将来のお金のことを考えると、漠然とした不安を感じてしまう専業主婦の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、専業主婦の方が受け取れる年金の仕組みと、老後の生活に実際どれくらいのお金が必要になるのかを解説。老後資金の貯め方5選も紹介していくので、ご自身にあ合った方法がきっと見つかるはずです。
老後資金への不安を解消し、将来の安心を手に入れるための第一歩を踏み出しましょう!
専業主婦が必要な老後の資金額はいくら?
総務省の調査によると、2024年の65歳以上の夫婦のみ(無職)の世帯では、食費や光熱費、交際費など、税金等を除いた実際の生活にかかる支出(消費支出)は、月額で約25.6万円でした。

出典:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
同じく、65歳以上の単身(無職)の世帯は月額で約14.9万円です。

出典:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
ただし、これはあくまで平均の数字です。「もっと旅行に行きたい」「趣味にお金をかけたい」など、理想の暮らしは人それぞれ異なります。
毎月の生活費とは別に、一時的または継続的にかかる可能性のある費用も考えておきましょう。
専業主婦が受け取る老後の年金はいくら?
この章では、専業主婦の方が老後に受け取る年金の仕組みや、おおよその金額についてわかりやすく解説していきます。
自分がどのタイプの年金に加入しているのか、そして将来どれくらい受け取れる可能性があるのか、基本をしっかり押さえておきましょう。
夫の働き方(会社員/自営業)で変わる年金の種類
日本の公的な年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類で構成されています。
これはよく「2階建て」に例えられます。1階部分が、日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が加入する「国民年金(基礎年金)」、そして2階部分が、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」です。

専業主婦の方の年金の扱いは、おもに夫がどちらの年金制度に加入しているかによって決まります。
夫が自営業やフリーランスの場合
夫は国民年金の「第1号被保険者」です。この場合、妻であるあなたも同じく「第1号被保険者」となります。
夫が会社員や公務員の場合
夫は厚生年金に加入する「第2号被保険者」です。この場合、その扶養に入っている妻(年収条件あり)は、国民年金の「第3号被保険者」となります。
このように、夫の働き方によってご自身の年金の区分(第1号か第3号か)が変わることを、まずは理解しておきましょう。
基本は国民年金
専業主婦の方が老後に受け取る年金の土台となるのは、原則として「国民年金」です。これは、先ほど説明した日本の年金制度の「1階部分」にあたります。
この国民年金を受け取るには、受給資格期間を満たしていなければなりません。
受給資格期間とは
- 国民年金の保険料を納めた期間や、保険料の支払いが免除・猶予された期間などの合計の期間
- この期間が原則として10年以上必要
国民年金は、原則として65歳になったときから受け取れます。これが、専業主婦の方にとって老後の収入のベースとなる大切な年金です。
満額でもらえる国民年金の目安
国民年金は、20歳から60歳になるまでの40年間(=480か月)、きちんと保険料を納めた場合に「満額」を受け取れます。
もし、保険料を納めていない期間(未納期間)や、免除を受けていた期間があると、その分、受け取る年金額は少なくなるのです。
気になる満額の金額ですが、令和7年度(2025年6月支払分から)は月額で69,308円です。

