「結婚したら、家計の管理ってどう変わるの?」「将来、子どもができたり、マイホームを購入したり…夢はたくさんあるけど、お金の準備はどうすればいいんだろう?」といった点に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結婚は、これからの人生設計を二人で考え、お金と真剣に向き合う絶好のタイミングです。
本記事では、結婚後の家計管理で押さえておきたいポイントや、将来のライフイベントに備えるための賢い貯蓄術を紹介します。パートナーと一緒にお金に関するルールや目標を共有し、将来の不安を解消していきましょう。
結婚したら家計管理を早く始めよう
結婚したら家計の管理をし、毎月の収支を把握していきましょう。
収支が分かると、貯蓄にいくら回せるか明確になります。
ですので、今後のライフイベントに向けて必要なお金を計画的に貯めることが可能です。
今後は、以下のようなライフイベントが予想され、それに向けて貯蓄が必要になってきます。
主なライフイベントにかかる費用の目安

※教育資金……子ども1人あたりの総額(幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合)
※住宅購入費……住宅の平均購入価格(建売住宅は約3,340万円、マンションは約4,350万円)
貯蓄を計画的に進めるためにも、結婚したら家計を管理していきましょう。
家計の管理を早く始めて早く貯蓄をスタートしよう
結婚したら家計の管理を早く始めることで、早く、そして楽に貯蓄ができるでしょう。
どういうことかと言うと、早く始めることで貯蓄できる期間が長くなり、より複利効果(※)が働き楽にお金を増やしていくことができます。
※複利効果
元本に利子を付けて増えていく効果のことです。元本についた利子を組み入れて、その元本に対してまた利子がつくので、雪だるま式に増えていきます。利子を組み入れない単利と比べると、総額は大きくなります。資産運用には、かかせない考え方です。
▼単利と複利の増え方の違い

下図は、毎月20,000円の積立を今すぐに始めた場合と、5年後に始めた場合の違いのグラフです。(金利5%、複利)

※あくまでもシミュレーション結果です。実際の値とは異なる場合があり、その結果を保証するものではありません。 あくまでも目安としてご利用ください。
上記のシミュレーション通り運用が進んだ場合、20年後その差が280万円にもなります。
今すぐに始めたほうが、増えるお金も大きくなる可能性があります。
より簡単にお金を増やすためにも早く始めることが重要です。
結婚後のライフイベントに備えた家計管理から貯蓄のプロセス
結婚後のライフイベントに備えた貯蓄のプロセスをお伝えしていきます。家計を管理し、結婚後のライフイベントへのお金の準備ができますよ。
①現状把握をする
まずは、お互いの収入・支出等の現状把握をしましょう。お互いに現状把握をすることで、
- いくら貯金に回せるのか
- 無駄遣いはないか
など把握することができます。
現状把握し、家計が苦しいという方や、赤字の方は、家計の見直しが必要になります。お互いの現状把握が難しい夫婦は自分のお金の、貯める・増やすをきちんと考えましょう。
パートナーのどちらかが、家計管理に協力的でなければ、現状把握することも難しいはずです。
ですので、自分のお金だけでも家計管理をしていけば、自分のお金を貯めること、増やすことができるでしょう。
②ゴール(目標)を設定する
ゴール(目標)を設定しましょう。具体的かつ、達成可能なゴールを設定することが大切です。

