
「認知症の母の定期預金を解約したいため、成年後見の申立てを考えています。成年後見人がついた場合、費用(=報酬)は誰が払うのでしょうか?」
成年後見人への費用(=報酬)は、本人(=後見人がつく母)の財産から支払います。
申立て費用に関しては、一部、申立をする子供が支払うことになります。
▼基本の費用

この記事では、母が認知症で子供が申立をする(本人=母、申立人=子供)設定で、費用負担について説明していきます。

1:成年後見人の費用(報酬)は、本人(母)の財産から支払う
成年後見制度の利用に関しての費用は大きく分けて
- 成年後見人の費用(報酬)
- 追加でかかる費用(専門家や後見監督人への費用など)
の2つがあります。
それぞれ、誰が支払うのか?を中心に解説します。
1−1:成年後見人への報酬は本人の財産から支払う
成年後見人への報酬は、本人の財産から支払います。
報酬額は、家庭裁判所が本人の財産額や後見業務(財産管理、病院や施設への支払い、契約の代理など)の内容などを考慮し決定します。
原則、本人が亡くなるまで支払いは続きます。
▼詳しい費用に関しては以下の記事もぜひお読みください。
筆者からのコメント
子供が成年後見人になった場合は、子供が報酬をいらないといえば、母は支払わなくても構いません。
ただ、誰を成年後見人にするのかは家庭裁判所が決定するため、必ずしも子供がなれるわけではありません。
1−2:追加でかかる可能性がある費用
基本の費用のほかに追加で費用がかかる場合があります。
『申立て時』と『後見開始後』です。
基本的には本人の財産から支払われることになりますが、一部子供が支払う項目もあります。
▼申立て時にかかる費用

▼後見開始後にかかる費用

※「後見監督人」とは
後見人が適切に後見事務を行っているか、不正はないかなどを監督する人。本人の財産が多額な場合などにつく。
2:成年後見人の報酬を本人(母)の財産から支払えない場合、子供が代わりに支払うことはない
成年後見人の報酬を本人の財産から支払えない場合、子供が代わりに支払うことはありません。
後見人が報酬助成制度を利用したり、生活保護申請を行い、本人の財産から報酬が支払えるように対応をとります。
また、その際に子供が行う手続きはありません。
用語説明
- 報酬助成制度:自治体が報酬を助成する制度。助成の要件や助成額などは自治体により異なる。
- 生活保護制度:本人の収入や財産だけでは生活に困窮する方に対し、国が最低限の生活を保障する制度。
申立てを専門家に依頼する費用が支払えない時に利用できる制度
後見の申立て準備や手続きを、専門家(司法書士、弁護士)に依頼する際の費用(=報酬)が支払えない時には、法テラス※の『民事法律扶助制度』が利用できます。
基本、無利子です。
利用するには収入や財産が一定以下であるなどの条件があります。
※「法テラス」とは:法律トラブルの相談や支援を行う公的機関
- 法テラスの民事法律扶助:専門家への報酬を法テラスが立て替えて支払い、申立人は分割で法テラスに返済していきます。
参照:法テラス
3:任意後見制度を利用すると、後見人への報酬を無しにすることもできる
母の判断能力が低下する前であれば、任意後見制度の利用ができ、後見人への報酬を”無し”にすることもできます。
任意後見制度とは、本人の判断能力が十分なうちに、将来、誰にどんな内容で後見人を任せるか、報酬はいくらにするのかを決めておける制度です。
ですので、母が子供に無報酬で後見人になってもらうと契約を結んでおけば、後見が開始された時に、子供に報酬を支払う必要はありません。
ただし、任意後見を開始する際には、家庭裁判所が決めた監督人が必ずつきます。
監督人には母の財産から報酬を支払わなければなりません。
補足
監督人への報酬額は監督内容や本人の財産額によって家庭裁判所が決めます。
年間12万円~36万円程度かかります。
筆者からのコメント
任意後見は法定後見より、後見人等への報酬を抑えることができます。
母の判断能力が低下する前であれば、利用を検討してもよいでしょう。

法定後見制度と任意後見制度の違い
法定後見制度
すでに判断能力が低下した人を保護するために後見人をつけてもらう制度
任意後見制度
本人の判断能力があるうちに、将来の後見人、後見内容を決めておく制度
というスタート地点での大きな違いがあります。
その他にも違いがあります。

▼任意後見制度の費用に関しては、以下の記事をぜひお読みください。
まとめ
成年後見制度を利用するにあたって、一番費用がかかるのは後見人への報酬の部分です。
この費用は後見人がつく母の財産から支払い、子供が代わって支払うことはありません。
母の財産から報酬の支払いが困難になっても、後見人が自治体の制度を利用するなどの対応をとります。
また、母の判断能力が低下する前であれば、任意後見制度の利用もできますし、とれる対策もあります。
一度、専門家へ相談してみるのもよいでしょう。