子育て世帯にとって、家計の助けとなる児童手当。2024年10月から、この児童手当が大きく変わりました。
「所得制限が撤廃」「支給対象が高校生まで拡大」「第3子以降の支給額が増額」「支給が2か月に1回」など、これまで以上に手厚いサポートに。
この記事では、改正ポイントや支給パターン、注意点をわかりやすく解説していきます。児童手当の変更点を理解し、ぜひご家庭のライフプランに役立ててください。
そもそも児童手当とは
児童手当とは、子育てを頑張る家庭を応援するために国から支給される手当(お金)です。
子育てには、食費や教育費など、何かとお金がかかります。この制度の大きな目的は、子育てにかかる経済的な負担を少しでも減らし、子どもたちが安心して成長できる環境を整えること。
この児童手当の改正された詳しい変更内容については、以降の章で解説していきます。
2024年10月から児童手当が改正!押さえておくべきポイントは4つ
2024年10月の改正で具体的に何がどう変わったのか、重要なポイントは次の4つです。
- 児童手当がもらえない所得(年収)制限を撤廃
- 支給対象が高校生まで拡大
- 第3子以降の支給額が増額
- 支給は2か月に1回
ひとつずつ見ていきましょう。
ポイント1:児童手当がもらえない所得(年収)制限を撤廃

大きな変更点のひとつが「所得制限の撤廃」です。
これまで所得制限のために児童手当が減額されていたり、もらえなかったりした世帯も満額を受け取れるようになりました。
例えば、夫婦と子ども2人の4人家族で夫婦どちらかの年収が960万円を超えている場合、これまでは特例給付のみの支給でした。しかし、2024年10月からは所得に関係なく、子ども2人分の児童手当を満額受け取れます。
ポイント2:支給対象が高校生まで拡大

2つ目のポイントは、児童手当の支給対象が高校生まで拡大されたこと。具体的には、高校生の子ども1人あたり、月額1万円が支給されます。
高校進学後も、塾や習い事、部活動、そして大学受験など、教育費の負担は増える一方です。そこで、今回の改正では支給対象を高校卒業まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)に拡大。高校生の子どもがいる世帯も児童手当を受け取れます。
ポイント3:第3子以降の支給額が増額

3つ目のポイントは、第3子以降の支給額が大幅に増額されること。2024年10月からは、第3子以降の子ども1人あたりの支給額が月額3万円になります。
これは、子どもの数が多いほど子育てにかかる費用も増えるため、多子世帯への支援強化が目的です。
子どもの多い世帯の経済的負担が軽減されるのです。
ポイント4:支給は2か月に1回

児童手当の支給回数が年3回から年6回に増え、より短いサイクルで児童手当を受け取れます。
具体的には、10月、12月、2月といった偶数月に児童手当が支給。子育て世帯は児童手当をより計画的に活用できるようになります。
急な出費にも対応しやすくなるでしょう。
児童手当がもらえるパターンの例を紹介
2024年10月からの児童手当の改正で、支給額がどのように変わるのか、具体的なイメージがわかない方も多いのではないでしょうか。
ここでは異なる年齢構成のケースを例に挙げ、実際に支給される金額がどうなるのかを見ていきます。
パターン1:高校生1人、中学生1人、小学生1人のケース
パターン1のケースの場合、月額5万円の児童手当が支給されます。
まず、高校生、中学生、小学生の全員が児童手当の支給対象です。支給対象年齢が高校生まで拡大されたため、これまで対象外だった高校生も支給対象に入ります。
次に、支給額を見ていきましょう。
- 第1子(高校生):1万円
- 第2子(中学生):1万円
- 第3子(小学生):3万円
このケースでは、第3子の小学生が月額3万円となるため、月額5万円(高校生1万円+中学生1万円+小学生3万円)の児童手当を受け取れます。
パターン2:大学生1人、高校生1人のケース
パターン2のケースでは、月額1万円の児童手当が支給されます。
まず、大学生は児童手当の支給対象外です。今回の改正で支給対象年齢は高校生まで拡大されましたが、大学生は対象外のまま。
- 第1子(大学生):0万円
- 第2子(高校生):1万円
つまり、高校生1人分だけがカウントされ、児童手当の支給額は月額1万円になるのです。
児童手当改正後の2つの注意点
この児童手当の改正は、多くの子育て世帯にとって嬉しいニュースです。しかし、改正によって注意すべき点も存在します。
ここでは「申請手続き」と「扶養控除」の2つの注意点について解説していきます。
申請手続きが必要な場合がある
児童手当を受け取るための申請手続きは基本的には不要です。しかし、これまで児童手当の支給対象ではなかった世帯は申請手続きが必要になります。
例えば、所得制限で対象外だった世帯や、高校生の子どもがいる世帯がこれに該当します。受給するためには、申請が必要な場合があることを覚えておきましょう。
申請手続きの詳細については、お住まいの市区町村のWebサイトを確認するか、窓口に問い合わせることをおすすめします。
扶養控除にも影響がある
児童手当の改正は、扶養控除にも影響を与えています。実は児童手当の拡充に伴い、扶養控除の「廃止」または「控除額の引き下げ」が検討されているのです。
仮に扶養控除が廃止された場合、なにが起こるのか。それは、所得税と住民税の増加です。
例えば高校生の子ども1人を扶養している場合、年収500万円の方なら税金が約7.6万円が増加します。児童手当は年間で12万円もらえるので、差し引きすると約4.4万円しか残りません。

年収1,000万円以上の方は、税金の負担額の方が上回ることに…。今後の政府の動向を注視し、最新情報を確認していく必要があるでしょう。
まとめ
2024年10月から児童手当が大きく変わりました。
所得制限がなくなることで、これまで対象外だった家庭も手当を受け取れるようになります。また支給対象が高校生まで広がり、第3子以降は月額3万円に増額。さらに、支給が2か月に1回になるため、家計管理もしやすくなるでしょう。
この改正をきっかけに、子育てにかかる費用や将来の教育プランについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。