「持ち家がある場合、老後資金はいくらくらい必要でしょうか?年金で足りますか?」
マイホームを持っている方で、このような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか?
持ち家は賃貸と比べて住居費がかからないものの、受給できる年金は人によって大きく異なります。
また、老後をどのように過ごしたいかでも必要なお金が変わってきます。
- ゆとりある老後
- 必要最低限の老後
それぞれで老後資金不足額の早見表を作りましたので確認していきましょう。
また、老後資金が足りない場合の準備方法として、『持ち家の活用法』と『資産運用の始め方』もご紹介します。
この記事で分かること!
- ゆとりある老後を目指す場合の、持ち家の場合の老後資金不足額
- 必要最低限の老後で良い場合の、持ち家の場合の老後資金不足額
- 持ち家の活用方法と注意点
- 老後資金の準備は資産運用がおすすめ
【目指す老後生活別】持ち家の場合の老後資金不足額
持ち家の場合の必要な老後資金は、目指す老後の生活で大きく変わってきます。
ここでは、
- ゆとりある老後
- 最低限の老後
2つの老後生活で想定される支出と、パターン別年金額、そして不足額をそれぞれ見ていきます。
ゆとりある老後を目指す場合の不足額早見表
「老後は趣味やレジャーを存分に楽しみたい」
「子供や孫に毎年プレゼントを贈りたい」
など、いわゆる「ゆとりある老後」を送るために必要な金額は、持ち家で平均37.9万円(夫婦二人無職世帯)と言われています。(住宅ローンの返済は終了している世帯を想定)
参考:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和4年度
持ち家で「ゆとりある老後」を目指す場合、年金だけでは足りません。
働き方別の年金受給額を比較して、老後資金はどれくらい不足するのかを早見表にしました。
ご自身に一番近いものを選んで、老後資金の目安にしてみてください。

※上記表シングルの場合の『ゆとりある老後の生活費(支出額)』の正確なデータが無いため、ここでは便宜上、「ゆとりある老後の生活費支出ー必要最低限の老後生活費支出(下記参照)の差額14.7万円を、「シングルの必要最低限の生活費支出(下記参照)14.9万円」に加えて計算しています。
必要最低限の老後で良い場合の不足額早見表
「老後は慎ましく、最低限のゆっくりとした生活ができればいい」
「お金のかかる趣味も無く、老後は大きなお金がなくて良い」
そんな、「必要最低限の老後」の場合の支出は、持ち家で平均23.2万円(夫婦二人無職世帯)と言われています。(住宅ローンの返済は終了している世帯を想定)
参考:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和4年度
最低限の生活を送る場合でも、年金額によっては不足額が大きくなる場合があります。
さきほどと同様に、老後資金不足額を早見表にしました。
自分がどれに当てはまるか確認してみてください。

※シングル支出額参照:総務省|家計調査報告(2024年)
早見表では、「ゆとりある〜」に比べると、老後資金が不足しないケースもありました。
しかし、ここで安心してはいけません。
補足説明:老後資金はできるだけ多く貯めておくべき理由
老後資金は、ここまでお伝えしてきた『シミュレーション上の金額』以上に貯めておくことが重要です。
年金受給額はあくまでも”今の制度”で計算した金額です。
制度自体が変わる可能性もあります。
年金制度、実際に受け取る年金額は、65歳になってみないとわかりません。
また、インフレ・物価上昇を考慮すると実際の支出額はもっと多くなる可能性が高いです。
これから老後資金を貯めていくなら、これらを加味した上で、できるだけ多く(ゆとりある生活を目指して)老後資金を貯めるようにして損はないでしょう。
持ち家にしかかからない費用
持ち家の場合、賃貸ではかからない以下の項目についてもプラスで準備が必要です。
- 固定資産税
- 修繕費(マンションの場合は修繕積立費)
- 管理費(マンションのみ)
- 火災保険(※)
(※)賃貸でも火災保険はかかりますが、一般的に持ち家の火災保険のほうが高額になるためプラスで準備すべき費用として紹介します。
このうち、『必要最低限の生活』の箇所で紹介した平均支出額23.2万円に含まれている金額は「固定資産税」と「修繕費」です。
この費用については、持ち家の種類や広さ、住んでいる地域によって変わってきます。
※老後に必要な金額を計算するためには、実際に支払っている金額で計算し、今後増額する可能性があるものはそれらも加味して計算すると良いでしょう。
老後に支払う『固定資産税』の総額は250~750万円程度
土地や家を所有すると必ず「固定資産税」の支払いが必要になります。
住宅ローンの支払いが終わっても、年金暮らしになっても、固定資産税は毎年支払っていかなければなりません。
固定資産税は地域や築年数などによって変わりますので、上記はあくまでも目安です。
固定資産税額(毎年の支払額)×25 = 老後以降の必要額
で計算して準備を進めましょう。
補足説明:固定資産税の金額の決まり方
固定資産税の金額は、地域や家の広さ、設備によって変わります。
基本的には、広い家や設備が多い家(トイレが2階にもあるなど)のほうが固定資産税の金額は高くなります。
老後にかかる『修繕費』の総額は300~500万円程度
家は長く住めば必ず修繕が必要になります。
修繕費も準備しておきましょう。
戸建ての場合、平均10年のペースで修繕を行う場合が多いため、65歳以降も2~3回は修繕が必要ということになります。
マンションの場合は、毎月「修繕積立金」という形で管理費などと一緒に支払いをします。
補足説明:修繕費は上がっていく可能性も
修繕費は上記金額よりも上がっていく可能性があります。
その理由はさまざまですが、一例を挙げると、
- 修繕に使用する住宅資材や製品の供給不足
- 物流(輸送)コストの増加
- インフレ
などがあります。
実際に、大手工務店や大手住宅設備メーカーが値上げを公表しています。
将来的には、上記金額以上に修繕費が必要になる可能性があります。
やはり”十分以上”に老後資金を準備しておく必要がありますね。
老後に支払う『マンションの管理費』の総額は約450万円
マンションの場合、管理費という費用も毎月発生します。
戸建てにはない費用なので、老後もマンションに住み続ける方は管理費も忘れずに準備しましょう。
老後に支払う火災保険は総額で50~125万円程度
火災保険は、賃貸の場合と住宅ローンを組んで家を購入する場合は、加入が必須です。
(キャッシュで買った方や、ローンの支払いが終了した後の加入は必須ではありません。ただし、自動車保険と同じく、万が一のために加入したほうが安心です。)
現在、火災保険は5年間の契約が最長(5年ごとに更新していく)で、5年分の保険料を一括で支払う方法が一番お得です。
支払い時に焦らないように、少しずつ積み立てて準備しておきましょう。
※構造や住む地域、補償内容によっては保険料に差が出ます。一般的に木造戸建ての物件よりも、マンションのほうが保険料は安くなります。
”持ち家 vs 賃貸” の費用比較
今まで見てきた項目について、マンションを持ち家にした場合と賃貸で借りた場合で比較してみましょう。
以下の比較では、持ち家(マンション)のほうが賃貸マンションよりも費用は少なくなりました。

