「生命保険の『予定利率』ってなんですか?なんだか難しくて…。」
保険の用語は聞き慣れない言葉で難しく感じますよね。
『予定利率』は、保険に入る時、見直しする際、きちんと理解しておいた方が良い言葉と言えます。
なぜなら、予定利率はあなたが支払う”保険料”や、これからの”保険選び”に関わってくるからです。
この記事では、予定利率とはなにか?を図や具体例を使って、できるだけ分かりやすく説明していきます。
少し聞きなれない言葉や、数字がたくさん出てきてしまいますが、詳しい説明のためご容赦ください。
皆様にぜひしっかりとご理解いただきたいので、最後まで読んでいただけると幸いです。
この記事で分かること!
- 予定利率とはなにか?をわかりやすく解説
- 予定利率と保険料の関係
- 予定利率が低い時に選ぶべき3つの保険
予定利率とは、保険会社が契約者に約束する運用利回りのこと
「予定利率」とは、分かりやすくいうと、保険会社が契約者に約束する運用利回りのことです。
「予定利率」が高く設定されていると、保険料は安くなります。
「予定利率」が低く設定されていると、保険料は高くなります。
保険会社は、保険商品の保険料を計算する時、3つの「予定基礎率」(保険料のもととなる数値)というものを用います。
予定利率は、保険商品の保険料を計算する際に必要な予定基礎率の1つになります。

予定利率と保険料の関係
予定利率と保険料は、前述した3つの中でも特に密接な関係にあります。
ここでは、予定利率と保険料の関係性、そして、予定利率がどのように決まっていくかを見ていきましょう。
予定利率は高ければ、保険料がお得になる
予定利率が高ければ、安い保険料で大きな保障を持つことができます。
なぜなら、保険会社の運用収益が増えるため、保険料を安く設定できるからです。

以下は、私が1992年に加入した個人年金保険と、同保険を2024年に加入した場合の比較表です。
【A生命 個人年金保険】
条件:26歳女性/65歳払込/年金額75万/10年確定年金

1992年当時の「予定利率」は5.5%、2024年時点での予定利率は0.85%でした。
予定利率が違うだけで、保険料は約2.5倍も差があります。
もちろん保障内容は一緒です。
このように、予定利率が高ければ、保険料がお得になります。
予定利率が高い時に入った保険のことを『お宝保険』と呼んだりします。
予定利率は国債の利率に左右される
予定利率は、国債の利率に左右されます。
国債の利回りが高いと「予定利率」も高く、低いと「予定利率」も低くなります。

保険会社は主に有価証券(債権や株式)や、中小企業への貸付、不動産などで運用を行っていますが、そのうちの半分程度を国債が占めています。

データ参照:生命保険協会|2024年版生命保険の動向
補足説明:保険会社が運用を国債中心とする理由
保険会社は被保険者のために、預かった保険料をより安全に、確実、有利に長期で運用していかなくてはなりません。
そのため、運用は安全性の高い国債(債権)を中心に行うことが必要です。
つまり、国債の利回りが良いときは、保険会社の運用も良い、ということになります。
すると、予定利率も高くなります。
ただし、過去に比べて現在の国債の利回りは低下傾向。

参照:財務省 過去の金利情報(昭和49年(1974年)~)よりグラフ化
上述した、私が保険に加入した時の10年国債利回りは5.56%です。
2025年(2月末日)は1.378%です。(参照:財務省|国債金利情報)
予定利率は国債の利回りに左右され、国債の利回りが高いと「予定利率」も高く、低いと「予定利率」も低くなります。
補足説明:過去に入った保険の予定利率を確認しよう!
貯蓄性の保険(死亡保険終身、個人年金、学資保険、養老保険)に入っていた場合、何年に契約したか確認してみましょう。
1976年頃から1995年くらいまでが、予定利率が高いです。

データ参照:一般社団法人 JA共済総合研究所|民間生命保険会社の予定利率の変遷と 生保商品動向
予定利率は基本、加入時からずっと変わらず固定です。
予定利率が高い時に入った”お宝保険”は解約せず、継続しましょう。
このような保険を見直しや更新してしまうと利率が変わってしまう場合があるため、注意が必要です。
予定利率が分からない場合は、保険証券を確認するか、保険の担当者に確認しましょう。
予定利率が低い時に選ぶべき3つの保険
予定利率が低い昨今、保険はよく考えて選ぶ必要があります。
保険の中でも、利率が良いものや、効率の良いものを選んでいきましょう。
予定利率が低い今、選ぶべき保険は以下の3つです。
- 積立利率変動型終身保険
- 外貨建終身保険
- 変額保険
それぞれご紹介していきます。
積立利率変動型終身保険
まず紹介するのは、積立利率変動型終身保険です。
この保険はその名の通り、利率が変動する保険です。
市場の景気に応じて利率が変動するため、金利の変動に対応できます。
さらに市場の景気に応じて変動するので、インフレにも対応ができます。
補足説明:好景気になると解約返戻金や保険金が増える
景気がよくなると、解約返戻金や保険金が増えます。
その仕組みは以下のような順番で進んでいきます。
- 好景気になり経済が成長する
↓ - インフレ(物価上昇)が起きる
↓ - 国債の長期金利が上昇する
↓ - 保険会社の運用利率(運用成績)も上昇し、
それに連動して積立利率も上昇する
↓ - 将来の解約返戻金や保険金が増額する
外貨建終身保険
外貨建終身保険も、予定利率が低い時におすすめです。
米国や豪州などの国債は日本の国債より利回りが良いので、予定利率が高くなります。
例えば、米国ドル建終身保険で予定利率『3〜4%』というものもあります。
為替リスクの影響も考慮しなければいけませんが、満期時に戻ってくる解約返戻金は、基本的に「外貨建て終身保険」の方が多くなります。
注)外貨建て保険は、保険金や満期金を受けとるときは為替リスクがあります。
変額保険
予定利率が低いとき、変額保険もお勧めできます。
変額保険は特別勘定といって、預かったお金の一部を、主に株式や債券に投資して積極的に運用していくため、運用がうまくいけば保険金や満期保険金が増えます。
具体的にいうと「国内株式型」「外国株式型」「外国債券型」などを組み合わせて運用する、いわゆる投資信託のようなものです。
運用がうまくいけば増えていきますので、予定利率が低い時には選択肢に入れたい保険の一つです。
補足説明:予定利率に影響しない保険
保険商品の全部が「予定利率」に影響するというわけではありません。
予定利率に影響しない保険は以下のようなものです。
- 医療保険
- がん保険
- 定期型死亡保険
- 収入保障保険
まとめ
「予定利率」とは、契約者に約束する運用利回りであり、よって時期によって「予定利率」が高かったり低かったりしていることがわかりました。
今入っている保険を見直しする方、いまから保険の加入を検討中の方へ。
パンフレットや保険会社のホームページをみても「予定利率」をはっきり明記している会社は少ないです。
どんな保険にはいったらいいか、なかなか自分一人では判断が難しいです。
そんなときは、ぜひファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することを検討してみてください。