将来設計を考えるうえで、お金に関する知識は不可欠です。特に20代という早い段階で正しい知識を身につければ、その後の人生も豊かになります。
しかし、「何から学べば良いのか分からない」「お金の勉強は難しそう」と感じる方も少なくないでしょう。実際には、基本的なポイントを押さえることで、着実に理解を深めることが可能です。
本記事では、20代から始めるお金の勉強の大切さと、習得しておくべき知識の分野や具体的な学習方法について解説します。ご自身の明るい未来のために、お金に関する知識を深めていきましょう。
20代でお金の勉強をするメリット
20代のうちからお金の勉強を始めると、お金の勉強を始めなかった人と比べて、将来的に大きな差がつくことになります。お金の知識は覚えたその瞬間から一生役に立つ”財産”となります。
それでは、20代でお金の勉強を始めたらどんなメリットがあるのか早速見ていきましょう。
資産運用を勉強すれば有利にお金を増やせる
お金を貯めることだけではなく、今あるお金を資産として運用し、増やすことを勉強すると賢く、そして有利にお金を増やすことができます。
資産運用は仕組み・リスクを理解した上で運用すれば、効率的にお金を増やすことができます。まずは資産運用でどれくらいお金を増やすことができるのかシミュレーションしてみましょう。
まなさんは現在60歳。25歳から資産運用を始めました。

25歳から60歳までの35年間運用した結果、手元の資金は1,811万円になりました。投資金額のトータルは35年間で420万円なので、投資の利益は1,391万円です。

つまり、何もしなければ420万円だったお金が資産運用をすることで1,811万円になったということです。
資産運用は早く始めるほど「複利効果」でメリットが大きくなります。
複利効果とは?
元本に対しての利益(利子、利息)を受け取ると単利、受け取らないで再投資すると複利になります。
複利の場合は、翌年以降は利益にも利益をつけて増やしていくことになるので、雪だるま式に増えていきます。時間の経過により複利の効果は大きくなります。
具体的に見ていきましょう。
先ほど登場したまなさんの双子の妹であるかなさん。かなさんは現在60歳で35歳から資産運用を始めました。(利益率や毎月の投資額はまなさんと同じと仮定します)
35歳から60歳までの25年間運用をした結果、手元の資金は814万円になりました。

まなさんはかなさんよりも10年早く資産運用を始めただけですが、なぜここまで差がついてしまったのでしょうか?
この差が先ほど説明した複利効果です。長期保有をすればするほど雪だるま式に利益が増え、複利の効果が大きくなります。

保険を勉強すれば保険料を安く済ませられる
”お金の勉強”の中には、”保険の勉強”も含まれます。
お金(保険)の勉強を20代で始め、その必要性に早く気づくことができれば、保険料を安く抑えることができます。
生命保険は、『年齢』と『健康状態』で保険料が変わってくるからです。同じ保障内容でも、年齢が若く、健康な方が保険料は安く済みます。
具体的に見ていきましょう。
まなさんは25歳、双子の妹かなさんは35歳で保険の加入を検討しました。
二人とも3つの同じ保険に加入しました。ところが……保険料に大きな差が出ました。

20代で加入していると同じ保障内容でも割安な保険料で済みます。健康な方が保険料も安く済むので、若くて健康なうちに保険に加入することをおすすめします。
税金を勉強すれば節税できる
税金については難しく感じるかもしれませんが、社会に出たら早めに勉強を始めることをお勧めします。
税金は毎年のことですし、何十年と払うことになります。”節税”を知っているのと知らないのでは、大きな差が出ることになります。
例えば、代表的な節税方法『iDeCo』を例にとってみましょう。
iDeCoとは
個人型確定拠出年金と言われる自分で作る年金制度です。
自分で
- 掛金を支払って
- 運用する商品(投資信託など)を選び
- 年金か一時金で受け取ります。
具体的に見ていきましょう。
まなさんは25歳で投資を始めようと考え、非課税で受け取れるiDeCoを始めました。一方かなさんも投資を始めましたが普通の株式投資で、iDeCoについては無頓着。節税についてもよく調べず、iDeCoは始めませんでした。
60歳になったとき、二人の間には大きな差が生まれていました。

