「投資信託を購入しようとしたら、『為替ヘッジなし』『為替ヘッジあり』という言葉が出てきました。投資初心者はどちらを選べばいいですか?」
投資信託購入時にこれらの言葉が出てきて、どんな意味なのか?どちらにすればいいのか迷った方もいるのではないでしょうか?
『為替ヘッジなし』は、”為替の値動きの影響を、受ける”です。
『為替ヘッジあり』は、”為替の値動きの影響を、避ける”です。
初心者は『為替ヘッジなし』を選ぶことをおすすめします。
この記事では、為替ヘッジありとなしを、図や具体例を用いて分かりやすく解説します。
この記事で分かること!
- 初心者は為替ヘッジなしをおすすめする理由
- 為替ヘッジなしとは
- 為替ヘッジありとは
- 為替ヘッジなし、為替ヘッジあり、それぞれのメリットデメリット
初心者で長期投資をするなら為替ヘッジ「なし」を選ぼう
初心者で長期投資をするなら為替ヘッジ『なし」』を選びましょう。
なぜなら、”ヘッジあり”を選ぶと、為替変動の影響を抑えられる代わりに、ヘッジコストがかかる(手数料)からです。(為替変動の影響については次章以降で説明)
現在のヘッジコストは約5%(年間)です。(2024年10月15日現在)
(ヘッジコスト参照:ダイワマーケットレター|為替ヘッジコストについて)
初心者は特に、利益の安定を狙うならば長期運用が大事になってきます。
しかし、長期運用になればなるほど、このヘッジコストの影響が大きくなり、商品の利回りが低くなってしまうのは問題です。(後述)
初心者で長期投資をするなら『為替ヘッジなし』を選びましょう。
次から詳しく為替ヘッジありとなしの違いを見ていきます。
為替ヘッジありとなしの違い
為替ヘッジなしとありの違いは、「為替の影響があるか無いか」、「コストがかかるかかからないか」です。
次から具体例を出しながら、なしとありをそれぞれ分かりやすく解説していきます。
為替ヘッジなしは、為替の影響を受ける
『為替ヘッジなし』の商品は、為替の変動の影響を受ける(為替の影響で、運用成績がプラスになったりマイナスになったりする)タイプの投資信託です。
※商品全体を見ると『為替ヘッジなし』の投資信託が多数を占めます。
例えば、1ドル100円の時に、米国株式に投資をする投資信託に100万円投資をしたとします。
1ドルが100円から110円になった場合(円安)、為替で+10%利益が出て、投資信託は110万円になります。
逆に、1ドルが100円から90円になった場合(円高)、この投資信託は為替の影響を受けるため、為替で-10%の損、つまり90万円になります。
為替ヘッジなしは、このように為替の影響を受け、運用成績がプラスになったりマイナスになったりします。
為替ヘッジありとは、為替の影響を避けること
『為替ヘッジあり』の商品は為替の変動の影響を受けないタイプの投資信託です。
為替ヘッジありの商品は、為替の影響を受けないように、海外資産の買いと同時に為替予約取引の売り予約を同時に行い、為替リスクの相殺を目指します。
そのため、為替ヘッジありの投資信託は、コストを支払うことで、為替の変動の影響を避けられるようにしています。
例えば、米国株式に投資をする投資信託に投資をした場合、1ドルが100円から110円に上がっても、100円から90円に下がっても、この投資信託は為替による利益も損失も影響を受けません。
つまり、ヘッジコストを支払うことで、1ドル100円(購入した時のレート)のまま計算されることになります。
ヘッジありの場合は、為替の影響を受け無いため、為替による利益も損失も出なくなります。
為替ヘッジなしのメリットデメリット
この章では、為替ヘッジなしを選ぶことの、メリット、デメリットを解説します。

為替ヘッジなしのメリットは、為替がプラスになるとリターンを受けられること
為替ヘッジなしのメリットは、為替がプラスになるとリターンを受けられることです。
例えば、以下の図の通り、1ドル100円から110円になった場合、為替の10%の利益をそのまま得ることができます。

※もちろん、為替ヘッジ無しの場合はヘッジコストは発生しません。
為替ヘッジなしのデメリットは為替リスクを回避できないこと
為替ヘッジなしのデメリットは、為替リスクを回避することができないことです。
つまり、為替ヘッジなしの投資信託を選ぶと、為替がマイナスになったときの影響をそのまま受けてしまいます。
例えば、1ドル100円の時に100万円分の投資信託を購入して、売却時に為替が1ドル90円になっていた場合、10%の損失、つまりマイナス10万円となっていまいます。

為替ヘッジありのメリットデメリット
ここでは、為替ヘッジありを選ぶことのメリット、デメリットを解説します。
為替ヘッジありのメリットは、為替リスクを回避できること。
為替ヘッジありのメリットは、為替リスクを回避できることにあります。
例えば、1ドル100円の時に100万円分の投資信託を購入して、売却時に為替が1ドル90円になっていたとします。
すると、10%の損失、つまりマイナス10万円となるところですが、『為替ヘッジあり』を選択することで、この損を回避することが出来ます。

為替ヘッジありの2つのデメリット
為替ヘッジを行うことで、大きく2つのデメリットがあります。
デメリット① 為替がプラスになった場合の恩恵を受けられない
為替ヘッジ有りの商品を選ぶと、円安になった時の恩恵を受けることができません。
例えば図の通り、1ドル100円から110円になった場合、為替の10%の利益が得られなくなります。

デメリット② 為替ヘッジコストがかかかる
為替ヘッジありの商品を選ぶと為替ヘッジコスト(手数料)が掛かります。
例えば、ヘッジコスト(年間)5%だとしたら、投資金額100円の場合、年間5万円、10年間だと50万円もコストがかかることになります。
(ヘッジコストは信託財産から365日毎日、少しずつ引かれていきます。)
長期運用を行う場合は特に、このヘッジコストが大きな影響を及ぼします。
補足説明:為替ヘッジコストの仕組み
一般的にはヘッジコストは、変更する通貨の相手国(米、ユーロ等)との短期金利の差で決まります。
▼アメリカとの短期金利の差の例(米ドル⇔日本円)
基本的にはヘッジコストは公表されていないところが多く、パンフレットや購入画面に記載はありません。
理由としては、短期金利によってヘッジコストが決められるため、定期的に変動するからです。
まとめ
『為替ヘッジなし』と『為替ヘッジあり』はどちらにもメリット、デメリットがありますが、初心者のうちは『為替ヘッジなし』を選ぶのが良いでしょう。
海外資産で運用される投資信託には魅力的なものもありますが、為替が関わってくると、戸惑ってしまう方も少なくないようです。
上記説明を踏まえ自分はどちらが合っているかを見極める必要がありますが、自分で選べないという方はFPに相談してみて下さい。