「共済と保険って何が違うのだろう?」
「保険と共済どちらに入れば良いのだろう?」
複数の人からお金を集めて、万一の事態が起こった人に保障を提供するという仕組みは、「共済」も「保険」も同じです。
しかし、保障内容や仕組みなど細かな部分で違いがあります。
この記事では、共済と保険の違いを項目ごとに見ていき、どちらを選ぶべきなのか?をFPの視点で解説します。
ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事でわかること
- 共済と保険の違い
- 共済と保険のメリット・デメリット
- 共済が向いている人、保険が向いている人
共済と保険の大きな違い
共済と保険は、どちらも「もしものときのお金の助け」になるという基本的な役割は同じですが、お金の集め方や助け合いのしくみ(運営主体)に違いがあります。

語句説明:公的セーフティネット
公的セーフティネットとは、病気や失業などで困ったときに、国が生活を支えてくれる仕組みのことです。
たとえば、年金や失業手当、生活保護などがあります。
共済は保護機構に未加入のため、破綻した場合の保障はありません。
しかし、中には独自の補償制度を設けている共済もありますので、心配な方は補償制度のある共済を選ぶとよいでしょう。
共済とは
共済とは、JA(農協)や生協、労働組合などの組合員どうしが「助け合い」の考えのもとにお金(共済掛金)を出し合い、万が一の事態(病気、ケガ、災害、事故など)に見舞われた仲間に共済金を支払うことで、経済的な支えを提供する仕組みです。
保険とよく似ていますが、共済は営利目的ではなく、組合員の生活を守ることが目的です。
そのため、加入できるのは原則としてその組合のメンバーや家族に限られ、みんなで運営し、みんなで支え合うという特徴があります。
例
- 県民共済
- コープ共済
など
保険とは
保険とは、「将来のリスクに備えるために、毎月お金(保険料)を支払う仕組み」です。
保険会社が商品として用意している保障プランの中から、自分に合った内容を選び、契約します。
その契約に基づき、病気やケガ、死亡、がん、介護など万が一のときには保険金が支払われます。
例
- 医療保険
- がん保険
- 死亡保険
- 介護保険
など、さまざまな種類があり、年齢や性別、健康状態に応じて保険料が決まります。
また、保障の内容や保険料を自由に設計できるのが特徴です。
共済と保険の料金の違い
ここでは共済と保険の料金の違いについて解説していきます。
共済の掛金は一律
まず、共済の掛金は基本的に一律保障・一律掛金です。(一部、年齢や性別で保険料が変わる共済もあります)
具体的には、「0歳~17歳」「18歳~64歳」「65歳~85歳」と何段階かに年齢層を分け、それぞれの年齢層の中で、性別を問わず掛金や保障内容を一律にしています。
都民共済の例 ※プランによって掛金が異なります
0~17歳:1,000~2,000円
18~64歳:1,000~4,000円
65~69歳:2,000~24,000円
生命保険の保険料は年齢や性別で変わる
一方、保険会社では、多くの商品が1歳刻みで月々の保険料を変えており、性別でも保険料に差があります。
例えば、ある定期死亡保険に30歳で加入する場合の月額保険料は、
男性:2,840円
女性:2,380円
です。
しかし、31歳で加入する場合の月額保険料は、
男性:2,960円
女性:2,500円
と、それぞれ保険料が上がります。
このように、保険料は年齢が1歳違うだけでも変わり、性別でも差が出る仕組みになっています。
共済と保険の商品内容の違い
ここでは、共済と保険の商品内容の違いについて解説していきます。
共済はパッケージ商品でわかりやすい
共済は死亡保障と医療保障がセットになっているパッケージ型のものが多く、わかりやすい点が特徴です。
ただし、パッケージ型なので「通院の保障はいらない」とか「死亡保障を3,000万円にしたい」というような”カスタマイズ”はできません。
都民共済・総合2型の保障内容

画像引用:都民共済|総合保障2型
保険は商品の種類が充実・カスタマイズも可能
保険は多種多様な商品が揃っており、自分のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。
保障内容や特約(オプション)を自由に組み合わせられるようになっており、年齢・家族構成・ライフスタイルに応じた最適な設計が可能です。
たとえば、医療保険なら、入院日額や手術給付金の額、先進医療特約や通院保障の有無などを選ぶことができます。
がん保険なら、診断一時金だけを手厚くしたり、通院重視のプランを選ぶなど、柔軟な設計が可能です。
このように保険は種類が豊富で自由度が高いため、「自分だけの保障」を作りやすいのが大きな特徴です。
共済と保険のメリット・デメリット
共済と保険それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

