新NISAが始まり、制度そのものが恒久化されました。
NISA恒久化によるデメリットは基本的にはほとんどありません。
むしろ、恒久化によって長期運用が可能になったことが最大のメリットです。
この記事は
- NISA恒久化によるメリットとデメリット
- 現行NISAから新しいNISAへの変更点
- 既に現行NISAを始めている方向けの新しいNISAの注意点
について解説します。
NISA恒久化による最大のメリットは、より長期運用が可能になったこと
NISAが恒久化されたことの最大のメリットは、より長期的な資産運用が可能になったことです。
一般的に、運用期間は長期になればなるほど利益が安定します。
更にその利益はこれまでと同様非課税となるため、大きな利益になればなるほど税金面でお得になります。
例えば、新NISAの成長投資枠(後述)で240万円を年7%で運用できたとします。
以下の表の通り、時間とともに増え幅も大きくなり、その分税金もお得になることが分かります。
このように、NISAが恒久化されたことによりメリットが拡大し、より長期的な資産運用を行うことが可能になりました。
新しいNISAと旧NISAとの変更点
旧NISA制度が拡充・恒久化されたため、新しいNISAには基本的にデメリットはありません。
ただし、いくつか変更点(良くなった点)があるので確認しておきましょう。
新しいNISAと旧NISAの比較
参考:日本証券業協会|2024年以降のNISAに関するQ&A
①投資可能期間が恒久化された
新しいNISAでは、投資可能期間が恒久化され、いつでも投資が可能になりました。
旧NISAでは、投資可能期間は以下の通りでした。
- 一般NISA:2028年まで
- つみたてNISA:2042年まで
②非課税期間が無期限になった
新しいNISAでは、非課税期間は無期限になりました。
旧NISA制度では、以下の期間が設定されていました。
- 一般NISA:5年
- つみたてNISA:20年
③1つの口座で2つの投資枠が使えるようになった
新しいNISAでは成長投資枠とつみたて投資枠を一つの口座で管理することとなり、併用できるようになりました。
旧NISA制度では、一般NISAかつみたてNISAのいずれかしか利用できませんでした。
- 成長投資枠・・・旧一般NISAのイメージ
- つみたて投資枠・・・旧つみたてNISAのイメージ
④年間投資上限額が増えた
新しいNISAでは年間投資上限額が以下の通り増えました。
- 成長投資枠:240万円
- つみたて投資枠:120万円
旧NISA制度の年間投資上限額は以下の金額でした。
- 一般NISA:120万円
- つみたてNISA:40万円
新しいNISAでは両方の枠を利用すると年間で最大360万円まで購入することが可能です。
新しいNISAは基本的には内容が拡充され、旧NISAよりも使いやすい制度になりメリットが大きくなっています。
NISA恒久化のデメリットとなりうるロールオーバーの取り扱い
2024年から始まった新しいNISAでは、旧NISAで認められていた「ロールオーバー」ができなくなりました。
これまでは、ロールオーバーによりNISAの非課税期間を5年延長できたのですが、同じように、非課税期間を延ばすためには、「一度売却してから新しいNISAで買いなおし」をする必要があります。
ただし、新しいNISAで買いなおすことにより、非課税の期間を無期限にすることができるので、従来のロールオーバーをするよりもメリットが大きくなります。
語句説明:ロールオーバーとは
ロールオーバーとは、旧NISAで利用できた制度で、一般NISA口座の非課税期間(5年間)が終了したあとに、金融商品を翌年の非課税投資枠へ移管することです。
例えば、2020年に一般NISAで購入した株式や投資信託は、2024年の12月末で非課税期間が終わります。
それを翌年2025年の非課税枠に移す(ロールオーバーする)ことでさらに5年間(2029年12月末まで)の実質10年間の非課税運用ができました。
旧NISAの商品を売却して、新しいNISAで買いなおす際の3つの注意点
NISAで保有している商品を売却して、新しいNISAで買いなおせば非課税の期間を無期限にすることができ、実際には旧制度のロールオーバー以上のメリットがあります。
しかし、この買い直しの際にデメリットが起こる場合がありますので、対策も含めて説明していきます。
新しいNISAで買いなおすのに販売手数料(購入時手数料)がかかることがある