※1 住宅ローンの支払いは終了している世帯で比較
※2 家賃は東京23区2LDKの家賃相場
持ち家は、賃貸と比べて総費用は少ない結果でした。
しかしそれでも、最初に見た『老後資金』にプラスしてこれだけの費用が必要になります。
持ち家の活用方法3選と注意点
持ち家だとしても、老後資金は大きなお金が必要です。
ただ、老後資金の不足額を補う方法の一つとして、『持ち家』は活用することができます。
ここでは持ち家の活用法を3つご紹介します。
①『売却』して一度に大きなお金を得る
持ち家を売却することで売却代金、つまりお金を得ることができます。
老後のお金の準備のために、これまで住んでいた自宅を売却し、老後の生活費にあてたり、売却代金で新しい住居を購入したりすることもできます。
売却する場合の注意点
想定よりも安い値段で売れてしまい、購入時よりも損をするリスクがあります。売却する場合は慎重に検討をしましょう。
②『賃貸』で毎月家賃収入を得る
持ち家を賃貸に出すことで、資産を保有したまま家賃収入を得ることができます。
また、今では「民泊」のように自宅をすべて賃貸に出すのではなく使用していない1室のみを賃貸に出すということもできます。
賃貸に出す場合の注意点
借りてくれる人がおらず、家賃収入が入ってこないというリスクも考えられます。入居者の”見込み”があるかどうかを考慮の上、賃貸を検討しましょう。
③『リバースモーゲージ』でお金を借りる
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして金融機関から借入を行う仕組みです。
契約者が生きている間は毎月利子のみを返済し、契約者が亡くなったら自宅を売却するなどして元金を返済します。
リバースモーゲージの注意点
金利が上昇し、毎月の返済額が上がる可能性があります。返済額が上がっても返済していけるような計画を立てることが重要です。
老後資金が足りないときは資産運用がおすすめ
老後資金が足りないとき、ゆとりある老後を目指したい、そんなときは資産運用がおすすめです。
なぜなら、資産運用は正しい知識と正しい方法で行えば、安定してお金を増やすことが期待できるからです。
具体的には以下のステップで進めていきましょう。
- ステップ1:最低限のお金の知識をつける
- ステップ2:目標を決め、投資の種類を決める
- ステップ3:実際に投資を始める
最低限のお金の知識をつける
最低限のお金の知識があれば、資産運用を始め、老後に向けて安定してお金を増やしていくことは十分可能です。
資産運用を始めるのに最低限必要な知識は、以下のようなものがあります。
- 貯金と投資の違い
- 投資のメリット・デメリット
- 投資のリスク・リターンの理解
- 複利の効果
- 分散投資の基本
- 金利
- NISAやiDeCoなどの税制優遇
など
一部参考:金融庁|資産形成の基本
お金の基礎知識を学ぶ際は、FPが開催する無料セミナーへの参加がおすすめです。
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目標を決め、投資の種類を決める
次に、目標を決め、それに合わせた投資の種類を決めましょう。
ここで言う『目標』とは、
- いくら
- いつまでに
のことを指します。
これらが決まることでおのずと金融商品が決まります。
すると、目標の金額を貯めるための、その商品での必要月額を算出することができます。
老後資金を目標とした具体例
いくら:2000万円
いつまでに:30年後

このように、「いくら」「いつまでに」が決まれば、それにあった投資(金融商品)の種類を選ぶことができます。
実際に資産運用を始める
実際に資産運用を始めましょう。
実際に始めてしまえば、後はほったらかしで大丈夫な資産運用の方法もあります。
ただ、始めるまでに
「どんな方法が自分に合っているのか?」
「金融商品(投資信託や保険)の選びほうが難しい…」
「いくら資産運用に回したらいいの?」
というような悩みが出てくる方も多いです。
そのような場合は、さまざまなサポートをしてくれるFPやIFAという”お金のプロ”に相談することをおすすめします。
有用なアドバイスをもらうことができますよ。
まとめ
持ち家でも、老後資金が不足するケースがあります。
「住む家があるから」と安心せず、老後資金はできるだけ貯めておいて損はありません。
また、持ち家だからこそかかる費用、持ち家だからこそ活用できることがあります。
それでも老後資金が不足する場合は、資産運用を活用するなどして対策することをおすすめします。
ぜひ、将来豊かな老後生活を送れるよう、今から動いてみてください。
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