
「老後は医療費がそんなにかからないと聞くし、医療保険はいらないですか?」
確かに、日本では公的医療保険制度が充実しており、高齢者の医療費負担は抑えられています。
貯蓄があれば医療保険はいらないかもしれません。
ですが、高齢化が急激に進む日本で、公的医療保険制度に頼りすぎるのはリスクがあります。
それを踏まえて自分なりの対策を考えておくことをおすすめします。
この記事では、老後の医療保険の必要性や、老後のための備え、医療保険の賢い選び方などを解説します。
この記事で分かること
- 老後の医療保険は医療費をカバーできる貯蓄があればいらない
- 今後の医療費自己負担は増えると予想できる
- 老後のための医療保険に加入する場合の選ぶポイント

1:老後医療費をカバーできる貯蓄があれば、基本的には老後に医療保険はいらない
老後医療費をカバーできる貯蓄があれば、基本的には老後の医療保険はいりません。
老後は公的医療保険制度によって医療費の自己負担が少なくて済む反面、高齢になると医療保険の掛金も上がります。
そういった事情を考えると、高い掛金を支払ってまで老後の医療費を医療保険でカバーしなくても良い場合が多いでしょう。
実際に厚生労働省の調査によると、65歳以上の人が公的医療保険制度を使って支払っている医療費の平均の自己負担額はトータルでおよそ300万円ほどです(差額ベッド代など公的医療保険適用外の医療費は別途必要です)。
参考:「医療保険に関する基礎資料〜令和5年度の医療費等の状況〜」
なので、老後医療費を十分にカバーできる貯蓄があれば、基本的には老後の医療保険はいりません。
高齢者は公的健康保険制度により自己負担は抑えられる
年齢や収入によって異なりますが、高齢者の自己負担割合は抑えられています。
▼高齢者の自己負担割合の図

※月に支払う医療費にも上限が設けられています。(詳しくはこちら:協会けんぽ|高額療養費)
2:今後、老後の医療費負担は増えることが予想される
前章でみたとおり、老後の医療費をカバーできる貯蓄があれば、基本的には医療保険はいりません。
しかし今後、老後の医療費負担が増えることが予想されます。
なぜなら、高齢化が進む日本では、国民医療費が右肩上がりとなっているからです。
つまり、それを支える現役世代が減ってきている現状では、現役世代の負担が過大にならないよう医療費の自己負担が徐々に増えると予想できます。
▼国民医療費の推移

