「私は老後に、いくらくらい年金をもらえるのでしょうか?」
実は老後の年金がいくらもらえるかという計算は非常に複雑です。
なぜなら、働き方で年金の種類が変わり、年金額も変わってくるからです。
そこで、働き方のパターン別に年金の手取り額を早見表にして用意しました。
更に後半では老後資金を上手に貯めていくポイントもお伝えします。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事で分かること
- 働き方パターン別「年金手取り額早見表」
- 老後の生活費の目安
- 老後資金を上手に貯めていく2つのポイント
- 老後のための税金の有利なおすすめの資産運用方法3選
働き方パターン別「年金手取り額早見表」
年金手取り額早見表にし、働き方別に解説していきます。
※手取り額は、所得税や住民税、介護保険料などを差し引いた概算です。
ご自身に一番近いものを選んで参考にしてみてください。
- 会社員×専業主婦(夫は会社員、妻は30歳から専業主婦の場合)
- 会社員×会社員(夫も妻もずっと会社員の場合)
- 自営業×専業主婦(夫は自営業、妻は30歳から専業主婦の場合)
- 会社員シングル(ずっと会社員(独身)の場合)

・国民年金の満額受給額は、月額約6.8万円
参考:品川区の保険料率 / 年金シミュレーター
出典:令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局
補足:年金の額を正確に知ることが難しい理由
年金の受給額は、支払った保険料の総額や加入期間で決まるのですが、そもそも、自分が60歳まで、いくら収入があってどのくらい保険料を支払っていくかは分かりません。
また、転職して就業形態が変わったり、独立(自営業)や結婚(扶養家族化)によって支払う保険料等が途中で変わったりしているかもしれません。
さらに言うと、年金制度自体も改正によって保険料率や年金の金額なども変わってしまうので、将来予測はかなり難しくなります。
補足:実は、将来もらえる年金の目安だけを確認してもあまり意味はない
実は将来もらえる年金の目安だけを確認してもあまり意味はない、ということも強くお伝えしていきたいのです。
なぜなら、それは保障されたものではないからです。
一つ例を挙げると、年金制度の改正は5年に一度行われますが、平成16年度に将来の年金の受取額を左右する大きな年金制度の改正が行われました。
従来は、物価や給与が上がれば、私たちが受け取る年金もある程度増える仕組みだったのですが、平成16年の制度改正で、物価や給与が上がっても年金はあまり増えないという仕組みに切り替わりました。
その結果、2043年度には、実質的な年金水準は今の約2割減になってしまうという試算もあります。
このように、今後も年金制度自体が変化していく可能性があります。
老後の生活費は毎月23.2〜37.9万円必要
ここでは、老後の生活費がいくら必要なのかについて解説していきます。
- 老後の最低生活費は23.2万円
- ゆとりある老後の生活費は37.9万円/月必要
老後の最低生活費は23.2万円
「老後は慎ましく、最低限のゆっくりとした生活ができればいい」
「お金のかかる趣味も無く、老後は大きなお金がなくて良い」
そんな、「必要最低限の老後」の場合の支出は、持ち家で平均23.2万円(夫婦二人無職世帯)と言われています。
参考:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和4年度
最低限の生活を送る場合でも、年金額によっては不足額が大きくなる場合があります。
さきほどと同様に、老後資金不足額を早見表にしました。
自分がどれに当てはまるか確認してみてください。
<必要最低限度の老後での不足額>

補足:年金で老後資金が足りていても老後資金を準備することは重要
計算上は年金受給額が大きく、老後資金は足りているように見えるかもしれません。
しかしながら、老後資金を準備することはとても重要です。
なぜなら、
- 予期せぬ支出(医療・介護・子や孫への援助)に備えるため
- 物価上昇(インフレ)対策
- 年金制度は不確定のため(前述してあるとおり)
「今の計算で足りる」は、あくまで理想的な前提が崩れない場合の話です。
将来の不確実性や変化に柔軟に対応するためにも、年金で足りるとは思わずに老後資金の準備を進めましょう。
ゆとりある老後の生活費は37.9万円/月必要
「老後は趣味やレジャーを存分に楽しみたい」
「子供や孫に毎年プレゼントを贈りたい」
など、いわゆる「ゆとりある老後」を送るために必要な金額は、持ち家で平均37.9万円(夫婦二人無職世帯)と言われています。
参考:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和4年度
持ち家で「ゆとりある老後」を目指す場合、年金だけでは足りません。
働き方別の年金受給額を比較して、老後資金はどれくらい不足するのかを早見表にしました。
ご自身に一番近いものを選んで、老後資金の目安にしてみてください。
<ゆとりある老後での不足額>