共済のメリット・デメリット
共済の一番大きなメリットは、掛金が安いということです。
デメリットは、保障内容がシンプルなので、カバーできる保障範囲が狭いことです。
その他に共済のメリット・デメリットをまとめました。
メリット
・掛金(毎月のコスト)が安い
→ 毎月の掛金が安く済み、家計への負担が少なくなります。
・仕組みがシンプルでわかりやすい
→ 難しい条件が少なく、加入手続きが簡単です。
・余ったお金が戻ってくることもある
→ 剰余金があると「割戻金」として返金されることもあります。
参考:都民共済|割戻金について
デメリット
・保障内容がシンプル(少なめ)
→ 保険と比べるとカバーできる範囲が狭い場合もあります。
・加入できる人が限られていることも
→ 職業や、所属している団体によって、加入できない場合もあります。
・高度な医療や大きな事故に弱いことも
→ 病気や事故の際の保障額が、保険に比べて少ない傾向にあります。
保険のメリット・デメリット
保険の一番大きなメリットは、保障の種類が豊富で万が一の場合でも手厚くカバーできる点です。
逆に、内容が複雑な点と、保険料が割高となる場合がある点はデメリットと言えます。
その他に保険のメリット・デメリットをまとめました。
メリット
・保障の種類が豊富で手厚い
→ 医療・がん・死亡・介護・火災など、幅広くカバーができます。
・保障内容を自分に合わせて自由に設定できる
→ 自分に合った保険を自由に作ることができます。
・基本的に誰でも加入できる
→ 団体などに属していなくても、誰でも入ることができます。
デメリット
・保険料が割高になる場合もある
→ 保障内容によっては、毎月の保険料が割高になる場合もあります。
・契約や商品が複雑でわかりにくい
→ 特約など保障の種類がたくさんあり、自分だけで考えて入るのが難しい。
・途中でやめると損をすることがある
→ 契約してから短い期間に解約した場合、『解約の手数料』が引かれ、損することがあります。
共済が向いている人
共済が向いている人は、「とりあえず何かあった場合に備えたい」「何でもいいから保障がほしい」といった方です。
なぜなら、共済は保障内容がシンプルでわかりやすく、掛金も比較的安いため、深く考えずに最低限の備えをしておきたい方にとって手軽な選択肢だからです。
共済は、月々1,000円~2,000円程度の掛金で、入院や死亡時に一定の給付が受けられる商品があります。
「高額な保障までは必要ないけれど、何も備えていないのは不安」という方の選択肢に入ります。
また、保障の内容がシンプル(一律)なため、プラン設計に悩まされることもありません。
つまり、「細かいことはよくわからないけれど、何かあったときに困らない程度の備えはしておきたい」と考える方には、共済が向いていると言えるでしょう。
保険が向いている人
保険が向いている人は、「今の自分に合った保障」をきちんと考えたい方です。
なぜなら、保険は個人の年齢や家族構成、収入、将来のライフプランなどに応じて、柔軟に保障内容を設計できるからです。
保険は必要な保障だけを選んで無駄を省いたり、将来に備えて保障を手厚くしたりと、自分に最適なプランを組むことが可能です。
つまり、「今の自分に必要な保障は何か?」をしっかり考え、それに合わせて保障内容を組み立てたい方は、保険が非常に向いていると言えます。
まとめ
共済と保険は、どちらも「もしものときの備え」という役割を果たしますが、その仕組みや保障内容、加入条件には違いがあります。
共済はコストを抑えてシンプルな保障を求める方に、保険は自分に合わせて柔軟に設計したい方に向いています。
共済も保険も同様に大切なのは、結婚、出産、子どもの成長、退職など、ライフステージに応じて定期的に保障内容を見直すことです。
今の自分にとって最適な保障は何か?を定期的に考えることで、過不足のない備えができ、家計のムダも防げます。
共済と保険のどちらに入ったらよいか、また保障内容をどうしたらよいか迷ったら、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。