データ参照:厚生労働省|国民医療費の状況(令和5年度)
実際に2022年10月より、75歳以上で一定以上の所得がある人は医療費の自己負担割合が1割から2割に引き上げられました。
なので、今後は老後の医療費負担が増えることも予想されます。
老後医療費をカバーするため、効率よくお金を貯める方法も考えよう
負担増の老後医療費をカバーするために、老後のお金を効率よく貯める必要があります。
しばらく使う予定がない余裕資金を運用するなど、お金にも働いてもらう方法を身に付けたいですね。
例えば、NISAを使って資産運用することで、節税しながら効率よくお金を貯めることができます。
3:今後の医療費負担増に備えて、老後のために医療保険に入るのもアリ
今後の医療費負担増に備えて、貯蓄の有無にかかわらず医療保険に入っておくのもよいでしょう。
医療保険で入院や手術、三大疾病の治療費などをカバーすることで、今後増えることが予想される医療費を補うことができるからです。
また、インフレによって老後の生活費全般が上がることも考えられ(※前年同月比で1.4%の物価上昇(2026年4月))、貯蓄があっても医療費にまわせるか不透明なので、医療保険があると安心です。
※データ参照:総務省|消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)4月分
仮に2%で物価が上昇し続けた場合、老後の生活費負担は今後大きくなります。
夫婦2人での、現在の老後生活費を月25万円と仮定すると、今後は…
10年後:約30.5万円
15年後:約33.7万円
20年後:約37.1万円
今からでも何かしらの対策をしていかないと、インフレに負けてしまいます。
4:老後のための医療保険は、掛金を抑えつつ老後医療費をカバーできる商品を選ぼう
老後のための医療保険は、掛金を抑えつつも老後にかかる医療費をカバーできる効果的な商品選びを心掛けましょう。
なぜなら、老後にかかる医療費をカバーするのに効果的でなければ、老後に高い掛金を支払ってまで医療保険に加入する必要はないからです。
なので、どのような特約を付けるのか、掛金の負担を軽くできないかなどを考えて老後に備えるのに効果的な商品を選ぶとよいでしょう。
以下では、老後のための医療保険を選ぶポイントをみてみます。
4−1:先進医療特約はつけておく
医療保険に先進医療特約を付加しておきましょう。
なぜなら、先進医療は公的医療保険の対象外で医療費が高額になる場合があり、特約を付けておくことで、医療保険で費用がカバーできるからです。
なお、先進医療特約は月の掛金も100円程度で付加できます。
先進医療とは厚生労働大臣が承認した高度な医療技術を用いた療養のこと
現在(令和8年3月1日現在)は69種類認められています(参照:厚生労働省|先進医療の概要について)。
その技術料について公的健康保険は適用されず、全額自己負担となります。
例)1件当たりの技術料の目安
がんの重粒子線治療:350万円
がんの陽子線治療:288万円
(重粒子線治療費用参考:神奈川県立がんセンター/陽子線治療費用参考:南東北がん陽子線センター)
4−2:支払いを終身払いにすると掛金を抑えることができる
一生涯の保障に対して、掛金を決められた年数だけ支払うか(短期払い)、一生涯支払うか(終身払い)を選べます。
老後は年金暮らしになるので、できるだけ毎月の出費は抑えたい人は多いと思います。
できるだけ毎月の掛金を抑えたい人は、終身払いにするのがよいでしょう。
<例:60歳女性の場合>
入院日額5,000円(1入院60日型)、手術給付金、先進医療特約付き
終身払い:3,007円/月
10年払い:8,784円/月
終身払いで三大疾病保険料免除特約を付けるのもよい
掛金を一生涯支払わないといけないのは不安があるという人は、三大疾病保険料免除特約を付けるとよいでしょう。
この特約を付けると、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)の所定の状態で掛金の支払いが免除されます。
注意点は、保険会社によって三大疾病の範囲が微妙に違い、それに伴って特約で上乗せされる掛金も違ってきますので、特約の内容や掛金をみたうえで付けるかどうかを判断するとよいでしょう。
4−3:治療費がかさみやすい三大疾病は一時金で備えておくとよい
三大疾病は高齢になるほど罹りやすく、入院や治療が長引くことがあるため医療費がかさみやすい病気です。
そこで、三大疾病になったときに一時金が下りる形で備えておくと、医療費がかさんでも安心です。
三大疾病一時金は医療保険の特約で付加できる場合が多いし、その他にも三大疾病保険に加入して備えておくのもよいでしょう。
三大疾病保険は貯蓄タイプもある
三大疾病保険は死亡や高度障害または三大疾病の所定の状態になれば保険金が下ります。
掛け捨てのものだけではなく、貯蓄タイプのものもあります。
最近では、掛金を投資信託で分散投資しながら、三大疾病への備えができる変額保険も発売されています。
▼三大疾病保険に関しては以下の記事を参考にしてみてください。
4−4:健康に不安のある人でも加入できる医療保険もある
健康に不安のある人でも加入できる医療保険もあります。
過去に大病を患っていたり、持病があって通院をしていると、加入時の健康告知により医療保険に加入できなかったり、条件が付く場合もあります。
ただ、保険会社によって査定の基準が同じではないので、複数の保険会社に当たってみるとより良い条件で加入できることもあります。
また、持病があっても加入しやすい告知緩和型医療保険もありますが、通常の医療保険に比べて掛金が高めなので、加入にあたってはその掛金を払ってまで保障が必要か慎重に考えましょう。
5:まとめ
老後の医療費をカバーできるだけの貯蓄があれば、基本的には老後に医療保険はいりません。
ただ、今後医療費が上がることも予想されるので、貯蓄に頼らなくても医療費をカバーできるように医療保険に入っておくのもよいでしょう。
自分の老後に医療保険がいるのか知りたい人、老後に効果的な医療保険を選びたい人は、一度ファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。
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