同じ利益が出たのにまなさんとかなさんには受け取る額に約30万円の差が出てしまいました。iDecoのメリットを知り、節税することで将来的に大きな差が出ることになるので、iDecoを活用してみましょう。
iDeCoのその他の節税メリット
また、iDecoには掛金全額を所得控除として節税できたり、退職金として税制優遇されるなど節税としてのメリットがたくさんあります。
特に掛金全額を所得控除として節税できると、所得税と住民税が軽減され生涯で大きな節税になります。
ぜひこの機会にiDecoについて詳しく調べてお得に節税していきましょう。
20代でお金の勉強を始めるなら目的を明確にすることが大切
まずは「何のためにお金を貯めるのか」という目的を明確にすることが重要です。
目的を明確にするのにおすすめなのが、将来のライフイベントでどれくらいの費用が必要になるのかを把握しておくことです。以下におもなライフイベントと費用の目安をまとめました。
これらの情報を参考に、ご自身のライフプランと照らし合わせてみてください。

※上記はあくまで目安であり、個々の選択や状況によって金額は変動します。
20代のうちにするべきお金の勉強7選
将来のために、20代のうちにどのようなお金の知識を身につけておくと良いのでしょうか。ここでは、特に私たちの生活に密接に関連し、早期に学ぶメリットが大きい分野を紹介します。
お金の仕組み
社会生活を送るうえで、お金がどのように動いているのか、基本的な仕組みを理解しておくことは非常に重要です。
給与明細の見方:毎月受け取る給与明細には、収入の内訳だけでなく、税金や社会保険料など、さまざまな情報が記載されています。これを正確に読み解くことで、自身の手取り額や控除されている内容を把握できます。
税金と社会保障:所得税や住民税といった税金、そして年金や健康保険などの社会保障制度は、私たちの生活に不可欠なものです。これらの制度がどのような役割を果たし、自分がどのように関わっているのかを理解しておきましょう。
家計管理
日々のお金の流れを把握しコントロールするスキルは、20代のうちに身につけておきたい能力のひとつです。
たとえば家計簿やアプリなどを用いて、収入と支出を定期的に記録することなどが挙げられます。これは自身の消費傾向を理解するうえで非常に有効です。
予算内での生活や、将来に向けた貯蓄目標が達成しやすくなり、お金に対する漠然とした不安を軽減できるでしょう。
金融・経済の基礎知識
金利、インフレ、為替といった基本的な経済指標や、金融に関連する専門用語の意味を理解しておくことは、社会人としての情報リテラシーを高めるうえでも非常に重要です。
日々ニュースで触れる経済の動向や金融に関する情報は、私たちの生活や将来設計に密接に関わっています。
これらの知識を身につけることで、社会の出来事が自身の経済状況にどのような影響を与えるのかを読み解くことができます。
金融商品の知識
将来に向けて資産形成を考え始めたとき、さまざまな金融商品の中から自分に合ったものを選ぶためには、それぞれの基本的な知識が不可欠です。
たとえば、投資信託、株式、債券といった代表的な運用商品や、貯蓄機能を備えた保険商品などがあります。その仕組みやメリット・デメリット、リスクをあらかじめ勉強しておくことで、いざ資産形成をスタートする際に、自身の目的やリスク許容度に合わせた適切な商品選択が可能になります。
保険の必要性や役割
保険は、将来起こり得るさまざまなリスクから自身や家族の生活を守るための有効な手段のひとつです。
しかしその種類は多岐にわたり、それぞれ保障内容や目的が異なります。たとえば、医療保険は病気やケガによる入院・手術費用をカバーし、個人年金保険は老後の生活資金を準備するためのものです。また、介護保険は将来介護が必要になった際の経済的負担を軽減します。
これらの保険が持つ本来の役割や必要性を正しく理解することで、情報に流されることなく、自身にとっての適切な保険選びができるはずです。
貯蓄・節約のための制度
将来に向けた貯蓄や日々の節約を効果的に進めるためには、国が設けているさまざまな優遇制度を知ることも大切です。
特に、NISAやiDeCoといった制度は、資産運用を行う際に得られる利益に対する税金が軽減されるため、長期的な資産形成を目指す20代にとっては大きなメリットがあります。
またこれらに加えて、ふるさと納税のように実質的な自己負担を抑えながら地域貢献ができる制度や、住宅ローン控除、医療費控除といった、特定の支出に対して税金の還付や軽減を受けられる制度も学んでおくと良いでしょう。
ライフプランニング
