年収1000万円で医療費控除するとどれくらい戻ってきますか?

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年収1000万円で医療費控除するとどれくらい戻ってきますか?

年収1000万円で医療費控除するとどれくらい戻ってきますか?

「私は年収高めな方だと思うのですが、医療費をたくさん支払ったらやっぱり医療費控除を申請した方がよいのでしょうか?」

医療費控除は節税になりますので申請することをおすすめします。

特に、年収が高い人は節税金額が大きくなるのでよりお得です。

本記事では、年収1,000万円と500万円の人で医療費控除による節税額を比較しました。

どのくらいの節税になるか確認していきましょう。

ただし、医療費控除を申請するにあたり注意点もあります。

ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事でわかること

  • 医療費控除でどのくらいの節税になるか
  • 医療費控除を申請するにあたっての注意点
  • 医療費の自己負担を軽くする保険について

この記事を書いたFP
年収1000万円で医療費控除するとどれくらい戻ってきますか?
日野 大介
日野 大介
知っておくべきお金の知識は意外にシンプル! そのシンプルなお金のしくみや活用の仕方を分かりやすくお伝えします。

目次

医療費控除でどのくらい節税できる?年収1,000万円と500万円で比較

高額な医療費を支払った場合は、医療費控除を申請すると節税できます。

例えば、会社員が医療費控除を申請すると、所得税については税金が戻ってきて、住民税については支払う税金が少なくなります。

特に年収が高めの人は医療費の自己負担額が多くなりがちなため、医療費控除で節税できるか気になるところですね。

そこで、医療費控除でどのくらい節税できるかの目安を年収1,000万円と500万円で比較してみます。

仮に医療費が50万円かかった場合の節税額は、

年収1,000万円の場合:132,000円
年収500万円の場合:80,000円

となります。

▼年間で医療費(自己負担分として)50万円かかった場合

年収1,000万円と年収500万円の人が、同じ40万円の医療費控除を申請した場合の税金(所得税・住民税)の軽減額を比較した表。年収1,000万円の場合は合計132,000円、年収500万円の場合は合計80,000円の節税効果があることを示しています。

FPからのアドバイス

夫婦共働きのケースでそれぞれが医療費を負担している場合は、年収の高い方がまとめて医療費控除をすると、より税金が戻ってくるためおすすめです。


年収高めの人が医療費控除をすると、税金(所得税)が多く戻る仕組み

医療費控除は1月1日から12月31日までに10万円を超えて医療費を支払った場合(所得が200万円以下の人は所得の5%を超えて支払った場合)に、税金が戻ってくる仕組みです。

基本的には、以下の式で戻る金額が決まります。

(医療費の自己負担額-10万円)× 所得税率

そして、年収が高いと所得税率が高くなります。

そのため、年収が高めの人は医療費控除によって払いすぎていた税金が多く戻ります。

▼所得による税率

日本の所得税の速算表。課税所得金額の区分に応じて、195万円以下の5%から、4,000万円を超える場合の45%まで、7段階の税率が示されています。

参考:国税庁|所得税の税率


医療費控除をすると、住民税の負担も軽くなる

住民税は所得に応じて翌年に支払う仕組みのため、所得税のように税金が戻ってくるのではなく、医療費控除で支払う住民税が安くなります。

所得にかかる住民税の税率は10%なので、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税は安くなります。

<医療費が50万円かかった場合の計算式>

(医療費控除の自己負担額50万円-10万円)×10%=4万円


年収高めの人は医療費の自己負担が多くなる点でも医療費控除はお得

年収の高い人が高額な医療費を支払うと、自己負担額は多くなりがちです。

なぜなら、同一月に支払った医療費には自己負担限度額が収入によって定められているところ、年収の高い人は自己負担限度額は高いからです。

▼医療費が100万円かかった場合の自己負担限度額(年収1,00000万円と500万円で比較)

高額療養費制度における年収1,000万円と年収500万円の自己負担上限額を比較した表。医療費が100万円で窓口支払額が30万円の場合、年収1,000万円の人の自己負担上限額は254,180円、年収500万円の人は87,430円となり、収入によって上限額が異なることを示しています。

