「特別養子縁組」はさまざまな事情で生みの親と暮らせない子どもたちに、温かい家庭と法的な親子関係を提供する制度です。
しかしその手続きは複雑で、どこから始めればいいのか、どのような流れで進むのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、特別養子縁組の申立ての流れをわかりやすく解説していきます。特別養子縁組の制度への理解を深め、後悔のない選択をしてください。
特別養子縁組とは?
特別養子縁組は、実の親との法的な親子関係を解消し、養親と実の子どもと同じ法的な関係を築くことを目的にした制度です。
特別養子縁組の成立には、以下の要件を満たす必要があります。

この制度を利用することで、子どもは新しい家庭で親からの愛情を受けられます。また、これまで子どもを持てなかった夫婦は、家族を築けるという喜びを得られるのです。
手続きの窓口は児童相談所と民間あっせん団体の2つ
特別養子縁組の手続きを進める窓口は、「児童相談所」と「民間あっせん団体」の2つ。どちらも、子どもの将来を第一に考え、特別養子縁組を希望する方々をサポートする機関です。
それぞれに特徴や強みが異なるため、自分たちに合った窓口を選ぶことが大切です。
児童相談所に相談する
児童相談所に相談する一番のメリットは、費用が原則無料であること。長年にわたって蓄積されたノウハウと専門性を持った職員が、さまざまなケースに対応できるという強みもあります。
一方、注意点としては多くのケースを抱えているため、民間あっせん団体に比べて個別の対応に時間がかかってしまう場合があることです。費用を抑えたい、幅広い選択肢の中から子どもを迎えたいと考えている方には良い選択肢となるでしょう。
民間あっせん団体に相談する
民間あっせん団体に相談するメリットは、団体ごとに特色があり、自分たちに合ったサポートを受けられることです。それぞれの団体が独自の理念や方針に基づいて運営されており、実親や養親へのサポート内容も異なります。
一方、注意点は団体ごとに定められた費用が発生することです。費用には、研修費、調査費、実親の支援費などが含まれる場合があり、事前に確認しておくことをおすすめします。
民間あっせん団体での特別養子縁組の申立ての流れ
ここでは、実際に民間あっせん団体を利用した場合の手続きの流れについて解説していきます。
実親と養親、どちらにとっても、手続きの流れを事前に理解しておくことで後悔のない選択につながるはずです。

【実親(生みの親)の場合】
実親が民間あっせん団体を利用して特別養子縁組の手続きを進める場合、大きく分けて出産前と出産後の2つの段階があります。

出産前の手続き
まず民間あっせん団体に連絡を取り、相談することから始めます。団体によっては、メールやSNSで24時間対応しているところもあるので確認してみましょう。
出産することを決めたら、妊娠届出書の提出、母子健康手帳の取得などが必要です。定期的に健診を受け、団体の担当者に経過報告をします。
出産直前には団体担当者との面談があり、最終確認をします。この段階でも、養親に託すことをやめることも可能なので、慎重に検討しましょう。
出産後の手続き
出産後、改めて団体から特別養子縁組の意思確認が行われます。
その後、出生届など必要な手続きを実施。手続きと心の準備が整い次第、団体の仲介で子どもを養親に託します。
場合によっては、実親と養親希望者との面会も設定可能です。その後、家庭裁判所から連絡があり、実親への面談調査が行われます。この面談調査から2週間以内が最終の同意撤回期限です。
【養親の場合】
養親が民間あっせん団体を利用して特別養子縁組の手続きを進める場合のケースも見ていきましょう。
ここでも、出産前と出産後に分けて解説します。

出産前の手続き
養親希望者は、まず民間あっせん団体に申し込みます。団体によって異なりますが、申し込みから審査まで、約3ヶ月程度かかるのが一般的です。
審査を通過し、養親候補者として登録されると待機期間に入ります。この期間中に、育児休業の取得について職場と相談したり、子育てに必要なものを少しずつ準備したりしておくと良いでしょう。
出産後の手続き
子どもが紹介されると、あっせん団体から子どもの誕生日、性別、体重、健康状態などの情報が伝えられます。
子どもを迎えてからは、法律で定められた6ヶ月以上の監護期間が始まります。この間に、子どもの転入届や児童手当の申請など、必要な手続きを進めましょう。
その後、家庭裁判所に特別養子縁組を申し立てます。家庭裁判所や児童相談所による家庭訪問、面談調査を経て、問題がなければ特別養子縁組が成立するのです。審判確定後、入籍の手続きをします。
特別養子縁組の申立ての流れで知っておきたいポイント
特別養子縁組の手続きを進めるうえで、知っておきたいポイントがあります。
ここでは、特別養子縁組の申立てを検討している方が安心して手続きを進められるよう、養親、実親、それぞれの立場での重要なポイントを解説していきます。
特別養子縁組の費用
実親は基本的に費用はかかりません。ただし、家庭裁判所に提出する戸籍謄本などの取得費用は実費負担です。
一方、養親が民間あっせん団体を利用する場合は、団体ごとに定められた費用が発生します。
費用の詳細は団体によって異なり、無料のところもあれば200万円程度の費用がかかるところもあります。ただし、多くの団体では費用の詳細は公表されていません。具体的な金額を知りたい方は、直接問い合わせることをおすすめします。
特別養子縁組で後悔しないために
実親、養親、双方が制度について十分に理解し、子どもにとって最善の選択となるよう慎重に検討を重ねましょう。
特別養子縁組は、子どもの人生を大きく左右する重要な決断です。児童相談所や民間あっせん団体、専門家などに相談し、メリットだけでなくデメリットやリスクについてもしっかりと理解しておきましょう。また、実親、養親、それぞれの立場や思いを理解することも大切です。
まとめ
この記事では、特別養子縁組の申立ての流れについて、民間あっせん団体を利用する場合を中心に解説しました。
特別養子縁組は子どもの将来を最優先に考えた制度であり、実親、養親、そして子ども本人にとって大きな決断です。
児童相談所と民間あっせん団体、どちらにもメリット・デメリットがあることを理解し、自分たちに合った相談先を選びましょう。