厚生年金加入者は年金いくらもらえる?受給開始年齢・年収・職業別に解説

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厚生年金加入者は年金いくらもらえる?受給開始年齢・年収・職業別に解説
2025.11.18

厚生年金加入者は年金いくらもらえる?受給開始年齢・年収・職業別に解説

「厚生年金加入者は将来年金いくらもらえますか?」

厚生年金加入者の平均的な年金受給額は約14.8万円です。

ただし、この金額は

  • 受給開始年齢
  • 年収
  • 職業

などによって変わっていきます。

この記事では、厚生年金加入者の年金受給額の平均を、さまざまな角度から見ていきます。

また、年金額を増やす方法もご紹介。

将来の年金受給額の目安になれば幸いです。

この記事で分かること

  • 厚生年金加入者の平均年金受給額
  • 受給開始年齢・年収・職業別の年金受給額
  • 年金額を増やす方法

この記事を書いたFP
厚生年金加入者は年金いくらもらえる?受給開始年齢・年収・職業別に解説
古賀 孝夫
古賀 孝夫
難しい金融の仕組みや、低金利時代の資産運用について分かりやすくお伝えします!

目次

厚生年金加入者は年金いくらもらえる?平均受給額

老後の生活資金の柱となる年金。

その中でも会社員や公務員などが加入する『厚生年金』は、国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で支給されるため、受給額に大きな差が出やすい制度です。

では実際に、厚生年金保険加入者は、年金を平均でいくら受け取れるのかを見ていきましょう。


厚生年金とは
厚生年金とは、日本の公的年金制度の一つで、会社員や公務員など給与を得て働く人が加入する年金です。

国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で支給され、老後の生活を支える重要な役割を果たしています。

  • 加入対象
    会社員、公務員、一定のパートやアルバイト(条件あり)
  • 保険料
    給与と賞与に応じて決まり、労使折半で負担
  • 受給内容
    老齢厚生年金に加え、障害厚生年金や遺族厚生年金もある

※厚生年金保険は、年金として受け取るときは「老齢厚生年金」と呼び方が変わります。また、国民年金保険は「老齢基礎年金」と呼びます。


厚生年金加入者の年金受給額の平均は14.8万円

厚生労働省の調査によると、厚生年金加入者の年金受給額は平均で月額およそ14.8万円 です。(令和5年度)

  • 全体平均:147,756円
  • 男性平均:166,606円
  • 女性平均:107,200円

参考:厚生年金保険・国民年金事業の概況 (令和 5 年 6 月現在)

厚生年金は、加入期間と報酬額によって受給額が決まるため、加入期間が長く、給与水準が高いほど平均受給額は増えます。

つまり、厚生年金に加入していたかどうか、加入期間や給与水準で将来の受給額には大きな差が出るため、早めに自分の状況を把握することが大切です。


国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は5.6万円

国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は、月約5.6万円です。

国民年金は20歳以上の全員が加入する制度ですが、保険料の免除や未納期間があると、満額より少ない受給額となります。

※令和7年度の老齢基礎年金の満額は『月額6万9,308円(年額83万1,696円)』

参考:厚生年金保険・国民年金事業の概況 (令和 5 年 6 月現在)


受給開始年齢・年収・職業別の年金受給額目安

厚生年金加入者の年金受給額は、

  • 受け取り年齢
  • 現役時の年収
  • 職業

などによって変わります。

それぞれを令和5年度のデータや標準モデルをベースに見ていきましょう。

※いずれも厚生年金を満額(40年間)支払った場合でシミュレーションしています。

年齢別の年金受給額目安

年金は原則として65歳から受給できます。

また、希望すれば60歳〜75歳の間の好きなタイミングから受け取ることができます。

繰り上げ受給をすれば、12か月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減ります。

繰り下げ受給をすれば、12か月遅らせるごとに0.7%ずつ受給率が増えます。

▼年金受け取り開始年齢と受給額目安

年齢、受給額(月額)、備考をまとめた表。
60~64歳:約114,000円~、年金受給率60歳時:76%。
65~69歳:約150,000円~、年金受給率65歳時:100%。
70~74歳:約213,000円~、年金受給率70歳時:142%。
75歳:約276,000円、年金受給率75歳時:184%。

※受給額はあくまでも目安です。男女差や加入年数により変動します。


年収別の年金受給額目安

年金額は、年収によっても受給額が変動します。

なぜなら、厚生年金の保険料は毎年4~6月の給与(標準報酬月額)をもとに計算されるからです。
※厚生年金は、「平均年収 ÷ 12 × 0.005481 × 加入月数」という式で大まかに計算できます。

つまり、年収が高く、加入月数が多い人ほど受け取る老齢厚生年金額は大きくなります

▼年収ごとの年金受給額目安(老齢厚生年金+老齢基礎年金)