新しいNISAで買いなおしをする場合、新たに販売手数料がかかる場合があります。
買い直しをするというのは「持っている商品を一度売却し、再度新しく購入する」ということです。
そのため、新しく商品を購入するときに販売手数料がかかる場合は、その分投資の元本が少なくなってしまいます。
旧NISAでできたロールオーバーは、手数料がかからず全額非課税での運用を5年間再延長することができました。
しかし、新しいNISAで買いなおす場合は販売手数料分、投資の元本が減ってしまいます。
デメリットへの対策
ネット証券会社等、販売手数料が無料の金融機関を選べばこのデメリットはなくなります。
さらにロールオーバーでは最大でも5年間の延長しかできませんが、新しいNISAで買いなおしをすると非課税期間も無期限になるのでメリットも大きいです。
補足説明:ロールオーバーの手続きに比べ、買い直しの方が手間はかかる
ロールオーバーの場合、ロールオーバーを選択する旨の書面にサインをするだけで手続きが完了しました。
しかし買い直しの場合は一度売却の注文を入れ、その後もう一度、投資信託を再度注文するという手続きが必要です。
現行NISAと新しいNISA口座の金融機関を変更する場合には、下記の手続きも併せて必要になります。
- NISAの金融機関変更の手続き(新規の口座開設も必要)
- 売却代金を新しいNISA口座がある金融機関へ振り込み
ロールオーバーの手続きと比べると買い直しの方が手続きはやや増えます。
しかし、1つ1つの手続き自体は難しいものではありません。
買い直しで非課税期間が無期限になることを考えればデメリットは少ないでしょう。
新しいNISAで年間240万円以上の買い直し(購入)はできない
旧一般NISAの商品を一度売却し新しいNISAで買いなおす場合、一回で買える金額の上限は240万円以内です。
成長投資枠の年間の投資上限額は240万円なので、それ以上買い直したい場合は翌年以降の成長投資枠で買う必要があります。
例えば、旧一般NISAで購入した投資信託が時価300万円になっていた場合、全額売却して300万円分を一度に新しいNISAで買い直しすることはできません。
240万円分は今年の枠で買えますが、残りの60万円は来年まで新しいNISAで買い直しはできません。
デメリットへの対策
120万円の投資信託が5年で240万円以上の価格になることはかなりレアケースだと思いますので、多くの方はあまり気にされなくて良いデメリットだといえます。(年平均利回り14%以上必要)
もしこのデメリットに該当する方は、超えた分はつみたて投資枠を利用することを検討しても良いでしょう。
旧NISAで購入しているものと同じ商品を、新しいNISAで買い直しできないこともある
旧NISAで購入していた商品は、新しいNISAで同じ商品を買いなおすことができない場合があります。
なぜなら、新しいNISAの『成長投資枠』では、購入できる商品が一部除外され、条件に合ったものしか購入できなくなったからです。
補足説明:成長投資枠で購入できる商品の条件
- 上場株式(監理・整理銘柄を除く)
- 投資信託等(信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型を除く)
※2023年までの旧一般NISAでは、成長投資枠で除外されるような株式や投資信託も購入することが出来ます
※つみたて投資枠で購入できる商品は、つみたてNISAの商品が引き継がれます
参照:金融庁|新しいNISA
そのため、旧一般NISAで購入していた商品が、新しいNISAの成長投資枠で除外された商品の場合は購入できません。
デメリットへの対策
基本的に、除外される商品は初心者向きとはいえないものや、安定的な資産形成には向かないもの、長期的に見て利益が出にくいもの、などです。
同じ商品が買えないことをプラスに捉え、対象商品の中から自分に合った商品を探してみることをお勧めします。
判断に迷う方はIFAに相談してみてください。
まとめ
新しいNISAは従来のNISAやつみたてNISAに比べて基本的にデメリットはありません。
むしろ、恒久化されたことにより、より長い期間の運用が可能となったため、NISAのメリットは拡大したと言えます。
これから、新しいNISAを始めようという方で、始め方が分からない、商品選びに悩む方はFPやIFAに一度相談してみることをおすすめします。
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