厚生年金に加入していた場合は上乗せ
もし、あなたが結婚や出産などで専業主婦になる前に、会社員や公務員として働いていた経験があれば、話は少し変わります。
会社員や公務員として働いていた期間は、国民年金に加えて、年金制度の2階部分にあたる「厚生年金」にも加入していたことになります。そのため、働いていた期間に応じた「厚生年金」が上乗せされるのです。
専業主婦が今すぐ始められる!老後資金の貯め方5選
この章では、専業主婦の方が今日からでも始められる、具体的な老後資金の貯め方を5つ紹介します。
- 投資信託
- iDeCo
- NISA
- 貯蓄型保険
- 無理のない範囲で働く
投資や制度の活用、そして収入を得る方法など、自身に合ったやり方を見つけるヒントにしてください。
1.投資信託
投資初心者の方におすすめしたいのが「投資信託」です。
この投資信託は、多くの人から集めたお金を投資のプロが代わりに運用してくれる商品です。国内外の株や債券などに分散投資するため、自分で銘柄を選ぶ手間が省けます。
100円や1,000円といった少額から始められるため、毎月コツコツ積み立てるのに向いています。ただし、銀行預金と違い元本保証はありません。運用成果によっては資産が増えることも減ることもあります。
2.iDeCo
老後資金づくりの強い味方が「iDeCo」です。自分で掛金を積み立て、選んだ金融商品で運用し、60歳以降に受け取る「じぶん年金」制度です。
最大の魅力は税制優遇。掛金が所得控除の対象になり、運用で得た利益には税金がかからず、受け取る時も税負担が軽減されます。
専業主婦の方も月額最大23,000円まで積立可能。ただし、原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。
3.NISA
「税金がお得な制度がいいけど、途中で引き出せないのは困る」という方には「NISA」がぴったりです。
NISA口座で投資信託などを購入すると、そこで得た利益(値上がり益や分配金)には税金がかかりません。通常約20%かかる税金がゼロになるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、NISAは非課税期間が無期限であり、年間の投資上限額も最大360万円です。iDeCoと違い、投資した商品はいつでも取引が可能なため、老後資金だけでなくさまざまな目的に活用できます。
4.貯蓄型保険
万が一の「保障」を備えながら、お金を「貯蓄」したい方には「貯蓄型保険」がおすすめです。
毎月保険料を支払うことで、死亡保障などを確保しつつ、満期時や解約時にまとまったお金(満期金・解約返戻金)や年金を受け取れます。
ただし、契約後すぐに解約すると、支払った保険料より少ない額しか戻らない「元本割れ」のリスクがあります。
5.無理のない範囲で働く
最も直接的な方法が「働く」ことです。時間に余裕ができたら、家事などと両立できる範囲でパートやアルバイトを始めるのも有効な手段のひとつ。
得た収入を貯蓄や投資に回せば、資産形成のスピードが上がります。また、働くことは収入だけでなく、社会とのつながりや健康維持といったメリットも期待できます。
自身のライフプランに合わせて、働くという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
離婚・死別…もしものとき、専業主婦の老後資金はどうなる?
人生には予期せぬ出来事が起こる可能性もあります。例えば、離婚や夫との死別といった状況です。
ここでは、離婚した場合の「年金分割」と、夫と死別した場合の「遺族年金」について解説します。いざというときに慌てないためにも、知識として知っておきましょう。
離婚した場合
離婚した場合、自身の国民年金はそのままですが、「年金分割」制度が将来の受給額に関わってきます。
これは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録を離婚時に分け合える制度です。分割対象は厚生年金のみで、国民年金は対象外。また、すぐにお金がもらえるわけではなく、あくまで年金記録の分割です。
分割方法には夫婦で話し合う「合意分割」と、一定期間について自動的に半分にする「3号分割」があります。どちらも手続きが必要で、原則、離婚後2年以内という期限があります。期限を過ぎると請求できなくなるので、忘れずに手続きしましょう。
夫と死別した場合
夫と死別した場合、残された家族の生活を支えるのが「遺族年金(遺族基礎年金と遺族厚生年金)」です。
遺族基礎年金は、亡くなった夫が国民年金の被保険者等で、かつ、あなたに18歳年度末までの子(または障害のある20歳未満の子)がいる場合に支給されます。お子さんがいない場合は対象外です。
一方、遺族厚生年金は、亡くなった夫が厚生年金の被保険者等であった場合に支給され、こちらは子の有無に関わらず受け取れる可能性があります。
遺族年金は自動的に支払われるものではなく、自身での請求手続きが必要です。万が一の際は、年金事務所やファイナンシャルプランナーなどに相談しましょう。
まとめ
「年金だけでは不安…」と感じていた方も、投資や保険、あるいは働くなど、ご自身に合った方法で老後資金を準備できる道筋が見えてきたのではないでしょうか。
大切なのは、まず現状をご自身で把握し、そして行動を起こしてみることです。
最初の一歩は、本当に小さなことで構いません。今日、この記事を読んだことをきっかけに、まずは家計を見直してみる、NISAやiDeCoの資料を取り寄せてみるなど、できることから始めてみませんか?
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