
薬局で薬を受け取るとき、「ジェネリック医薬品でいいですか?」と聞かれた経験はありませんか。
なぜ薬局はジェネリック医薬品を勧めてくるのでしょうか。
実は、「国・患者・薬局それぞれにメリットがあるから」です。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含みながら、価格が抑えられているため、医療費を節約できる嬉しい仕組みです。
とはいえ、「本当に安全?」「効果は同じ?」と不安に思うことも多いでしょう。
この記事では、ジェネリック医薬品を勧める理由、また、メリットやデメリットなどを解説していきます。
この記事で分かること
- ジェネリック医薬品が勧められる理由
- ジェネリック医薬品とは何か
- メリットとデメリット
- ジェネリック医薬品を希望する/しない方法
ジェネリック医薬品はなぜ勧める?3つの理由
ジェネリック医薬品が勧められる理由は3つあります。
- 国の医療費削減のため
- 患者の自己負担を減らすため
- 薬局の収益が上がるため

理由①国の医療費削減のため
ジェネリック医薬品が勧められる理由①は、国の医療費を抑えるためです。
医療費は年々増えており、問題になっています。
医療費の推移と見通し

参照:「令和4(2022)年度 国民医療費の概況(PDF 991KB) 」/「『2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)』等について-(参考)医療費の将来見通し 」
日本最大規模のジェネリック医薬品メーカーの沢井製薬によると、ジェネリック医薬品の普及率が85%になると、医療費削減効果がおおよそ1.3兆円と試算されています。
このような試算を踏まえ、国はジェネリック医薬品の使用拡大を進めています。
理由②患者の自己負担を減らすため
ジェネリック医薬品が勧められる理由②は、患者の費用負担も軽減できるためです。
例:胃潰瘍・逆流性食道炎のお薬の場合(年間)
先発薬:約4万8,000円
ジェネリック医薬品:約2万4,000円
→ 年間で約2万4,000円の節約
※金額はお薬代のみ(3割負担)

参考:政策解説サイト「Japan Health Policy NOW(JHPN)」
ジェネリック医薬品は、患者の医療費負担の軽減に直結します。
理由③薬局の収益が上がるため
ジェネリック医薬品が勧められる理由③は、薬局の収益が上がるためです。
例えば、薬局がジェネリック医薬品の使用割合に応じて算定できる 「後発医薬品調剤体制加算」 には、以下の区分があります。(2024年度診療報酬改定より)
加算1(80%以上):1処方につき 10点(100円)
加算2(85%以上):1処方につき 18点(180円)
加算3(90%以上):1処方につき 26点(260円)(※ 1点=10円で換算)
つまり、ジェネリック医薬品の使用割合が増えれば増えるほど、薬局側は利益が増えることになります。
このように、ジェネリック医薬品を普及させることにより、薬局は収益を上げられるようになっています。
ジェネリック医薬品のメリットとデメリット
この章では、ジェネリック医薬品のメリットとデメリットについてそれぞれ解説していきます。
ジェネリック医薬品のメリット
ジェネリック医薬品を選ぶことは、患者にとって大きなメリットがあります。
メリット
- 長期服用で数万円〜10数万円単位の大きな節約になる
- 国の医療費削減に貢献できる
- 錠剤やカプセルなど剤形のバリエーションがある(飲み間違い防止につながる)
つまり、ジェネリック医薬品は「選べて、無理なく続けやすい薬」として、大きなメリットがあります。
ジェネリック医薬品のデメリット
一方で、ジェネリック医薬品にはいくつかのデメリットもあります。
デメリット
- 供給不足が起こる場合がある
- 添加物や剤形の違いから、飲みやすさや副作用の出方が先発薬と異なるケースもある
※ジェネリック医薬品の有効成分や効果については、先発薬と同等であることが厳密に確認されています
※万が一、副作用が発生した場合、先発薬と同様「医薬品副作用被害救済制度」が適用されます。
ジェネリック医薬品を希望する方法
- 医師や薬剤師に直接伝える
- ジェネリック医薬品希望カードの使用
▼ジェネリック医薬品の希望は、処方せんの『変更不可』欄に✓がついていないもののみ可能です。

逆に、ジェネリック医薬品を希望しない場合は、「先発薬を希望します」と伝えれば、在庫がある限り先発薬を受け取れます。
まとめ
ジェネリック医薬品が勧められるのは、「国や患者、薬局の多方面にメリットがあるから」です。
費用面では続けやすい選択肢ですが、不安がありましたら医師や薬剤師に相談し、自分に合ったお薬を選びましょう。