老後に貯金なしだとどうなる?老後破産を招く5つの原因と今からできる対策を解説

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老後に貯金なしだとどうなる?老後破産を招く5つの原因と今からできる対策を解説
2026.05.15

老後に貯金なしだとどうなる?老後破産を招く5つの原因と今からできる対策を解説

「老後に貯金がなくなったら、どうなるんだろう…」と不安を感じていませんか。

公的データによると、70代の約2割が貯蓄ゼロであり、毎月数万円の赤字が生じているという結果が出ています。「何とかなるだろう」という楽観が老後破綻への入口になりかねません。

この記事では、老後に貯金がないとどうなるのか、老後破綻を招く5つの原因と今からでも始められる4つの方法を解説します。老後のお金への不安を解消し、安心できる生活設計のヒントになるはずです。ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 老後に貯金がない世帯の割合
  • 老後に貯金がない場合どうなるか
  • 老後に貯金がなくなる5つの原因
  • 老後破産を防ぐ4つの方法

この記事を書いたFP
老後に貯金なしだとどうなる?老後破産を招く5つの原因と今からできる対策を解説
古賀 孝夫
古賀 孝夫
【保有資格】
AFP・2級FP技能士/一種証券外務員資格/DCマイスター/相続知財鑑定士

長崎出身。会計事務所を経て、現在に至る。マネープランの基礎知識、税金、生命保険、住宅ローン等、幅広くマネーセミナーの講師とコンサルティングを行なっており、東京を中心に福岡、愛媛でも活躍中。
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目次

1:データから見る「老後貯金なし」のリアルな現状

「老後に貯金がない人は一部の話」と思っていませんか。データを見ると、多くの高齢者世帯が貯蓄不足に直面していることがわかります。

まずは具体的な数字で、リアルな現状を確認してみましょう。

1-1:70代単身世帯の約2割、二人以上世帯の約1割が「貯蓄ゼロ」

金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 (2025年)」によると、70歳代の単身世帯で「金融資産を保有していない(貯金ゼロ)」と回答した割合は20.4%にのぼります。二人以上の世帯でも、貯金ゼロの割合は約10.9%と、約10世帯に1世帯が同じ状況です。

また、貯蓄の中央値(ちょうど真ん中の人の金額)を見ると、単身世帯は500万円、二人以上世帯は1,178万円でした。現役時代からの収入減や、医療費・物価の上昇により、思い描いていた老後資金を貯められない層が一定数存在しています。

1-2:年金だけでは暮らせない?毎月数万円の赤字が発生

総務省「家計調査(2025年/令和7年)」によると、65歳以上の夫婦無職世帯では毎月平均約4.2万円の赤字になっています。一人暮らしの単身世帯でも、毎月約3.0万円の赤字です。

仮にこの赤字が25年間続いたとすると、夫婦世帯で約1,260万円、単身世帯で約900万円のお金が不足します。

背景にあるのは、物価高騰や社会保険料の増加です。年金額がなかなか上がらない一方で、生活コストは確実に増えており、収支のバランスが崩れてきています。

2:「老後に貯金なし」で直面する2つのリスク

老後に貯蓄がないと、生活はどうなるのでしょうか。実は、「年金があるからなんとかなる」では済まない、深刻なリスクが存在します。

老後破産や生活保護受給など、具体的にどんなことが起こりうるのかを見ていきましょう。

2-1:年金だけで生活できず老後破産のリスク

貯蓄がないまま老後を迎えると、年金収入の不足分を補える手段がなく、「老後破産」と呼ばれる状態に陥るリスクがあります。老後破産とは、貯蓄が底をつき、年金だけでは生活を維持することが困難になった状態のことです。

先ほど紹介したとおり、高齢者世帯では毎月3〜4万円の赤字が発生しています。貯蓄がなければ、食費や光熱費を切り詰めるか、あるいは新たな収入源を確保するしかありません。医療費を節約するために病院に行けなくなったり、冷暖房を控えることで体調を崩したりと、生活の質が大きく低下してしまいます。

2-2:最悪の場合は生活保護を受給することになる

資産も収入も底をついた場合、最後のセーフティーネットとなるのが「生活保護」の受給です。生活保護は、憲法が定める「最低限度の生活」を保障する制度です。その受給には、下記のような制限が伴います。

老後資金がない場合の制限事項のリスト。預貯金・不動産などの資産を原則として持てない、自家用車の保有が原則禁止になる、親族への扶養照会が行われる場合がある、という3つのポイント。