老後資金を上手に貯めていく2つのポイント
老後の生活には年金だけでは足りない場合もあり、自分で準備することが欠かせません。
ここでは、老後資金を効率よく貯めていくための2つの重要なポイントを解説します。
預金で積み立てていても難しいから資産運用をする
銀行などの預貯金は、超低金利の今、ほとんどお金が増えません。
インフレが進むと実質的な価値が目減りするリスクもあるため、長期・分散・積立を意識した資産運用(例:投資信託、iDeCo、NISAなど)が老後資金を上手に貯めていくポイントになります。
例えば、1990年代は定期預金の金利が6%を超えていた時代もありましたが、現在(2025年)は、定期預金の金利は0.25%です。これでは、なかなかお金は増えません。
資産運用をすると、100万円を30年間0.25%で運用したら、約107万8,000円となり、約78000円しか増えません。
100万円を30年間6%で運用したら、5,743,491円となり、約474万円増えます。

早く始めることが大切
お金を賢く増やすためには、「利子に利子が付く」という複利の仕組みを使っていくことが大切です。
複利は時間をかけることによってその効果が増していきます。
早く始めることでその大切な時間を確保できます。
【毎月3万円を60歳まで積み立て。30歳から場合と40歳からした場合(複利6%)】

30歳から始めた場合は、60歳時には3,029万円になります。
40歳から始めた場合は、60歳時には1,373万円になります。
積立期間が違いますので、積み立てた金額も、360万円(3万円×12か月×10年分)違いますが、元本では360万円の差が、1,656万円の差になってしまいます。
これこそが、時間の力を活用した「複利の力」です。
積立を早く始めることによって、「複利の力」を使って楽々お金を増やすことができます。
老後の準備をするのに早すぎるということはありません。
一日でも早く始めましょう!
老後のための税金の有利なおすすめの資産運用方法3選
老後資金をより有効に貯めていくためには、税金を有利にするともっと効率良く貯めていくことが可能です。
税金に有利なおすすめの資産運用方法を3つご紹介していきます。
外貨建て個人年金
個人年金保険は、保険料が生命保険料控除の対象となり毎年節税できるメリットがあります。
ただし、円建ての個人年金保険は金利が低すぎてほとんど増えませんので、金利の高い外貨建ての個人年金保険がよいでしょう。
金利には最低保障がありますので、外貨では元本割れはしませんが、為替レートの変動により、円で考えると元本を割れてしまう可能性があります。
保険料の支払いを途中でストップできるものや、減額できるタイプもありますので、ライフプランに合わせてフレキシブルに対応できます。
NISA
「NISA」も、老後資金づくりには有効な手段です。
初心者が投資信託を購入していくためには最適なプランです。
2024年から始まった”新しいNISA”では、非課税保有期間が無期限化するなど、更に使いやすくなりました。
NISAは手軽に始めることができ、ライフプランや運用計画、現在の資金に合わせて一括投資・積立投資を選びフレキシブルに運用することができるため、老後資金づくりにとてもお勧めです。
一括投資が合っているのか、積立投資が合っているのか?や、どんな銘柄を選べばいいのかなど不安な方はFP(IFA)に相談しながら始めることをお勧めします。
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
iDeCoは2017年より誰でも加入できるようになりました。
自分の年金は、自分で積み立て、自分で運用する制度です。税金面でのメリットが大きく、3点あります。
掛金を収入から控除することができるので、その分所得税・住民税が返ってくる(所得控除)
運用期間中に税金がかからないので毎年かかる商品よりは有利
退職時に受け取るときも、各種控除があり税金が優遇
- 掛金を収入から控除することができるので、その分所得税・住民税が返ってくる(所得控除)
- 運用期間中に税金がかからないので毎年かかる商品よりは有利
- 退職時に受け取るときも、各種控除があり税金が優遇
ただし、デメリットとして以下の点があげられます。
- 60歳まで引き出せない
- 年収の低い人は返ってくる税金が少ない(所得控除のメリットが少ない)
所得控除のメリットが大きいので、年収が高くそれを60歳まで維持できる方にとってはかなりのメリットがあります。
しかし、専業主婦の方などは所得控除のメリットがないなど、メリットは状況によってケースバイケースですので、自分のライフプランや今後の見通しをしっかりと考えてから選択すべきです。
まとめ
年金の早見表を中心に、老後資金の不足額を見てきました。
老後資金は足りそうですか?
もし、「老後資金はいくら必要なのか?」「老後資金をどう貯めたらいい?」そんな不安がある方は、ぜひファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
一緒にマネープランを建ててくれますよ。