規で借り入れするローンの融資限度額に影響が出ます。
まとめ
サラリーマンに投資がおすすめということが伝わりましたか?
現在も未来も、お金に困ることなく豊かに暮らすためには、投資という手段が必要です。
プロに任せられて税制メリットのある、iDeCoや個人年金などの制度を利用し、賢くお得に投資をはじめてみてはいかがでしょうか。
自分にあった方法を知りたい、具体的に始め方や進め方が知りたい、という方は1度、FPやIFAに相談してみましょう。