将来に対する漠然とした不安を解消するためには、ライフプランニングという考え方が有効です。
まずは自身の思い描く将来の姿をイメージしましょう。結婚、出産、マイホームの取得、そしてリタイア後の生活などが挙げられます。その大きな節目となるライフイベントでどれくらいの資金が必要になるのかを把握していきます。
そして、それらの資金をどのように準備していくのか、長期的な視点でお金の計画を立てていくことが重要です。
おすすめのお金の勉強方法4選
ここではおすすめの勉強法について、それぞれのメリット・デメリットを見ていきます。
セミナー
お金についての基礎知識や資産運用や保険の知識をファイナンシャルプランナーなどの講師から学ぶことができます。
メリット
- お金のプロであるFPが教えてくれる
- 正しい知識を基礎から学ぶことができる
- 最近ではオンラインセミナーもあり家でも受講できる
デメリット
- 特定の商品(保険や投資信託など)をおすすめされることもある
セミナーを受講して勉強するときのポイント
お金に関するセミナーは無数にあります。その中でも20代の”マネー初心者”の方は、セミナータイトルか内容に、「マネーの基礎」「お金の基本」といった文字があるものを探しましょう。
あるいは前章でお伝えした、学ぶべきお金の分野の中から、自分の興味のある内容のセミナーを探すのも良いでしょう。
ブログ
スマホで知りたいワードを検索するとすぐに知りたい情報が出てきます。お金の用語を知りたいときにとても便利ですね。
分からない単語、興味がある分野を片っ端からインターネット検索するだけでもある程度勉強することができます。
メリット
- 最新の情報を知ることができる
- スマホなどでいつでもどこでも手軽に学ぶことができる
デメリット
- 偏った情報も多数ある
- 自分にその情報が合っているかどうかは、自分で判断しなくてはならない
- 情報量が少ないブログでは理解が深まらない
ブログで勉強するときのポイント
ファイナンシャルプランナーなどの資格を持った人が書いたブログを読むようにしましょう。また、理由や根拠がしっかりとしている、データや数字で説明している記事を参考にするとなお良いでしょう。
ネットの情報は偏ったものが多く、それが本当に正しいかどうか判断するのは難しいです。
できる限り、以下のようなブログで勉強しましょう。
- 信頼できる人が書いている
- 書いていることに根拠がある
- セールス(商売)のために書かれたものではない
本
正しい知識を、じっくりと、自分のペースで学ぶことができます。お金に関する本はたくさんあるので、自分のレベルにあった本を選ぶ必要があります。
メリット
- ネットの情報よりも精査されているものが多い
- ネットの情報よりも情報量が多い
- 自分のペースでじっくりと勉強を進めることができる
- 何度も見返し勉強することができる
デメリット
- 「お金」についての書籍も星の数ほど存在するため、どの本を選べばいいかわかりにくい
- 自分の知識レベルにあった本を探すのが難しい
- 一般論のみのため、自分で実行・行動するのはハードルが高い
本で勉強するときのポイント
本は選ぶのが大変だと思います。最初は『ランキング』に頼って選んでみても良いかもしれません。または、本のサブスクなどを利用して興味のある本を片っ端から読むのもお勧めです。
どちらの方法にせよ、複数の本に書いてあることを比較、検討し、どの情報が自分に合っているか?を判断することが重要です。
動画(SNS)
お金に関する知識を持ったSNSの動画で学ぶこともできます。さまざまなカテゴリーがありますが、誤った情報もあるため注意が必要です。
メリット
- 家や外でも学ぶことができる
- ブログや本に比べてとっつきやすい
- 初心者向けの動画も多く分かりやすい内容になっている
デメリット
- 誤った情報や偏った情報も多い
- 派手な演出などがあるため情報に流されやすい
動画で勉強する時のポイント
動画の情報を鵜呑みにしすぎないことが一番のポイントです。SNSでは視聴者数を増やすために大げさに表現することもしばしばあります。情報の正しさを常に意識しながら視聴しましょう。
お金の勉強は早く始めるほどメリットがある
20代でお金の勉強をして、実践することで大きなメリットがあることがお分かりいただけたと思います。もちろん、勉強は早ければ早いほど良いでしょう。
しかし、今からでも遅くないので得た知識を後回しにせず、実行していきましょう。
資産運用や保険など難しくてよくわからないという方はぜひプロのファイナンシャルプランナーに無料で相談してみてください。