「投資信託とファンドラップって何が違うの?」
どちらも「プロに運用を任せられる」と説明されることが多いため「違いがよくわからない」という方は少なくありません。
ですがこの質問、実は少しずれている質問なのです。
なぜなら、
投資信託 → 金融商品
ファンドラップ → 投資信託を選ぶ手段の一つ
(本来の意味を考えると)この2つは根本的に違い、比較する対象ではないからです。
投資信託とファンドラップの違いは何か?という質問は、『回転寿司とお寿司の違いは何か?』と質問しているのと同じニュアンスです。
投資信託は、ファンドラップというサービスを通して買うこともできますし、自分で選んで買うこともできます。
そこで今回の記事では、現役FPかつIFAの目線から、
「自分で選んで投資信託を買う」ことと「ファンドラップを通して投資信託を買う」ことの違いをわかりやすく説明していきます。
結論を先に言うと『自分で選んで投資信託を買う』ことを強くおすすめします。
この記事で分かること
- 投資信託とファンドラップの根本的な違い
- 投資信託とファンドラップの、購入プロセスの違い
- 投資信託とファンドラップのメリット・デメリットの違い
- 『自分で投資信託を選んで買う』ことのススメ
投資信託とファンドラップの根本的な違い
投資信託は金融商品であり、ファンドラップは投資信託を選ぶ手段です。
まずは双方の根本的な違いを見ていきましょう。

投資信託は『金融商品』
投資信託とは、投資家から集めたお金を運用会社が運用し、その成果(利益)を投資家に分配する『金融商品』です。
資金をもとにファンドマネージャー(上図の「専門家」部分)は投資家に代わって、株式や債券などの金融商品を売買します。
そこで利益が出れば私たちが出し合ったお金も増えますし、損が出れば減ります。
ファンドマネージャーがどんな金融商品(株式や債券など)を買っていくかは、その投資信託によって違います。
「日本株式でお金を増やしたいのか、外国株式なのか、両方なのか」
「株式だけでなく債券も混ぜてお金を増やしたいのか」
という運用方針だけを決め、それらで運用していく投資信託を選んで買えば良いということになります。
ファンドラップは『投資信託を選ぶ手段』
ファンドラップは、「どの投資信託を選ぶか」という工程を金融機関(銀行、証券会社)にお任せできるサービスです。
つまり、投資信託を選ぶ手段ということです。
もう少し詳しく説明すると下記の図のように、
「どの投資信託を買うか」
「どれくらいの割合で買うか」
「いつ売るか」
といったことを全て金融機関にお任せすることになります。(これを投資一任契約といいます)
ファンドラップは、金融機関が投資信託を選んでいる場合が多い
金融機関のサイトでファンドラップの説明を見ると「プロに投資信託選びを任せられる」という表現になっているところが多いです。
しかし、蓋を開ければ金融機関が選んでいるところがほとんどです。
そのためこの記事では、「投資信託選びをプロにお任せ」ではなく、「金融機関にお任せ」という表現をしています。
投資信託とファンドラップの、購入プロセスの違い
自分で投資信託を選んで買う場合と、ファンドラップで買う場合の、それぞれの購入までのプロセスや運用方法の違いを見ていきましょう。

投資信託を自分で買う流れ
ご自身で投資信託を買う場合、以下のような流れになります。

選べる投資信託の本数は約6000本です。
この中から、自分の運用目的に合った投資信託を選び、注文(購入)する必要があります。
また、自分で投資信託を購入する場合、金額は100円〜と気軽に始めることができることも特徴です。
ファンドラップ使う際の買う流れ
ファンドラップを使って投資信託を購入する場合、以下のような流れになります。

ファンドラップでは、ヒアリングシートに記入するだけで、リスク許容度や運用方針が決まり、それに合わせた投資信託が決まります。
その後、あなたに代わって金融機関が購入を進め、運用を行ってくれます。
金額は300万円〜に設定している金融機関が多く、まとまったお金が必要となるのが特徴です。
投資信託とファンドラップのメリット・デメリットの違い
ここでは、「自分で投資信託を選んで買う」とファンドラップを通して投資信託を買う」、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