特に子どもがいて家族が多い人は医療費控除を家族分まとめて申請すると、自己負担額は多くなりがちです。

ですので、年収の高い人にとって、医療費の負担が多くなるという点でも医療費控除はお得と言えます。

FPからのアドバイス

そもそも健康保険の適用がない自由診療などの費用には、医療費の自己負担限度額が適用されません。

その場合は年収にかかわらず医療費は高額となりますので、医療費控除をおすすめします。


高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、同一月にかかった医療費が高額になる場合、決められた自己負担額を超えて支払った医療費は後で払い戻される制度です。

医療費が高額になるのが事前に分かっている場合は、限度額適用認定証を医療機関の窓口で提示すると、窓口負担が自己負担限度額で済みます。

▼参考:70歳未満の人の自己負担限度額 

高額療養費制度の自己負担限度額を所得区分別に示した表。住民税非課税世帯(35,400円)、年収約370万円まで(57,600円)の固定額から、年収約370万円~約770万円、年収約770万円~約1,160万円、年収約1,160万円~の3区分における計算式(固定額+超過医療費の1%)まで、5段階の区分が示されています。

医療費控除の注意点

ここまで見てきた通り、医療費控除は節税になり、特に年収の高い人はお得です。

とはいえ、医療費控除は手間がかかるし、人によっては効果があまりない場合もあります。

そこで、医療費控除の注意点もみていきましょう。

医療費控除をするには確定申告が必要

まず、医療費控除をするには、確定申告が必要となります。

会社員や公務員は普段から確定申告をしている人はあまりいないと思われます。

不慣れな確定申告が必要となるとハードルが上がると感じる人も少なくないでしょう。

また、かかった医療費の領収書などを残しておくことも必要となります。

医療費控除の対象にならないものがある

次に、医療費控除はどんな医療費でも対象となるわけではありません。

例えば、直接治療に関係ない場合の費用(美容整形、美容のための歯列矯正など)など医療費控除の対象とはなりません。



医療費控除の対象について
◇対象になる主なもの

  • 病院での診療、治療、入院費(部屋代、食事代含む)など
  • 医師から処方された医薬品、治療に必要な治療器具
  • 通院に必要な交通費
  • 歯の治療費(インプラントなど保険適用外の費用も含む)
  • 治療のためのリハビリやマッサージ費用
  • 介護保険の対象となる介護費用

◇対象にならない主なもの

  • 美容整形など容姿や容貌を変えるための手術など費用
  • 健康診断の費用
  • 近視や遠視などの眼鏡の購入費用
  • 疾病予防や健康増進のためのサプリメント、漢方薬の費用
  • 自分の都合で利用した差額ベッド代

参照:国税庁|医療費控除の対象となる医療費

医療保険で給付金を受けた場合は、医療費控除ができない可能性がある

医療保険に加入していて、入院や手術など給付金をもらっている場合は医療費控除できないこともあります。

なぜなら、医療費控除できる金額は実際に負担した医療費から保険など給付金を差し引いて計算されるからです。

ですので、手厚い医療保険に加入している人は給付金を多額にもらうと医療費控除ができない、または戻ってくる金額が少なくなることがあります。


▼医療費控除できる金額 

医療費控除額の計算方法を所得金額別に示した図。所得金額が200万円以上の場合は「1年間に支払った医療費総額 − 保険金などで補填される金額 − 10万円」と計算されます。所得金額が200万円未満の場合は、10万円の代わりに「所得合計金額の5%」を引いて計算することが示されています。

医療費の自己負担を減らしたい人は、自己負担分が戻る医療保険に加入するのもアリ

年収の高い人は医療費の自己負担が多くなりがちなため、できるだけ自己負担を減らすのが理想です。

その場合、入院や手術など医療費の自己負担分が戻る医療保険を検討するのもよいでしょう。


まとめ

医療費を多く支払った場合、医療費控除を申請すると節税できます。

特に、年収が高い人は医療費控除の申請によって、より節税のメリットが大きいのでおすすめです。

そして、特に医療費の自己負担が多くなりがちな収入が高い人は、医療費を抑える方法も併せて考えたいですね。

医療費に限らず他にできる節税方法など、少しでもお得になる方法を具体的に知りたい人はファイナンシャルプランナーに相談してみてください。

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