
「自分は遺言書を書いたほうがいいのだろうか?」
特に、子どもがいない夫婦や、前妻・子どもがいる場合、内縁関係のある場合など、家族関係が複雑になるほど、相続で揉めるリスクは高くなります。
そのような人の場合、遺言書を書いておくことで争族(争いのある相続)を避けることができます。
この記事では、遺言書を書くべき人はどんな人か?や、それぞれのケースでの注意点などを解説します。
この記事で分かること
- 遺言書を書くべき人と、それぞれの書き方と注意点
- 知っておきたい遺言に関わる「民法大改正」
遺言書を書くべき人と、それぞれの書き方と注意点

遺言書は、すべての人に必須というわけではありません。
しかし、誰に財産を残したいかを明確にしたい方は、遺言書の検討をおすすめします。
特に遺言書を書くべきなのは、主に以下の5つのケースに当てはまる人です。
- 子どもがいない夫婦で両親・兄弟がいるが、配偶者により多くの財産を残したい
- 前妻に子どもがいて、後妻と自分の子に多く財産を残したい
- 内縁関係にある人がいる
- 相続人が兄弟姉妹のみ
- 不動産(賃貸物件、収益物件)を複数持っている

子どもがいない夫婦で両親・兄弟がいるが、配偶者により多くの財産を残したい
子どもがいない夫婦で、両親や兄弟がいる場合で、『配偶者により多くの財産を残したい』人は遺言書を書いておきましょう。
なぜなら、法定相続では配偶者だけでなく、両親や兄弟も相続人となるため、遺言書がないと想定外の相手に財産が分配されてしまうからです。
例えば、配偶者が亡くなった場合、両親が健在だと法定相続分は
- 配偶者:2/3
- 義父母:1/3
両親がおらず、兄弟姉妹が健在であれば、
- 配偶者:3/4
- 兄弟姉妹:1/4
の割合で分配されます。
夫婦の一方が亡くなった時は、残された配偶者とともに義父母や兄弟などが相続人になり、協議が必要となります。
そのため、配偶者により多くの財産を残したい人は遺言書を作成することが大切です。
遺言書の書き方のポイントと注意点
- 配偶者に全財産を残す旨を明確に記載
- 両親が健在な場合は遺留分(相続人に法律上保障された一定の割合の相続財産)が1/6ある
- 現金や保険で準備する
前妻に子どもがいて、後妻と自分の子に多く財産を残したい
離婚歴があり、前妻との間に子どもがいて、現在の妻と自分の子に財産を多く残したい場合は遺言書を書いたほうがよいです。
遺言書がないと、法定相続では前妻の子も相続人となるため、前妻の子にも財産を分ける必要が出てきます。
前妻の子1人、後妻の子1人がいる場合、法定相続分は
- 後妻:1/2
- 後妻の子:1/4
- 前妻の子:1/4
となります。
後妻とその子に多く残したい場合、遺言書で明確に指定することで、意図した分配が可能になります。
遺言書の書き方のポイントと注意点
- 後妻と子どもに財産を残す旨を具体的に記載する
- 遺留分対策として、生前贈与や保険の活用を検討
内縁関係にある人がいる
内縁関係にある人がいる場合は、遺言書を作成して財産を明確に分けることが必要です。
法律上、婚姻届を出していない内縁の配偶者には相続権がないため、遺言書がないと一切財産を残すことができません。
例えば、再婚を考えている方が婚姻届を出さずに同居している場合、相手が亡くなったとしても、法律上は財産を受け取れません。
この場合、遺言書で明確に財産を指定することで、内縁の配偶者に生活費や家を残すことが可能になります。
内縁関係にある人がいる場合は、遺言書を作り、その人に財産を残しましょう。
遺言書の書き方のポイントと注意点
- 同居している家、生活費のことを考えて、遺言や保険、生前贈与などを検討する
- 他に相続人がいる場合、遺留分の計算が必要になる可能性もある
 ※事前に専門家への相談がおすすめ
相続人が兄弟姉妹のみ
配偶者や子どもがおらず、両親もすでに亡くなってしまっており、相続人が兄弟姉妹だけのような場合は、遺言書を作っておくことをおすすめします。
相続人の兄弟姉妹が高齢な場合、なかなか自由が利かないこともあります。
また、兄弟姉妹が亡くなっていると甥や姪が相続人となることもあり、遺産分割でトラブルになりやすいです。
兄弟姉妹のみが相続人の場合は、遺言書を活用して自由に分配を決めることが、争続を防ぎ、財産を確実に渡すために有効です。
遺言書の書き方のポイントと注意点
- 相続人が兄弟姉妹のみ、または相続人がいない方は自由に遺言書が作成できる
- 甥や姪、親族以外への贈与や寄付も指定可能
 ※この場合、遺言執行者が必要となるため、専門家へ相談することをおすすめします
不動産(賃貸物件、収益物件)を複数持っている
投資用の不動産を複数所有しているような人は、遺言書を作成することをおすすめします。
このような場合、土地建物の評価も必要となり、物件によって、評価も収益性も異なるため、遺産分割が複雑で、時間がかかるケースが多いからです。
相続手続きに時間がかかり、手元に納税資金がなければ、これらの不動産を売却せざるを得ないこともあります。
複数の不動産を持つ人は、遺言書を作成しておきましょう。
遺言書の書き方のポイントと注意点
- 相続税はかかるのか、かかる場合はどの程度の納税資金が必要か、遺留分の計算、財産の評価など、事前に調べておくものが多々ある
- 納税資金については、遺言だけでは解決できない場合も。生前に売却する方法や、保険の活用などの対策を検討する必要がある
- 事前に専門家に相談することが望ましい
知っておきたい遺言に関わる「民法大改正」

近年、遺言書に関する法律が改正され、より安全で便利に作成できるようになりました。
特に、次の3つは遺言書作成時に知っておきたい大きな改正です。
- 遺言書預かりサービスの開始
- 財産目録の作成がパソコンなどで可能
- 遺留分は現金で支払う準備が必要
それぞれ見ていきましょう。
遺言書預かりサービスの開始
2020年7月10日から、法務局で自筆証書遺言を預かる「遺言書保管制度」が始まりました。
従来は、自筆証書遺言が見つからなかったり、廃棄や改ざんされるリスクがありましたが、このサービスを使えばそうした心配がなくなります。
自筆証書遺言を作成する方は、必ず法務局の預かりサービスを利用するのがおすすめです。
財産目録の作成がパソコンなどで可能
従来、自筆証書遺言では財産目録も手書きが原則でしたが、民法改正により、財産目録のみパソコンなどでの作成が可能になりました。
※ただし、遺言書本文は従来どおり自筆で作成する必要があります。
遺留分は現金で支払う準備が必要
民法改正により、遺留分侵害請求分は現金での支払いが義務付けられました。
遺留分とは、法定相続人に法律上保障された最低限の相続分のことです。
遺言で特定の相続人に財産を多く残す場合は、他の相続人から遺留分を請求される可能性があるため、事前に現金や保険での準備が必要です。
まとめ
遺言書は、家族や親族間のトラブルを防ぎ、大切な財産や想いを確実に残すための重要な手段です。
作成にあたっては、誰に何をどのくらい、どのように残すかを明確にすることが最も大切です。
また、遺留分については事前の対策を考えておきましょう。
また、民法改正により、遺言書の預かりサービスや財産目録のパソコン作成が可能となり、作成や保管の安全性も向上しました。
遺言書は、遺される大事な人へのメッセージです。
その想いと財産を確実に渡せるよう、少しでもこの記事が参考になれば幸いです。
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