投資信託を自分で選んで買うことのメリット・デメリット
投資信託を自分で選んで買うことのメリット
- 6000本の中から好きな投資信託が選べる
日本で買える投資信託は全部で約6000本あり、この中から好きな投資信託を自由に選べることが大きなメリットです。
また、複数の投資信託を買う場合も、自由な割合で買うことが出来ます。
投資信託を自分で選んで買うことのデメリット
- 基本的な資産運用の知識がないと、投資信託を選ぶのが難しい
投資信託は6000本の中から自分に合ったものを選ぶ必要があるため、基本的な資産運用の知識がないと選ぶのが難しい、ということがデメリットです。
資産運用の知識がないと、
「何を買っていいか分からない」
「成績の悪い投資信託を買ってしまう」
「自分の運用目的に合わない投資信託を買ってしまう」
ということが起こってしまう可能性があります。
ファンドラップを通して買うことのメリット・デメリット
ファンドラップを通して買うことのメリット
- 投資信託選びを金融機関に丸投げできる
投資信託選びから購入までを金融機関に丸投げできる、ということがメリットです。
ファンドラップを通して買うことのデメリット
- 選ばれる投資信託が限定的(金融機関でパッケージ化されている)
- 基本的にリスク許容度のみの判定で投資信託が選ばれてしまう
- 投資信託選びを丸投げするための手数料が別途かかる
金融機関に”丸投げ”することは、デメリットとして働く場合もあります。
「金融機関が選ぶ=より効率的にお金が増やせる」というわけではないからです。
実は、「金融機関にお任せで選んでもらう方が良いものを選んでくれるだろう」と思ってファンドラップに手を出すと、想像に反した結果になる可能性もあります。
お金を増やしたいならファンドラップはおすすめしません
私は、お金を増やしたいと思っている方に、ファンドラップはおすすめしません。
おすすめできない理由には大きく3つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6000本の中から投資信託が選ばれているわけではない
ファンドラップは、6000本の投資信託の中から皆さんにあった投資信託を選んでいるわけではないことがほとんどです。
基本的には金融機関が数本~数十本ほどの投資信託をファンドラップ用にパッケージ化したものから選んでいます。
パッケージ化の例
保守コース
A投資信託70%、B投資信託20%、C投資信託5%、D投資信託5%
安定コース
A投資信託50%、B投資信託30%、C投資信託10%、D投資信託10%
積極コース
A投資信託30%、B投資信託30%、C投資信託20%、D投資信託20%
上記の例でいえば、ここで選ばれているA~Dの投資信託は「同じグループ会社の投資信託のみ」の事も多いのです。
本来であれば、あなたに合った投資信託を“6000本”もの中から選んで提案することが必要です。
しかし、“予め用意した(金融機関側に都合の良い)数本~数十本の投資信託”の中から提案するのがファンドラップなのです。
リスク許容度のみで運用方針が決められる
ファンドラップは、ほぼ「リスク許容度」のみで購入する投資信託が判断され、運用方針が決められてしまいます。
つまり、投資に回すお金が
「いくらくらいマイナスになっても生活に影響がないか」
「気持ち的に耐えられるか」
といった点を中心にヒアリングされ、投資信託が選ばれるということです。
その回答によって、例えば、
- 全く影響のない人や精神的にマイナスに耐えられる人は「積極型」
- 影響が大きく、耐えられない人は「安定型」
といった形で振り分けられます。
また、前述したように、事前に金融機関側で
「積極型になった人には投資信託はこれとこれ」
「安定型はこれとこれ」
といった形で投資信託がパッケージ化されたものが提案されます。
ファンドラップのヒアリング項目例
下記は、ある金融機関のファンドラップのヒアリング項目の一例です。
- 投資経験(金融商品)
- 投資情報の収集方法
- ファンドラップの投資予定金額
- ファンドラップ以外の余裕資金
- ファンドラップのための資金用途
- ファンドラップの資金原資
- ファンドラップの運用期間
- 希望の運用方針(安全、バランス、積極)
- 仮に1年後運用で10%下がっていたとしたら、どうしたいか?
- 5年後にこの範囲(選択肢あり)だとしたらどれが希望か?
- 10年後にこの範囲(選択肢あり)だとしたらどれが希望か?
- 新興国株・債券に積極的に投資をしたいか?
- コモディティ(商品)に投資をするか?
- ヘッジファンドに投資するか?
- 海外資産への投資を50%以上にするか以下にするか?
手数料がかかる
ファンドラップで投資信託を購入する場合、手数料を取られてしまうこともおすすめできない理由の一つです。
同じ投資信託でも、自分で買うのとファンドラップで買うのではかかる費用が大きく違います。
たとえば自分で投資信託を買えば、かかるのは信託報酬だけで、年0.3%くらいです。
しかし、ファンドラップは信託報酬に加えて、約1〜2%前後の手数料がかかります。
同じ商品を買っていても、年間で1%以上コストに差が出ることもあります。
初心者でも投資信託は自分で選んで買うのがおすすめ
私は、初心者でも投資信託は自分で選んで買うことをおすすめします。
なぜなら、自分で選ぶことでしか、自分の運用目的に合った、最適な投資信託を選ぶことはできないからです。
自分に合った、正しい選び方ができた投資信託さえ選ぶことができれば、長期にわたってお金は増える可能性が高まります。
しかしながら、投資信託を自分で選んで買うことは、初心者には難しい場合が多いです。
ただ、その選び方を解決する方法があります。

