任意後見と法定後見の違いはなんですか?5つの項目を分かりやすく比較

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任意後見と法定後見の違いはなんですか?5つの項目を分かりやすく比較
2026.07.03

任意後見と法定後見の違いはなんですか?5つの項目を分かりやすく比較

「一人暮らしの母の物忘れがひどく、今後の財産管理が心配なので、後見制度の利用を考えています。

任意後見と法定後見の違いを教えてください。」

任意後見と法定後見の一番の違いは、後見人を本人が決められるかどうかです。

その他にも制度の違いを4つの項目に分けて解説します。

この記事では、任意後見と法廷後見の制度の違いを全部で5つの項目に分けて説明していきます。

この記事のライター
任意後見と法定後見の違いはなんですか?5つの項目を分かりやすく比較
こいずみ なつ
こいずみ なつ
前職では司法書士事務所にて、成年後見人に携わる業務を担当。行政書士資格あり。 相続・終活のテーマを中心に執筆中。

目次

1:任意後見と法定後見の一番の違いは後見人を自分で決められるか、家庭裁判所が決めるか

任意後見と法定後見の一番の違いは、任意後見は自分で後見人を決められますが、法定後見は家庭裁判所が後見人を決める点です。

  • 任意後見
    本人の判断能力があるうち(認知症になる前)に、将来に備えて後見人や後見の内容を自分の意思で決めておくことができる
  • 法定後見:すでに判断能力が低下した(認知症になってしまった)本人の権利を保護するため、家庭裁判所が適切な後見人を決める

このように、任意後見と法定後見の違いは本人の判断能力があるかないかが重要になります。

そのため、他の項目においても「後見人を自分で決められるか」、「家庭裁判所が決めるか」によって、様々な違いが出てきます。

次の章から、その他の違いについて詳しく解説していきます。

2:任意後見と法定後見のその他の違い

任意後見と法定後見のその他の違いは以下の通りです。

項目 任意後見 法定後見
事前準備 任意後見契約を結んでおく なし
監督人の選任 必ずつく 必要に応じてつく
後見人が行えること 本人が決めておける 財産管理、契約などの法律行為全般
費用(報酬) 本人が決めておける 家庭裁判所が決める

それぞれ細かくみていきます。



2−1:事前準備の違い

任意後見と法定後見の事前準備の違いと、任意後見の手続きについて説明した図。任意後見は事前の準備として任意後見契約を結ぶのに対し、法定後見は事前の準備がありません。任意後見契約では、誰に後見人を頼むか、代理してほしい内容(預貯金や不動産の管理、介護・医療の手続きなど)、報酬額を決め、任意後見契約書を公正証書として作成します。なお、この時点では後見は開始されていません。

任意後見

誰に後見人になってもらうか、どんなことを行って(代理して)ほしいのか、報酬はいくらにするのかなどを決め、後見人になってもらう人と契約を結んでおく。
契約書は公正証書として作成しておく。

法定後見

本人の判断能力があるうちに、準備しておくことはありません。


任意後見は契約を結んだ時ではなく、家庭裁判所に申立てを行ってから後見が開始される

任意後見は契約を結んだ時ではなく、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所に任意後見申立てを行って、監督人が選任されると後見が開始されます。

本人に判断能力があるうちは、事前準備として契約を結んだにすぎず、後見は開始されません。

法定後見は本人の判断能力がすでに低下しているため、すぐに法定後見申立てを行い、後見を開始させます。

任意後見と法定後見の申立ての流れを説明した図。

任意後見の流れは、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。家庭裁判所が監督人を選任すると後見が開始され、任意後見人が本人を代理して法律行為などを行います。

一方、法定後見の流れは、本人の判断能力が低下した状態で、すぐに家庭裁判所に後見開始の申立てを行います。家庭裁判所が後見人を選任すると後見が開始され、後見人が本人を代理して法律行為などを行います。また、後見人が家族である場合や本人の財産が多額である場合などには、必要に応じて家庭裁判所が監督人を選任します。

2−2:監督人の選任の違い

任意後見

必ず選任される。

家庭裁判所が監督人(※)を選任することで後見が開始されるため。

法定後見

必要に応じて選任される。

後見人が家族であったり、本人の財産が多額である場合、選任される可能性が高い。


※監督人とは

後見人が適切に業務を行っているか、不正がないかなどを監督する人


2−3:後見人が行えることの違い

任意後見

後見人が行えること(代理できること)を任意後見契約の中であらかじめ決めて、制限しておける。

契約していないものに関しては行えない。

具体例

  • 銀行口座の入出金、施設への入所契約などは行ってほしい→契約しておく
  • 不動産の売買は行ってほしくない→契約から除く

法定後見

後見人が行えることに一部制限はあるが、法律行為全般が行える。

具体例

  • 財産管理、施設などへの入所契約、不動産売買など→できる
  • 手術や延命治療などの医療同意→できない

2−4:費用(報酬)の違い

任意後見

後見人になる人と費用(報酬)をいくらにするのか、あらかじめ決めておくことができる。

合意があれば、無報酬で後見人になってもらってもよい。

法定後見

本人の財産額や後見の業務内容によって、家庭裁判所が決める。

▼家庭裁判所が公表している報酬額の目安(年額)

  後見人への報酬 監督人への報酬
任意後見 0円~約36万円 約12万円~36万円
法定後見 約24万円~72万円 約12万円~36万円

監督人への報酬は、任意後見、法定後見どちらとも家庭裁判所が決める

また、後見人等に支払う報酬のほかに、別途、家庭裁判所に申立てをする費用がかかります。

また、任意後見については、契約書を公正証書にする際の費用もかかります。

  申立て費用 公正証書作成費用
任意後見 約12万円~ 約7万円~
法定後見 約12万円~ なし

成年後見制度の法改正

数年のうちに、成年後見制度の法改正が行われる予定です。

詳細はまだわかりませんが、最大の改正ポイントは、途中で制度の利用をやめられる点です。

現行は一旦後見制度を利用すると、原則、本人が亡くなるまでやめることができません。

改正後は必要なときだけ後見制度を利用し、必要がなくなったらやめることができるように変更される予定です。


3:後見制度は状況に応じて、利用を考える

後見制度は状況に応じて、利用を考えるとよいでしょう。

本人や家族の意思、置かれた環境などはさまざまです。

認知症などで判断能力がなくなった後の生活が心配な方は、元気なうちに任意後見制度の利用を考えてもよいと思います。

しかし、子供などに負担をかけたくない、家族間で財産管理に関して意見が分かれているような場合は、必要になった時に、費用はかかっても法定後見を利用してもよいでしょう。

本人や家族の状況に応じて、自分たちにあった後見制度の利用を考えましょう。


後見制度以外にも利用できる制度がある

判断能力があるうちは、任意後見制度以外にも、財産管理において利用できる制度があります。

例)家族信託、銀行の代理人制度など

後見制度ではなく、これらの制度の利用が適している場合もあります。

一度、司法書士や弁護士、銀行などに相談してみてもよいでしょう。


まとめ

任意後見と法定後見の一番の違いは後見人を自分で決められるかどうかです。

そのほかにも、後見人が行えること、後見人への費用(報酬)などの違いがいくつかあります。

違いを知った上で、状況に応じて利用するかどうかを検討しましょう。

また、後見制度は必ず利用しなければならないものではありません。

他の制度の利用もあわせて検討してみましょう。

不安のある方は自治体の窓口で相談してみるのもよいでしょう。

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こいずみ なつ
前職では司法書士事務所にて、成年後見人に携わる業務を担当。行政書士資格あり。 相続・終活のテーマを中心に執筆中。
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