
「厚生年金加入者は将来年金いくらもらえますか?」
厚生年金加入者の平均的な年金受給額は約14.8万円です。
ただし、この金額は
- 受給開始年齢
- 年収
- 職業
などによって変わっていきます。
この記事では、厚生年金加入者の年金受給額の平均を、さまざまな角度から見ていきます。
また、年金額を増やす方法もご紹介。
将来の年金受給額の目安になれば幸いです。
この記事で分かること
- 厚生年金加入者の平均年金受給額
- 受給開始年齢・年収・職業別の年金受給額
- 年金額を増やす方法
厚生年金加入者は年金いくらもらえる?平均受給額
老後の生活資金の柱となる年金。
その中でも会社員や公務員などが加入する『厚生年金』は、国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で支給されるため、受給額に大きな差が出やすい制度です。
では実際に、厚生年金保険加入者は、年金を平均でいくら受け取れるのかを見ていきましょう。
厚生年金とは
厚生年金とは、日本の公的年金制度の一つで、会社員や公務員など給与を得て働く人が加入する年金です。
国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で支給され、老後の生活を支える重要な役割を果たしています。
- 加入対象
会社員、公務員、一定のパートやアルバイト(条件あり) - 保険料
給与と賞与に応じて決まり、労使折半で負担 - 受給内容
老齢厚生年金に加え、障害厚生年金や遺族厚生年金もある
※厚生年金保険は、年金として受け取るときは「老齢厚生年金」と呼び方が変わります。また、国民年金保険は「老齢基礎年金」と呼びます。
厚生年金加入者の年金受給額の平均は14.8万円
厚生労働省の調査によると、厚生年金加入者の年金受給額は平均で月額およそ14.8万円 です。(令和5年度)
- 全体平均:147,756円
- 男性平均:166,606円
- 女性平均:107,200円
参考:厚生年金保険・国民年金事業の概況 (令和 5 年 6 月現在)
厚生年金は、加入期間と報酬額によって受給額が決まるため、加入期間が長く、給与水準が高いほど平均受給額は増えます。
つまり、厚生年金に加入していたかどうか、加入期間や給与水準で将来の受給額には大きな差が出るため、早めに自分の状況を把握することが大切です。
国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は5.6万円
国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額は、月約5.6万円です。
国民年金は20歳以上の全員が加入する制度ですが、保険料の免除や未納期間があると、満額より少ない受給額となります。
※令和7年度の老齢基礎年金の満額は『月額6万9,308円(年額83万1,696円)』
参考:厚生年金保険・国民年金事業の概況 (令和 5 年 6 月現在)
受給開始年齢・年収・職業別の年金受給額目安
厚生年金加入者の年金受給額は、
- 受け取り年齢
- 現役時の年収
- 職業
などによって変わります。
それぞれを令和5年度のデータや標準モデルをベースに見ていきましょう。
※いずれも厚生年金を満額(40年間)支払った場合でシミュレーションしています。
年齢別の年金受給額目安
年金は原則として65歳から受給できます。
また、希望すれば60歳〜75歳の間の好きなタイミングから受け取ることができます。
繰り上げ受給をすれば、12か月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減ります。
繰り下げ受給をすれば、12か月遅らせるごとに0.7%ずつ受給率が増えます。
▼年金受け取り開始年齢と受給額目安

※受給額はあくまでも目安です。男女差や加入年数により変動します。
年収別の年金受給額目安
年金額は、年収によっても受給額が変動します。
なぜなら、厚生年金の保険料は毎年4~6月の給与(標準報酬月額)をもとに計算されるからです。
※厚生年金は、「平均年収 ÷ 12 × 0.005481 × 加入月数」という式で大まかに計算できます。
つまり、年収が高く、加入月数が多い人ほど受け取る老齢厚生年金額は大きくなります
▼年収ごとの年金受給額目安(老齢厚生年金+老齢基礎年金)

職業別の年金受給額目安
老齢厚生年金は全員が受け取れるわけではありません。
厚生年金保険加入者で、受給資格期間(保険料納付済期間等)が10年以上ある場合に受け取ることができます。
これは職業によって変わり、受け取れるのは会社員や公務員(第2号被保険者)のみとなります。

※日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2階建て構造です。
▼職業ごとの年金受給額目安

年金額を増やす5つの方法
厚生年金や国民年金は、受給の仕方や働き方次第で「もらえる金額」を増やすことができます。
代表的な方法を解説していきます。
付加年金(国民年金加入者向け)
付加年金は、老後の年金を効率よく増やせるお得な制度のひとつです。
この制度は、月々400円を上乗せして支払うだけで、将来の年金額が200円 × 加入月数増える仕組みになっています。
支払う額に対して、受け取れる額が非常に大きいのが特徴です。
例えば、10年間付加年金に加入した場合、
支払う額
400円 × 12か月 × 10年 = 48,000円
受け取れる額
200円 × 120か月 = 月24,000円を生涯にわたり上乗せ
1年~2年程度で元が取れてしまうため、長生きすればするほどお得になります。
つまり、国民年金に加入している人は、付加年金を利用することで、少ない負担で確実に老後の年金を増やせるというわけです。
繰り下げ受給
繰り下げ受給は、年金の受給開始を遅らせることで金額を増やせます。
1か月遅らせるごとに0.7%増額される仕組みがあるためです。
70歳から受給すると42%増、75歳からだと最大84%増になります。
長生きするほど有利な選択肢です。
「長寿に自信がある人」や「退職後も収入がある人」は検討してみましょう。
任意加入制度
『任意加入』とは、60歳以降でも国民年金に任意加入することができる制度です。
この制度により、国民年金の未納期間や保険料不足を補い、将来の受給額を増やすことができます。
「年金未納がある人」「満額受給に届かない人」は特に、任意加入制度の利用を検討しましょう。
定年後も働く(厚生年金の再加入)
定年後も働き続けることで、厚生年金額を増やすことができます。
厚生年金に再加入すると、その期間の保険料が将来の年金額に反映されるからです。
再雇用やパートで働けば、給料収入を得ながら年金額も少しずつ増えていきます。
「健康で働ける人」にとって、最も現実的で効果のある方法です。
iDeCo・企業年金
公的年金に上乗せしてiDeCoや企業年金といった私的年金を準備すれば、老後資金を大きく補えます。
iDeCoは掛け金が全額所得控除になり、税制面のメリットもあるため効率よく資産形成できます。
月2万円を30年間積み立て、利回り3%なら1,000万円以上の資産が作れます。
「老後の安心を高めたい人」は、iDeCoや企業年金を早めに始めるのが効果的です。
まとめ
厚生年金(+基礎年金)の平均受給額は約14.8万円です。
ただし、老後を年金だけで暮らすことは現状難しいと言えます。
そのため、自助努力で老後資金を準備することが不可欠です。
まとめると
- 付加年金・繰り下げ受給・任意加入・定年後の就労などで増額できる
- iDeCoや国民年金基金など私的年金を組み合わせて準備するのが効果的
老後資金の準備方法は個人の状況(収入・家族構成・健康状態など)によって最適解が変わります。
年金制度や老後資金の貯め方について具体的に検討したい場合は、FPなどに相談すると効果的ですよ。