*資産運用を考えると効率よく貯まり、目標達成が早くなる*
預金で貯めるだけでなく、資産運用を考えると効率よく貯まり、目標達成が早くなります。
例えば、ゴール「18年間で大学費用600万円を貯める」を達成するためには「毎月3万円貯める」必要がありますが、『金利3%』で貯められた場合、『約14年で600万円』を貯めることができます。
別の見方をすることも可能です。金利3%で18年かけて600万円を貯めようとした場合には、毎月の積立額は少額でよくなります。「金利3%、18年間の積立で600万円目標、積立額は毎月20,983円」
③ゴール達成するための方法(金融商品)を選ぶ
ゴールを設定したら、達成するための方法(金融商品)を選びましょう。選ぶポイントは『期間』『目的』です。以下は例です。
- 期間:10年以内に使う予定
- 目的:住宅購入資金
- 方法:積立預金など、元本保証のもの
- 期間:10年以上先に使う予定
- 目的:子どもの大学費用、老後資金
- 方法:資産運用(投資信託、貯蓄性保険等)
④実行する
貯蓄を実行に移しましょう。どの商品を選べばよいか、計画はこれでいいのかと不安な方はFPに相談することをお勧めします。
結婚はFPへ相談するベストタイミング
結婚という新たな門出は、二人で将来の生活設計やお金について具体的に考える絶好の機会です。
専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することで、より安心で豊かな未来に向けた資金計画作りのサポートを受けられます。
家計管理の見直しの必要性が高い
結婚をすると、住宅の購入、子どもの教育資金、そして老後の生活資金など、将来のさまざまなライフイベントについて具体的に考え始める方が多いです。FPは、こうしたライフプランニングの専門家であり、あなたの目標達成に向けた具体的な資金計画の立案をサポートします。
結婚という節目にFPへ相談することで、長期的な視点に立った家計管理の基盤を築き、将来に向けた着実な準備を進められます。
ライフプランニングが重要なタイミング
FPは、あなたとパートナーの現在の収入と支出を客観的に分析し、それぞれの状況に最も適した家計管理の方法や、将来のライフプランに基づいた資金計画を提案します。
結婚によって、これまでの収入の形や支出の項目が大きく変わります。そこで、新しい生活に合わせた家計管理の方法を確立しなければなりません。FPによる専門家のアドバイスを受けることで、無駄な支出を効果的に見直し、より効率的な貯蓄計画を立てることが可能になるのです。
お金に関する価値観の共有が必要
結婚生活において、お金に関する価値観を夫婦間で共有することは円満な関係を築くうえで非常に重要です。結婚は、そうした価値観についてじっくりと話し合う良い機会と言えるでしょう。
FPは、あなたとパートナーが持つお金に対する考え方や将来の希望を丁寧に整理し、共通の目標を設定するためのお手伝いをします。お互いのお金に対する認識のズレを早期に解消し、協力して目標に向かえるスムーズな家計の運営を目指しましょう。
家計の管理方法の具体例
家計の管理の方法に正解はなく、各家庭によってさまざまです。管理の方法にこだわることはそこまで重要ではないと私は考えますが、ルールを決める際には夫婦でよく話し合って、一番合うものを選択してみてください。
決めた額の生活費を共通の口座へうつす
夫婦で決めた金額を生活費用に作成した口座へ毎月移して管理します。夫婦で家計をきちんと把握したいという夫婦にはおすすめです。この場合、夫婦のどちらかの名義で作成した口座を生活費のやりくり用として使います。
例えば、毎月5万円と決め、給料が入ると5万円を、その口座へ入金し、食費や日用品購入等の生活費をそこから捻出します。貯蓄も同様のルールを決めて貯めることで、うまく貯蓄できるでしょう。
支出別に担当を決める
支出別に担当を決めて管理します。例えば、家賃・光熱費は夫、食費・日用品は妻と分担します。担当の費用を払い、それ以外は自由に使えるので、どちらかが家計管理に協力的ではない夫婦には、おすすめの方法です。
この場合、貯蓄はそれぞれでする必要があります。貯蓄方法はのちほどお伝えします。それぞれがしっかり貯蓄していけるようであれば、お金の干渉をしなくて良いのでおすすめです。
一方の収入で生活費をまかない、もう一方の収入は全額貯蓄へ
夫婦の一方の収入で日々の生活費をまかない、もう一方のパートナーの収入は全額貯蓄に回すという管理方法です。
たとえば、夫婦の一方が主に生計を支える収入を得ており、もう一方が副収入やパートタイムなどで働いている場合に検討しやすい方法でしょう。
生活費を担当する側が毎月必要な金額を家計に入れ、その範囲内でやりくりをします。もう一方の収入を全て貯蓄に充てることで、効率的に貯蓄目標の達成を目指せるはずです。
完全に収入と支出をわけて管理する
夫婦それぞれが自身の収入を個別に管理し、毎月の生活に不可欠な共通の費用(家賃や住宅ローン、水道光熱費、食費、日用品費など)については、夫婦で「折半」つまり半分ずつ負担する方法です。
まず、何が共通の費用にあたるのかをリストアップし、その合計金額を算出したうえで双方が同じ金額を出し合います。
この方法のおもなメリットは、お互いの収入やそれ以外の支出に対して過度に干渉することなく、各自が自由になるお金を明確に持てる点です。
この「折半」を円滑に進めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 共通費用の範囲と総額を明確にする
- ケガや病気など、将来の大きな支出への対応を決めておく
生活に関わる費用は公平に負担したいと考える夫婦にとっては、検討しやすい家計管理方法のひとつです。
目的別の貯蓄方法
貯蓄のコツは貯蓄のコツは先取りし、かつ自動的に貯めることです。ことです。給料が入ったら先取りかつ自動的に貯める仕組みを使うことでストレスなく貯蓄をすることができます。
ゴール別の貯蓄方法を紹介していきます。
10年以内で必要なお金は積立の預金で貯める
10年以内に使う予定がある必要なお金は、積立の預金で貯めていきましょう。短期で目的が決まっているお金は、確実に預金で貯めていった方が良いです。
例)住宅購入資金、車購入資金、旅行費用など
なぜなら、短期的に必要なお金を資産運用等にまわしてしまうと、元本割れをしてしまう可能性があるためです。(資産運用については後ほど説明します。)
例えば、3年後に海外旅行の費用50万円を貯める目標があるとします。その場合、満期が3年後の毎月14,000円の積立定期を作成すると、自動的に貯蓄が可能です。
短期で、使う目的のはっきりとしているお金は、積立定期などの預金方法を利用しましょう。
10年以上先のお金の用意は資産運用で増やそう
10年以上先のお金の用意は資産運用で増やしましょう。
例)教育資金、老後資金など
なぜなら、
①早く目標到達できる可能性がある
②10年以上資産運用できれば元本割れのリスクを軽減できる
からです。
①早く目標到達できる可能性がある
資産運用をすると、早く目標に到達できる可能性があります。
また、複利効果も働くので、預金に比べると、より早くお金を増やしていくことができます。
例えば、目標額2,000万円を貯めるために、毎月5万円を20年間、「金利5%」と「金利0%」で積み立てていったとしましょう。