投資信託選びに不安がある方は、IFAに相談しよう
自分で投資信託を選んで買うのがおすすめと話してきましたが、初心者の方の中には、
「選ぶ基準がわからない、そのための知識がない」
「自分だけで判断するのは不安」
という方も多いと思います。
そのような方は、ファンドラップを検討する前に「IFA」という資産運用アドバイザーに選び方を相談することをおすすめします。
IFAとは、金融機関から独立して活動する資産運用アドバイザー
IFAとは、金融機関から独立して活動する資産運用アドバイザーです。
特定の銀行・証券・保険会社の営業方針に縛られないため、すべての投資信託の中から、相談者のライフプランに合ったものを選び、運用のアドバイスをすることが可能です。
このIFAに、
「どんな投資信託を買うべきか」
「自分の運用目的に合った投資信託はどれか」
といった事を相談することができます。
その相談結果をもとに、最終的にどの投資信託を買うか(もしくは買わないか)は自分で決めて注文手続きをすることになります。
この方法の良いところはあくまでも、IFAには『相談』が中心という点です。
IFAは相談内容を元に投資信託を選び、提案しますが、必ずしもその投資信託を買わなければいけないわけではありませんのでご安心ください。
IFAは基本的に相談料無料&購入手数料はかからない
IFAに相談しても、基本的には相談は無料ですし、IFAに購入手数料を支払うこともありません。
なぜ無料かというと、IFAから提案された商品を契約した際には、”販売元からIFAへ手数料が支払われる”仕組みとなっているからです。
また、相談料が無料だからといって、強引な営業行為や、不必要な商品提案は行われていませんので、安心して相談ができます。
IFAには様々なことが相談できる
IFAには、投資信託の選び方を相談できるだけではなく、様々なことを相談できます。
- いくら運用すればいいのか?
- NISAやiDeCoといった制度の活用法
- トータル的な資産運用設計
- 購入後の運用のアドバイス
など、様々な相談ができます。
※IFAに相談して購入する場合でも、”自分で選んで買う”プロセスと変わらないので、購入の最低金額は100円〜です。
まとめ
「IFAに相談してみたいな」と思った方は是非一度、IFAが主催するマネーセミナーに参加してみてください。
当たり前のことかもしれませんが、長期的なお付き合いになるので
「信頼できそうか」
「説明がわかりやすいか」
という点は大切です。
マネーセミナーに参加してみることで、上記の事がわかると思います。
私たちはIFAとして活動しており、無料のマネーセミナーも開催しています。
投資信託に特化したオンラインセミナーもありますよ。
興味のある方はぜひご参加ください。