平均年収(現役時)と受給額(月額)をまとめた表。
平均年収300万円:受給額約127,000円。
平均年収500万円:受給額約158,000円。
平均年収700万円:受給額約198,000円。
平均年収1,000万円:受給額約250,000円。

職業別の年金受給額目安

老齢厚生年金は全員が受け取れるわけではありません。

厚生年金保険加入者で、受給資格期間(保険料納付済期間等)が10年以上ある場合に受け取ることができます。

これは職業によって変わり、受け取れるのは会社員や公務員(第2号被保険者)のみとなります。

日本の年金制度の2階建て構造を示す図。
1階部分は全被保険者共通の「国民年金(基礎年金)」。
2階部分は第2号被保険者のみ対象となる「厚生年金」。
被保険者の区分と説明は以下の通り。
・第1号被保険者(1階のみ):20歳以上60歳未満の農業者、自営業者、学生、無職の人など。
・第2号被保険者(1階+2階):会社員・公務員など。
・第3号被保険者(1階のみ):第2号被保険者に扶養されていて、年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者。

※日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造です。

▼職業ごとの年金受給額目安

職業別の年金受給額(月額)と、その内訳(老齢厚生年金・老齢基礎年金)、被保険者区分をまとめた表。
会社員:受給額合計 約156,000円(厚生 約100,000円、基礎 約56,000円)。備考:第二号被保険者。
公務員:受給額合計 約144,000円(厚生 約88,000円、基礎 約56,000円)。備考:第二号被保険者。
自営業:受給額合計 約56,000円(厚生 0円、基礎 約56,000円)。備考:第一号被保険者(農業者・自営業者など)。
専業主婦:受給額合計 約56,000円(厚生 0円、基礎 約56,000円)。備考:第三号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者)。

年金額を増やす5つの方法

厚生年金や国民年金は、受給の仕方や働き方次第で「もらえる金額」を増やすことができます。

代表的な方法を解説していきます。

付加年金(国民年金加入者向け)

付加年金は、老後の年金を効率よく増やせるお得な制度のひとつです。

この制度は、月々400円を上乗せして支払うだけで、将来の年金額が200円 × 加入月数増える仕組みになっています。

参照:日本年金機構|付加保険料の納付

支払う額に対して、受け取れる額が非常に大きいのが特徴です。

例えば、10年間付加年金に加入した場合、

支払う額

400円 × 12か月 × 10年 = 48,000円

受け取れる額

200円 × 120か月 = 月24,000円を生涯にわたり上乗せ

1年~2年程度で元が取れてしまうため、長生きすればするほどお得になります。

つまり、国民年金に加入している人は、付加年金を利用することで、少ない負担で確実に老後の年金を増やせるというわけです。

繰り下げ受給

繰り下げ受給は、年金の受給開始を遅らせることで金額を増やせます。

1か月遅らせるごとに0.7%増額される仕組みがあるためです。

参照:日本年金機構|年金の繰下げ受給

70歳から受給すると42%増、75歳からだと最大84%増になります。

長生きするほど有利な選択肢です。

「長寿に自信がある人」や「退職後も収入がある人」は検討してみましょう。

任意加入制度

任意加入』とは、60歳以降でも国民年金に任意加入することができる制度です。

この制度により、国民年金の未納期間や保険料不足を補い、将来の受給額を増やすことができます。

参照:日本年金機構|任意加入制度

「年金未納がある人」「満額受給に届かない人」は特に、任意加入制度の利用を検討しましょう。

定年後も働く(厚生年金の再加入)

定年後も働き続けることで、厚生年金額を増やすことができます。

厚生年金に再加入すると、その期間の保険料が将来の年金額に反映されるからです。

再雇用やパートで働けば、給料収入を得ながら年金額も少しずつ増えていきます。

「健康で働ける人」にとって、最も現実的で効果のある方法です。

iDeCo・企業年金

公的年金に上乗せしてiDeCo企業年金といった私的年金を準備すれば、老後資金を大きく補えます。

 iDeCoは掛け金が全額所得控除になり、税制面のメリットもあるため効率よく資産形成できます。

月2万円を30年間積み立て、利回り3%なら1,000万円以上の資産が作れます。

「老後の安心を高めたい人」は、iDeCoや企業年金を早めに始めるのが効果的です。

まとめ

厚生年金(+基礎年金)の平均受給額は約14.8万円です。

ただし、老後を年金だけで暮らすことは現状難しいと言えます。

そのため、自助努力で老後資金を準備することが不可欠です。

まとめると

  • 付加年金・繰り下げ受給・任意加入・定年後の就労などで増額できる
  • iDeCoや国民年金基金など私的年金を組み合わせて準備するのが効果的

老後資金の準備方法は個人の状況(収入・家族構成・健康状態など)によって最適解が変わります。

年金制度や老後資金の貯め方について具体的に検討したい場合は、FPなどに相談すると効果的ですよ。

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