※あくまでもシミュレーション結果です。実際の値とは異なる場合があり、その結果を保証するものではありません。 あくまでも目安としてご利用ください。
金利5%(ブルーのグラフ)で資産運用をした場合、約20年で目標達成することができます。預金の0%金利(オレンジのグラフ)では、20年で1,200万円です。
目標達成にはあと13年(合計33年間)毎月5万円を貯めていく必要があります。資産運用をすると、早くお金を貯めることができますよ。
②10年以上資産運用できれば元本割れのリスクを軽減できる
10年以上資産運用ができれば、元本割れのリスクを軽減できます。
実際に、長期で運用すると増える可能性が高いことを表しているのが下のグラフ(チャート)です。

このチャートは先進国全体の株価(MSCIワールド指数)の動きです。
例えば、2007年頃に運用をスタートした人は、2008年の株価の大幅な下落により、元本割れしています。しかしそこから10年運用を続けると株価は元通りどころか2007年よりもかなり値上がりしています。
過去のデータですが、10年以上資産運用を続けることが元本割れのリスクを軽減でき、お金を増やしていけることが分かります。
資産運用を考えるなら、長期(10年以上)で運用していくことが重要です。
①複利効果があり、②長期運用できる金融商品は、『投資信託』や『貯蓄性保険』などになります。これらを使って増やしていくのがおすすめです。
投資信託
投資信託とは、投資をする人たち(投資家)から資金を集め、その資金を運用会社に託して運用する商品です。
運用会社の運用のプロ(ファンドマネージャー)が株や債券、不動産に投資をして1本のファンドを組みます。

投資対象は、国内や海外の株、債券、不動産です。
これを自分で運用するとなると、知識(勉強する時間も)とチャートなどを見張る時間が必要です。
しかし投資信託は、運用はプロにお任せなので、資産運用初心者でも始めやすく、さまざまな商品に分散投資することができます。
貯蓄性保険
家族も増え、万が一の備えも欲しいという方は『貯蓄性保険』を検討してみると良いでしょう。
貯蓄をしながらも、万が一の備え(死亡保障)を持つことができます。
ただし、現在は低金利時代の影響で日本の円建ての保険は利回りが低いため、お金を増やす目的での加入はあまりおすすめしません。
低金利時代でもおすすめの貯蓄性保険は、
です。
まとめ
結婚後は家計の管理が大事です。
ただ、家計の管理方法にとらわれなくても良いと思います。
理想のライフプランを叶えるためにもしっかりと貯蓄をしていくことが大切です。
貯蓄方法やライフプランについて迷う方は、お金のプロFPに相談してみるのもよいでしょう。
家計の相談に関しては以下の記事を参考にしてみてください。