生活保護は恥ずかしい制度ではありませんが、受給後の生活には多くの制約があるのも事実です。そうなる前に、早めに家計を立て直す行動を取ることをおすすめします。

3:老後に貯金がなくなる5つの原因

「自分は大丈夫」と思っていても、知らないうちに老後の貯金がなくなっているケースが少なくありません。

ここでは、貯金がなくなる5つの原因を紹介します。ぜひ、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

3-1:現役時代の支出レベルを変えられない

現役時代には気にならなかった生活水準も、収入が大幅に減った後では重い負担になります。

例えば、年金生活になったにもかかわらず、支出を見直さずに毎月の固定費が家計を圧迫し続けること。これが老後破綻を招く大きな要因のひとつです。

老後に見直しておきたい固定費は、下記のとおりです。

老後に見直しておきたい固定費のリスト。保障が過剰な生命保険料、大手キャリアの高額な通信費、複数台の車の維持費、趣味・交際費への過度な出費が挙げられている。

合計すると、月に5〜10万円以上の無駄な支出が発生しているケースもあります。「今さら生活を変えるのは…」と感じるかもしれませんが、早めの見直しが老後破綻を防ぐことにつながります。

3-2:住宅ローンや教育費の負担が定年後も続く

晩婚化や住宅購入年齢の上昇により、65歳以降も多額の返済義務が残るケースが増えています。

例えば、下記のようなケースです。

  • 65歳以降も毎月10万円以上の住宅ローン返済が続いている
  • 子どもの奨学金返済を肩代わりするかたちで支払いが続いている

退職金の額は年々減少傾向にあり、かつてのように「退職金でローンを完済できる」とは限りません。住宅ローンを組む際は、返済完了の年齢と年金受給開始のタイミングを必ず確認しましょう。

3-3:医療費・介護費の負担が増える

公的な健康保険や介護保険でカバーされる費用には限りがあり、自己負担となる部分が意外と多いのが実情です。

例えば、入院時の差額ベッド代、通院の交通費、介護で必要なおむつ代などは全額自己負担です。介護費用の月額平均は約9.0万円、一時的な費用で平均約47.2万円かかるといわれています。

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、いつ介護が必要になるかは誰にも予測できません。仮に平均介護期間の約4年7カ月(55カ月)の介護が必要になった場合、その総費用は約542万円の負担になる計算です。

介護費への備えについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

親の介護費用を控除(確定申告)で安くできる!税金が148万円戻ってきた事例も!

3-4:年金見込み額や生活費の内訳を把握していない

自分の年金見込み額や生活費の内訳を把握していないと、気がついた時には貯蓄がほぼゼロというケースにもなりかねません。

よくある例を挙げると、次のようなものがあります。

  • 毎年届く「ねんきん定期便」を確認せずに放置している
  • 実際の受給額より高い金額を見込んで生活設計をしている
  • 家計簿をつけず、どんぶり勘定で生活している

「ねんきん定期便」は、将来受け取れる年金の見込み額が記載された大切な書類です。まだ確認したことがない方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

3-5:焦りからハイリスクな投資や詐欺に手を出してしまう

現役後期から老後初期にかけて、退職金などのまとまったお金が入ったタイミングは注意が必要です。老後資金への不安や焦りが判断力を鈍らせ、ハイリスクな投資や詐欺で大切なお金を失ってしまう失敗例が後を絶ちません。

よく見られる失敗や被害の例はこちらです。

  • 高利回りを謳う未公開株や暗号資産などへのハイリスクな投資
  • 「還付金があります」と偽る還付金詐欺
  • 家族を装って現金を騙し取るオレオレ詐欺

焦りを感じた時ほど、一度冷静に立ち止まることが大切です。「必ずもうかる」「今だけ」「急いで」という言葉には、常に疑いの目を持っておきましょう。

4:遅すぎることはない!今からできる老後破産を防ぐ4つの方法

「もう手遅れかもしれない」と感じている方も、今から対策を始めることで状況を変えることが可能です。

ここでは、特に効果的な4つの方法を紹介します。できるものからひとつずつ取り組んでみてください。

4-1:固定費を見直して生活費を削減する

最優先で取り組みたいのが、固定費の見直しです。一度手続きすれば効果が継続するため、精神的な我慢なしに毎月の支出を減らせるのが魅力といえます。

見直しの効果が大きい固定費の例はこちらです。

  • 大手キャリアから格安SIMへの乗り換え
  • 不要なサブスクリプションサービスの解約
  • 保険内容の見直しと保障の適正化
  • 住まいのダウンサイジングや家賃の見直し

例えば、格安SIMへの乗り換えだけでも、年間で数万円単位の節約になることがあります。「どこから手をつければいいかわからない」という方は、毎月の明細を書き出すところから始めてみましょう。

4-2:就労期間を延ばして労働収入を得る

老後の就労期間を延ばし、年金の赤字を補う収入を確保しましょう。毎月3〜5万円の労働収入でも、年金の赤字分を補うことが可能です。

シニアが活用しやすい就労の選択肢は、下記のとおりです。

  • 定年後の再雇用制度(勤め先に継続雇用を申し込む)
  • シルバー人材センターへの登録(地域の清掃・事務などの軽作業)
  • 無理のないペースでのパート・アルバイト
  • これまでのスキルや経験を活かした業務委託・フリーランス

「体力的に不安」という方でも、自分のペースで働ける環境は増えています。就労期間を延ばすことが、老後の安心にもつながっていくのです。

4-3:年金の繰り下げ受給を活用する

公的年金の受給を遅らせる「繰り下げ受給」を使えば、一生涯の年金額を増やせます。

繰り下げ受給とは、年金の受け取り開始を遅らせることで受取額が増える仕組みです。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、最大75歳まで繰り下げると84%増になります。

例えば、65歳から月15万円の予定の方が70歳まで年金の受け取りを繰り下げると、月額が約21.3万円(42%増)にアップします。65歳から70歳までの期間を就労収入でカバーすることで、より効果的な老後対策になるでしょう。

年金の繰り下げ受給についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

年金の繰り下げは損ですか?損益分岐点や注意点を教えて下さい。

厚生年金70歳の繰下げ受給は損か得か?支給額シミュレーションと損益分岐点を徹底解説!

4-4:NISAやiDeCoで「増やす力」をつける

「投資は怖い」と感じる方もいるでしょう。しかし、税制優遇制度(NISA・iDeCo)を活用すれば、リスクを抑えながら資産を「増やす力」をつけられます。

NISAとiDeCoの主な特徴は、下記のとおりです。

新NISAとiDeCoの特徴を比較する表。新NISAは「投資利益が非課税、いつでも引き出せる柔軟性が魅力」と説明。iDeCoは「掛金が全額所得控除、節税しながら積立できる。60歳まで引き出せない点に注意」と説明されている。

月1万円からの少額投資や、インデックスファンドなどに分散投資する方法は初心者にも取り組みやすい選択肢のひとつです。ただし、投資にはリスクが伴います。元本割れする可能性もある点には十分注意しておきましょう。

5:老後の不安は「家計のプロ」に相談して解消しよう

老後対策は個人の状況によって最適解が異なります。そのため、家計のプロであるFPに相談して現状を「見える化」することが大切です。

複雑な年金制度や税制、投資信託などを一人で正確に理解して、破綻しないマネープランを立てるのは簡単ではありません。FPは、次のような内容を丁寧にシミュレーションします。

  • 現在の保有資産の整理と把握
  • 将来の年金受給額の試算
  • 必要な老後資金とのギャップの明確化

老後の資産計画について不安がある方は、まずはFPに相談してみてはいかがでしょうか。

6:まとめ

老後の貯蓄不足は、特別な人だけの問題ではありません。70代の約2割が貯蓄ゼロであり、年金だけでは毎月3〜4万円程度の赤字が生じているのが現状です。

老後破産や生活保護受給のリスクを避けるためにも、早めの対策が重要になります。「もう遅い」ということはありません。現状を正確に把握して、できることから始めてみてください。

「老後に貯金が足りるか相談したい」「自分にあった老後の資産運用の方法が知りたい」そんな方は、FPの無料相談がおすすめです。お金に関することをわかりやすく説明しますので、初心者の方もお気軽にご相談ください。

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古賀 孝夫
【保有資格】
AFP・2級FP技能士/一種証券外務員資格/DCマイスター/相続知財鑑定士

長崎出身。会計事務所を経て、現在に至る。マネープランの基礎知識、税金、生命保険、住宅ローン等、幅広くマネーセミナーの講師とコンサルティングを行なっており、東京を中心に福岡、愛媛でも活躍中。
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